面白いお母さん

私のお母さんは、とても面白い。
存在自体が面白いとも言える。
特に変顔が面白く、その驚異的な面白さは、こちらが笑いすぎてお腹が痛くなるくらいである。

よくデパートの化粧品売り場に飾ってあるモデルさんの写真を見て、モノマネをしている。単刀直入に言って、全くもって似ていない。自分では本気で似せていると言っているが、全くもって似ていない。

また、ある日はエスカレーターに乗っているとき、お母さんの前に乗っている人のカバンに大好きなコジコジのキーホルダーがついていたようで、興奮しながら私に「ねえ、ママの前にいる人、コジコジのキーホルダーしてるんだけど」と、結構大きな声で言ってきた。幸いにしてその人はイヤホンをつけていて、私たちの会話が聞こえていないようだった。人生で初めて、この世界にイヤホンが普及していることを心から良かったと思った瞬間だった。

このように、私のお母さんはとても面白く、いつも人を笑わせている。そのため、私もだんだん人を笑わせる能力が身についてきた。しかし、まだまだお母さんには敵わず、にらめっこでは必ず大敗北してしまう。「にらめっこしよう」といったこちらが返り討ちにあうという始末だから、今の私の目標は、「お母さんをにらめっこで笑わせること」だ。いつかこの目標がかなうように、日夜変顔の修行に勤しんでいる。