日経チャレンジ #15=SBI新生銀行は、企業価値向上策を打ち出せ=
SBI新生銀行が公的資金の返済がまだであることを初めて知りました。
今回はSBIHDによるSBI新生銀行のTOBのお話です。
1.SBIHDがSBI新生銀行のTOBを打ち出す
SBIホールディングスが、奇策を打ってでた。連結子会社であるSBI新生銀行に対するTOBを始めた。SBI新生銀行はプライム市場に上場している一方で公的資金の返済が完了していない。今回のTOBは同社を上場廃止にすることで、公的資金の返済を探る考えだ。
2.SBI新生銀行に残された公的資金返済
SBI新生銀行は、金融破綻が相次いだ1990年代後半に行われた公的資金の返済が残る唯一の銀行だ。SBI新生銀行の前身は旧日本長期信用銀行であり、1998年に経営破綻している。その際に受けた公的資金の返済が3500億円残っている。同時期に公的資金の注入を受けたりそなホールディングスやあおぞら銀行は返済を終えている。
3.なぜ返済が滞るのか
政府は、公的資金を注入した際に対価として優先株を受け取った。政府が示す返済目標とする株価の水準は7450円。この水準が返済に向けた前提条件と位置付けられている。ただし現在の株価は5月19日時点で2800円。約1/3もの差が開いており、この前提条件には遠く及ばない。SBIホールディングスは、この前提条件をなくしてしまうために、TOBによって上場を廃止するという奇策にでた。この手法は、SBI新生銀行が立ち上げた特別委員会の委員からも反対意見が出ている。約23%を保有する大株主である国と少数株主への扱いが平等原則に反しないかという点だ。
4.税金の使徒に透明性を
公的資金の返済へ乗り出す姿勢は、大いに歓迎したい。一方で、上場廃止とは、開かれた市場から姿を消すことを意味する。SBI新生銀行が過去に税金である公的資金を注入された意義を示すためにも、社会に対しての企業価値向上の具体策や説明姿に期待する。
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