日経チャレンジ=地域医療の再編にご理解を=
コロナ渦で、発熱したときに病院に行くことに苦労した人は多いのでは?
発熱外来はどこもいっぱい。
なんなら県外のヒトは、PCR検査会場に行っても検査してもらえなかったり・・
やっと5類に移行したコロナのお話とは違い、今回は少子高齢化に伴う医療ニーズの変化のお話。
在宅医療、家族だけで対応することは困難。育児も介護も地域で進めたい。
1.人口減×高齢化社会は医療ニーズが変わる
人口減と高齢化社会は、国民が共有している日本の具体的な未来だ。その未来には様々な課題があるが、特に医療・介護を地域で確保していくことは社会生活の機能の中でも最優先すべき事項だ。
少子高齢化によって、医療のニーズは変わる。急性期患者と呼ばれる病気になり始めた時期の患者は減り、回復期と呼ばれる病気になる前の生活に戻すことを目指す患者が増える。
2.回復期病床は必要数の半数が不足している
ただし厚生労働省の需要推計によると、21年時点での回復期病床は19.3万床、25年までに必要な病床は37.5万床と、需要に対して病床が半数も追いついていない。一方で急性期病床は21年時点で54.9万床、25年までに必要な病床は40.1万床と需要を上回る病床がある状態だ。厚生労働省はこれらの課題に対して、地域医療構想を打ち出して2014年から取り組みを続けている。ただし実際はコロナウイルス渦による影響もあり、改革は進んでいない。
3.回復期医療には地域連携が不可欠
地域社会も自ら進んで変わろうとする姿勢が重要だ。回復期医療には、訪問医の充実や個人情報の地域共有が欠かせないだろう。退院後の患者を家族だけに任せることは、介護疲れ等から悲惨な事件を生み出しかねない。
在宅医療は、受け入れる側である患者側の情報も地域で共有する必要がある。家族間のみで患者を受け入れることは、介護疲れからくる悲惨な未来を生み出しかねない。AIでは解決できない、人と人とのコミュニケーションを取り続けることができる、そんな地域医療を政府や行政は実現することを期待したい。