日本の旧国名:暗記メモ

1. 東北・北陸地方

  • 陸奥(むつ)
    現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県の一部。広大な地域を占め、古代からの日本の要所で、特に平安時代には蝦夷(えみし)の勢力が強かった。

  • 加賀(かが)
    現在の石川県。江戸時代、前田家が統治した加賀藩の所在地で、経済力のある藩として有名。

  • 飛驒(ひだ)
    現在の岐阜県北部。山岳地帯で、飛驒高山など観光地としても知られる。

  • 越後(えちご)
    現在の新潟県。日本海に面し、漁業と米作りが盛んで、上杉謙信の治めた地域でもある。

  • 信濃(しなの)
    現在の長野県。山岳地帯で、善光寺があり、古くから信仰の中心地としても知られる。


2. 関東・甲信越地方

  • 甲斐(かい)
    現在の山梨県武田信玄が治めた地域として有名。周囲を山で囲まれており、戦国時代には要衝となった。

  • 武蔵(むさし)
    現在の東京都、埼玉県、神奈川県の一部。江戸時代には江戸(現在の東京)が中心となり、幕府の政治の中心地となった。

  • 安房(あわ)
    現在の千葉県南部。古代から海運の要所で、房総半島の先端に位置する。

  • 相模(さがみ)
    現在の神奈川県西部鎌倉幕府が置かれ、鎌倉市が含まれる地域。

  • 常陸(ひたち)
    現在の茨城県。江戸時代に水戸藩が置かれ、徳川光圀(黄門様)で有名。

  • 越中(えっちゅう)
    現在の富山県。漁業や米作りが盛んな地域で、上杉謙信と武田信玄が戦った戦場でもある。


3. 中部地方

  • 遠江(とおとうみ)
    現在の静岡県西部。浜名湖があり、東海道の重要地点で、古代から交通の要所。

  • 三河(みかわ)
    現在の愛知県東部。徳川家康の出身地であり、戦国時代から江戸時代にかけての重要な地域。

  • 尾張(おわり)
    現在の愛知県西部。織田信長の本拠地であり、戦国時代に日本統一の中心となった。

  • 近江(おうみ)
    現在の滋賀県琵琶湖を中心にした水運の要所で、政治的・経済的な発展が見られた。


4. 近畿地方

  • 伊賀(いが)
    現在の三重県西部伊賀忍者の里として知られる地域。

  • 伊勢(いせ)
    現在の三重県東部。伊勢神宮があり、古代から信仰の中心地。

  • 山城(やましろ)
    現在の京都府南部。平安京や京都市を含み、日本の古都として発展した地域。

  • 丹後(たんご)
    現在の京都府北部。日本海に面し、漁業と織物産業が盛ん。

  • 淡路(あわじ)
    現在の兵庫県淡路島。古代から重要な交通の要所で、神話にも登場する地域。


5. 中国・四国地方

  • 周防(すおう)
    現在の山口県東部瀬戸内海に面し、室町時代には大内氏が支配していた。

  • 長門(ながと)
    現在の山口県西部。日本海に面し、交易や海上交通の要衝

  • 安芸(あき)
    現在の広島県西部。戦国時代には毛利氏が支配し、厳島神社がある地域。

  • 出雲(いずも)
    現在の島根県東部。出雲大社があり、国譲りの神話の舞台。

  • 伯耆(ほうき)
    現在の鳥取県西部。大山を含む山岳地帯で、農業と海上交通が盛ん。

  • 隠岐(おき)
    現在の島根県隠岐諸島。流刑地としても知られ、隠岐の島などが含まれる。

  • 伊予(いよ)
    現在の愛媛県。瀬戸内海に面し、港湾都市として発展。

  • 土佐(とさ)
    現在の高知県。坂本龍馬の出身地で、幕末の動乱において重要な役割を果たした。


6. 九州地方

  • 薩摩(さつま)
    現在の鹿児島県西部。西郷隆盛や大久保利通が活躍し、明治維新で重要な役割を果たした。

  • 肥後(ひご)
    現在の熊本県。熊本城を築いた加藤清正で有名。阿蘇山の影響を受ける火山地帯。

  • 日向(ひゅうが)
    現在の宮崎県。天孫降臨の神話に関連し、古代の信仰の中心地。

  • 大隅(おおすみ)
    現在の鹿児島県東部古代から海上交通の要衝で、薩摩藩の一部として発展。

  • 対馬(つしま)
    現在の長崎県対馬。朝鮮半島との国際貿易の窓口として重要。

  • 壱岐(いき)
    現在の長崎県壱岐島古代から国際貿易や文化交流の拠点として発展。


旧国名に関する知識ポイント

歴史的重要性

  • 出雲:古代神話の国譲りの舞台として重要。出雲大社が中心的存在。

  • 相模:鎌倉幕府が置かれたことで、武家政治の始まりとなった地域。

  • 肥後:戦国時代から江戸時代にかけて加藤清正が築いた熊本城が有名。

地理的な特徴

  • 近江:琵琶湖を中心とした水運の要所。東西を結ぶ交通の要衝。

  • 遠江:浜名湖を通じた海上交通と東海道の交通の中心。

  • 日向:古代から天孫降臨の神話に関連し、信仰の中心地とされる。

経済的・文化的な特色

  • 周防:瀬戸内海を通じた交易が盛んな地域。室町時代に大内氏が支配。

  • 越中:漁業と米作りが経済の中心。戦国時代には上杉謙信と武田信玄が争った場所。

例題:考察型問題

【例題1】次の選択肢のうち、歴史的背景を基に最も関連性が高い地域の組み合わせを選びなさい。

  1. 出雲 – 常陸

  2. 周防 – 越中

  3. 相模 – 近江

  4. 肥後 – 日向

解答:4. 肥後 – 日向
解説:肥後と日向は、共に九州地方に位置し、古代から火山活動の影響を受ける地域です。肥後は熊本県で、阿蘇山が存在し、日向は宮崎県で、天孫降臨の舞台となっています。地理的な関連性や自然環境を基にした考察が必要です。)


【例題2】次の歴史的出来事に関して、どのむかしの国名が最も関連性が高いか選びなさい。

  • 鎌倉時代に武士が政治を掌握し、幕府が置かれた場所

  1. 出雲

  2. 相模

  3. 遠江

  4. 伯耆

解答:2. 相模
解説:鎌倉幕府は相模国にある鎌倉市に置かれ、源頼朝が幕府を開いた。この問題では、鎌倉時代の歴史的背景を知り、正しい地域を関連づける必要がある。)


【例題3】次の組み合わせに対して、それぞれの地域が持つ自然環境や産業の発展に関して、共通する特徴を述べなさい。

  • 周防(すおう)と越中(えっちゅう)

解答例: 「周防(山口県東部)と越中(富山県)は、いずれも海に面しており、瀬戸内海(周防)や日本海(越中)の海上交通が発展していました。両地域では、古代から中世にかけて水運が経済の発展に寄与しており、漁業や海上貿易も盛んでした。」


【例題4】次のむかしの国名に関連する神話や歴史的伝承について、それが現在の地域に与えた影響を説明しなさい。

  • 出雲日向

解答例: 「出雲は出雲大社を中心とする古代神話『国譲り』に深く関わっており、現代の島根県ではその歴史的・宗教的な影響が観光や文化に強く残っています。一方、日向(宮崎県)は『天孫降臨』の神話の舞台となっており、天照大神の孫・ニニギノミコトが降臨したという伝説が、現代においても地元の祭りや神社の信仰に影響を与えています。」


【例題5】むかしの国名が現代の産業や文化に与える影響を、以下の国名から一つ選び、その理由を説明しなさい。

  • 相模(さがみ)

  • 肥後(ひご)

  • 常陸(ひたち)

  • 伯耆(ほうき)

解答例: 「常陸(ひたち):茨城県に該当する常陸国は、水戸藩が置かれ、徳川光圀(黄門様)の影響で文化や学問が発展しました。現代では、ひたち(Hitachi)製作所などの産業が発展し、電子産業や工業技術の中心地となっています。古代から現代に至るまで、政治や技術の発展に大きく寄与しています。」

【例題1】次の国名と現在の都道府県の組み合わせのうち、誤っているものを選びなさい。

  1. 陸奥 – 宮城県

  2. 安芸 – 広島県

  3. 越後 – 富山県

  4. 薩摩 – 鹿児島県

解答:3. 越後 – 富山県
解説:越後は現在の新潟県に該当し、富山県ではありません。)


【例題2】次の中から、古代日本における国際貿易に関係する国名を選びなさい。

  1. 伊予

  2. 対馬

  3. 武蔵

  4. 加賀

解答:2. 対馬
解説:対馬は日本海に面し、朝鮮半島や中国との貿易や交流が盛んで、国際的な窓口として機能していました。)


【例題3】次のむかしの国名のうち、現在の愛知県に該当する国をすべて選びなさい。

  1. 尾張

  2. 三河

  3. 越中

  4. 丹後

解答:1. 尾張、2. 三河
解説:尾張は現在の愛知県西部、三河は愛知県東部に該当します。)


【例題4】次の歴史的な出来事に関連するむかしの国名を選び、なぜその地域が重要だったのかを述べなさい。

  • 関ヶ原の戦い(1600年)

解答例: 「尾張三河が重要でした。関ヶ原の戦いでは、東軍と西軍がぶつかり合い、尾張や三河は徳川家康の出身地でもあったため、戦略的に重要な拠点となりました。この地域の武士団が家康の勝利に貢献しました。」


【例題5】以下のむかしの国名における自然災害に関する出来事や、それが現代に与えた影響について説明しなさい。

  • 肥後(ひご)

  • 飛驒(ひだ)

解答例: 「肥後(熊本県)では、近年の熊本地震(2016年)が地域に甚大な被害をもたらしました。肥後は阿蘇山など火山地帯でもあり、古代から地震や噴火の影響を受けています。
一方、飛驒(岐阜県北部)は地震の多発地域であり、特に濃尾地震(1891年)は日本最大級の地震で、この地域に大きな影響を与えました。両地域ともに、地震に対する防災意識が現代でも高まっています。」


発展的知識と考察

地理的観点からの考察

むかしの国名は地理的に広がっており、地域ごとの自然環境や経済、文化に大きな影響を与えていました。たとえば、瀬戸内海に面する周防は古代から中世にかけて海上貿易が発展し、現在でも広島県や山口県が重要な経済拠点となっています。また、日本海に面する越中も漁業や港湾の発展が現在の富山県に続いています。

歴史的観点からの考察

鎌倉時代の相模や、戦国時代の肥後は、いずれも政治の中心や武将たちの活動拠点となりました。これらの地域では、近代に至るまで政治的な影響が強く、例えば熊本市(肥後)は、加藤清正が築いた熊本城が観光名所として今でも存在し、その歴史的遺産が地域文化に影響を与えています。

神話的観点からの考察

出雲日向のような神話の舞台は、現代においてもその伝説や神社が信仰の対象となり、文化や観光業にも大きな影響を与えています。古代から受け継がれる物語が、地域の人々の誇りやアイデンティティとして根付いていることがわかります。


最終ポイント

このような発展的な知識を活用し、受験生は単なる暗記にとどまらず、歴史や地理、文化がどのようにして現代まで続いているのかを深く考察できる能力が求められます。例題も、単に知識を問うのではなく、因果関係や共通点、影響を考察する問題を多く取り入れることで、思考力を養うことができます。


いいなと思ったら応援しよう!