そうだね!だって鉛は元素の中で一番質量数が大きいもんね!重たいよね!
「鉛のような」はどんよりとした様子や心が重たい様子を表します。
基本的な比喩表現です。
例えば船酔いを「頭の中に鉛が入っているようだ」などと表す場合、頭が重く、痛く、気分が悪い様子であると判断します。
そんなことを説明したときある生徒さんがこんなことを言いました。
「そうだね!だって鉛は元素の中で一番質量数が大きいもんね!重たいよね!」
この生徒さんはこの時点で3年生。
理科がすごく好きなお子さんでした。
当時は素粒子についてのお勉強をするのがマイブームだと言ってました。
文学的なフィーリングだと「質量数が一番に大きいもんね」はすこしムードがないとお思いでしょうか?
でも、生活の中で自分が知っている知識とほかのジャンルの知識がマッチする瞬間に新しい知識を納得し使いこなせるわけです。
この生徒さんは毎週いろんな知識を私にさずけてくれました。
科学雑誌「newton」を定期購読し、興味深い記事の載っているものを何冊か持ってきてキョンコロ先生の前に並べて、
「ほら、このページはソーラーパネルのページだよ」
と、私が興味を引くように楽しそうに横で解説をしてくれます。
この生徒さんの知恵深さには本当に頭が下がりました。
彼は自分が知識を手にしてそれで満足することなく、他人と知識をシェアしようという気持ちを持っていました。
好きなものならみんなとシェアしたい、それはたいへんピースフルな人間のつながりです。
みんながそのことを知っていれば、みんなが十分な知識を持って物事に取り組め、知識や知恵を独り占めにするという独りよがりの考えに偏ることがなくなるからです。
幼いその生徒さんにそこまではっきりした意志があったかはわかりませんが、知識をシェアしたいと思ったいうことは間違いないでしょう。
そのために重たい雑誌を持ってきてくれたのです。
結局、3年生の時だけしか担当しなかったのですが、その最後の授業では「先生とお分かれするの悲しいよ」と泣きながら手紙をくれました。
その後、彼はどうしているでしょうか?
今でも誰かに知識をシェアしたいと思ってくれているでしょうか?
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