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【カフェ開業】♯4 商店街を巡る冒険 ~いつかどこカフェ~

【前回までのあらすじ】※小説ではありません。念の為。
四十にして惑いまくっていたカフェジローは、カフェを開業しようと一念発起した。
しかし、住んでいる大船の商店街で物件探しを始めたものの、えらく高い家賃相場にうろたえた。
そこで、引っ越すことを前提に、都内近辺の商店街を巡る冒険(ただし日帰り)に出ることを決意したのであった……。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

毎週末、僕はいろんな街を見ました。
これほどたくさん電車に乗った期間はありませんでした。

井の頭線、京王線、小田急線、京急線、世田谷線、京浜東北線、埼京線、
舎人ライナー、京成線、西武池袋線、西武新宿線、都営大江戸線、
丸ノ内線、田園都市線、大井町線、相鉄線、都営荒川線、
横浜ブルーライン……。

初めて乗る電車、初めて降りる駅もいっぱいありました。
ときにはその鉄道会社の一日乗車券を買い、ひと駅ごとに降りて、駅前の商店街を調査しました。

そして電車だけでなく、レンタルサイクルも活用しました。
都内だと、ひと駅ごとの距離が近いこともあり、自転車のほうが便利な地域もありました。
暑い日には、顔と腕が真っ赤に日焼けしていました。


たくさんの商店街を見て、自分の街の好みの傾向というのがだんだんとはっきりしてきました。
活気があるというのはもちろんですが、下町情緒が漂っている雰囲気が好きなのです。
大手のスーパーではなく、地元の八百屋さんや魚屋さんにお客さんが集まっていると、なんだか嬉しい気持ちになるのです。
店員さんとお客さんが店先でやり取りしている会話にもほっとします。
ただ便利なだけではない、昔ながらのやり方をしている商店街が好きなのです。

そんな中から、お気に入りの街を挙げると、
横浜ブルーラインの弘明寺商店街、江東区の砂町銀座商店街、そして三ノ輪橋商店街も下町感がぎっしりでした。
もちろん浅草なんかも下町感は満載なのですが、観光地なので家賃も高く、ちょっと手が出せないので、今回は諦めました。

それから、下町感は少ないですが、西武線沿線の江古田、野方なども住みやすそうな街ということで、とくに念入りに通いました。


そんな風に各駅、各商店街に行っては、僕はNotionで作ったデータベースに、星の数(☆1つ~5つで評価)と、自分で撮った写真と、街の印象コメントをこつこつと書き込んでいく作業をしていきました。


だがしかし、そうやって街に評価をつけていくと、高評価の街もあればトーゼン低評価の街もあるわけで……。

ホントに得も言われぬほど悲しい街というのがありまして、それはもう電車を降りた瞬間、肌で感じるのですよ。都心でも、です。
うら淋しい風がホームを吹き抜けている、といいますか。
そんなときは改札を出ることなく「ヤだなぁ、怖いなぁ」と稲川淳二のマネをしながら、次の電車にまた乗っていく、ということになりました。

活気のある街を歩いて、僕は本当に元気をもらえました。
かつて活気があったであろう商店街の、降りたシャッター群を見るのは、本当に気が滅入りました。

でも、この街巡りは結果的に、自分の経験値を上げるのに役立ったと思います。
気がつくと、Notionには110もの街(商店街)の記録がついていました。

自分で高評価をつけた場所には何度も訪れ、その他にも雑誌やネットでも取り上げられた街を調べて、足を運ぶようにしました。


そして、数年前にテレビの街歩き番組でロケをしていた、ひとつの商店街を僕は思い出しました。
そこは下町情緒あふれるとてもあたたかそうな街でした。

埼京線・十条駅の十条商店街に僕は行ってみることにしました。


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