国語の記述コツ
にしむら先生の動画整理
はじめに
このマニュアルは、中学受験や高校受験における記述問題を攻略するための「積み木方式」についての具体的なステップをもれなく解説。
記述問題が苦手な方に向け、この方法でどのような記述問題にも対応できるようにすることが目的。
記述問題を解く際、文章をゼロから作るのではなく、本文から適切な情報を積み上げる。
積み木方式は3つのステップから成り立ち、各ステップを丁寧に実践することで得点をもぎ取ることが可能。
積み木方式の3ステップ(詳細な手順)
ステップ1:最後の言葉を決める
文末から決める
最初から文章全体を考えるのではなく、答えの「最後の言葉」を決める。
これにより、文章全体の構成がはっきりし、書きやすくなる。
例:「どうしてですか?」→「〜だから。」、「どんな気持ちですか?」→「〜な気持ち。」
具体的な文末の例
「どんなことで困っていますか?」→「〜こと。」
「どうしてそう思いますか?」→「〜だから。」
文末を先に決めるメリット
文末から決めることで、文章全体のゴールが見え、途中で迷うことなく進められる。
プラス・マイナスの感情を意識する
感情に関する質問の場合、「プラスの気持ち」か「マイナスの気持ち」かを判断する。
プラスの感情の例
喜び、感謝、希望、誇りなど。
例:「どんな気持ちですか?」→「嬉しい気持ち」や「誇らしい気持ち」
マイナスの感情の例
悲しみ、悔しさ、不安、怒りなど。
例:「どんな気持ちですか?」→「悔しい気持ち」や「悲しい気持ち」
複雑な感情
プラスとマイナスの感情が入り混じった複雑な感情を表現する場合もある。
例:「嬉しいけど不安な気持ち」、「誇らしいけど心配な気持ち」
こうした場合、「複雑な気持ち」とまとめることで部分点を狙うことができる。
ステップ2:本文から引用部分を探し組み立てる
本文から必要な情報を探す
決めた「最後の言葉」に繋がる説明部分を本文から探し、その説明を「積み木」のように積み上げていく。
記述問題の中で求められている内容に対応する本文の部分を注意深く見つけ出し、そのまま使える部分を抜き出して組み合わせる。
具体例:説明文の場合
答えの最後が「正解とは限らないこと」→その前に「多数決で決まった意見であっても」を本文から探して追加。
結果:「多数決で決まった意見であっても、正解とは限らないこと。」
具体例:物語文の場合
答えの最後が「悔しい気持ち」→その前に「大木さんが話題に出すのは僕ではなくたけちゃんばかりで」を本文から探して追加。
結果:「大木さんが話題に出すのは僕ではなくたけちゃんばかりで、悔しい気持ち。」
プラス・マイナスの感情を組み立てる
感情を説明する際には、プラスかマイナスかを判断し、その感情に対応する本文の描写を探す。
例:主人公が何かを達成した場面→「誇らしい気持ち」、失敗した場面→「悔しい気持ち」
重要なポイント
文末から積み上げる:文末を決め、それに合う説明を見つけて積み上げるように文章を構成。
本文の言葉をそのまま使う:本文のキーワードやフレーズをできる限りそのまま使うことで正答に近づける。
ステップ3:指定文字数に合わせるための補足を加える
足りない部分を補完して完成させる
指定された文字数に足りない場合、さらに本文から説明を追加して文章を完成させる。
具体例:説明文の場合
「多数決で決まった意見であっても、正解とは限らないこと。」→40字以内で答える必要があり、文字数が足りない。
「いくつもの意見の中から」を追加→「いくつもの意見の中から、多数決で決まった意見であっても、正解とは限らないこと。」
具体例:物語文の場合
「大木さんが話題に出すのは僕ではなくたけちゃんのことばかりで、悔しい気持ち。」→50字以内で答える必要があり、文字数が足りない。
「僕が尊敬している」を追加→「僕が尊敬している大木さんが話題に出すのは僕ではなく、たけちゃんのことばかりで、悔しい気持ち。」
補足の説明は指定文字数を満たすためのもの
補足は意味を完璧にするよりも指定文字数を満たすことを重視し、記述問題での得点を確保するために必要。
中級編:自分の言葉を加える技術
記述問題の中級編の特徴
中級編では、答えの一部を自分の言葉で補う必要がある。
本文から抜き出した部分に、自分の考えや一般的な表現を加え、より説得力のある答えを作る。
具体的な例えの変更
本文中に具体的な例えが使われている場合、その例えを使わずに説明する。
例:「太陽のように輝いた顔」→「思い切り笑顔で」と変えて具体例を一般的な表現に置き換える。
具体的すぎる内容の要約
具体的すぎる内容を簡潔にまとめる。
例:「バナナ、リンゴ、オレンジ、イチゴなどの果物が並べられている」→「複数の果物が並べられている」と要約。
指示語の置き換え
「これ」「それ」などの指示語は、その内容を具体的に書き直す。
例:「それは素晴らしいことだ」→「この経験は素晴らしいことだ」と具体化。
チェックポイント:3つの注意点
たとえの置き換え:具体的なたとえは、そのたとえを使わずに説明に置き換える。
具体的すぎる内容の要約:具体的すぎる内容は簡潔な言葉にまとめる。
指示語の置き換え:指示語は具体的な内容に置き換える。
部分点を狙う意識
自分の言葉で補う部分が完璧でなくても、部分点がもらえることが多い。
完璧を目指すよりも、まずは答えを作り上げることが重要。
具体例:アメリカと日本の違い
「日本の状況はアメリカの状況とは違う」とある場合、対比を使って説明する。
例:「アメリカでは他者との価値観や考えの違いが魅力的な個性としてプラス評価される一方、日本では他者との価値観や考えの違いは協調性のない人だとマイナスに評価される。」
対比を使うことで、違いを明確にし、文章の説得力を高める。
具体例:炭治郎の心情の変化
「炭治郎の目に決意の意志が宿った」とある場合、心情の変化を説明する。
例:「炭治郎はすでに全身の傷も体力も限界で、諦めかけていたが、自分が長男であることと妹を救うという使命を思い出し、力を振り絞って立ち上がろうとする強い意志。」
マイナスの感情からプラスの感情に変化する様子を具体的に描くことで、心情の流れをわかりやすくする。
注意点とアドバイス
満点を目指さず部分点を狙う
記述問題では満点を狙うよりも部分点を狙うことで得点をもぎ取ることが重要。
6割〜8割の得点を取ることを目指す。
空欄を避け、必ず何かを書く
記述問題を空欄にすると部分点が得られないだけでなく、模範解答と比較する際の学びも得られない。
不完全でも必ず答えを記述することが大切。
指示語や具体的すぎる表現に注意する
指示語(「これ」「それ」など)は具体的な内容に置き換える必要がある。
具体的すぎる表現は一般化し、適切な言葉にまとめ直す。
最後に
積み木方式の3ステップを使うことで、記述問題に対する苦手意識を克服し、着実に得点を上げることが可能。
文章を積み木のように積み上げることで、どんな記述問題にも対応できる力を身につける。
この方法を繰り返し練習し、自信を持って記述問題に挑戦することが大切。