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置かれた場所で咲き続ける/寺西拓人くん
寺西くんとの出会いは2021年冬、何気なく見に行った映画SHOCK。映り込む表情一つ一つがかっこよくて、気付いたら目で追っていた。てらにっしを読むことが日課となり、漂う生活感に恋をした。婚活に勤しんでいた当時は、「寺西を探す」と意気込んだ。勿論、寺西くんはどこにもいなかった。
程なくしてJr.卒業と情報サービス開始のお知らせ。それからの4年間、すごく充実した日々だった。現場に次ぐ現場。役を通して、どんどん寺西くんのことをすきになった。舞台映えするスタイル、力強い歌声、美しい所作…外部の舞台では幕間に「誰かしら?」とパンフレットを開く人がたくさんいて、心の中で「寺西くん、最高でしょ!」と叫んだ。
映画の舞台挨拶やまくおろLIVEでは、ファンの団扇や応援に喜びや感謝を伝えてくれた。その度に、またこういう機会があったらいいなって話していた。活動が役者中心になっても、根底にアイドルとしての自我をもってる寺西くんがすきだと思った。作品内のスーパー寺西タイムでは、ありったけの思いを手拍子に込めた。客席にいる同士の愛で一体感が生まれる瞬間がすきだった。作品以外でも歌って踊る寺西くんを見たいと思ってた。
うん。思ってた。そう思ってたんだよ。でも、こんな形で、歌って踊る姿が全世界に大公開されて、とんでもない数の人をメロつかせて、毎日のようにXにオタクの虚妄が垂れ流される世界を誰が予想した????
正直この決断にはすごく驚いた。でも、寺西くんから語られる言葉には希望を感じた。「芝居をやりたい気持ちもホント」「これまでの僕自身は絶対に否定したくない」あ、大丈夫だって確信した。誰のことも置いていかない温かさ。すべての選択を正解にする強さ。そうだった、寺西くんって優しくて強い人だ。
審査の過程で、スキルの高さと人間力が評価されて大フィーバー。ぜんぶ、知ってた。歌や踊りがうまいこと、ユーモアがあってバランサーなこと、ぜんぶ知ってた。ほらねって思った。2位に「悔しい」と零すこと、かわいいなんて余裕なこと、ぜんぶ知ってた。やっぱりねって思った。
あれ?
ふと気づくと、得体の知れない渦に飲まれそうになった。
置かれた場所で満開の花を咲かせ続けた寺西くんの今までが、何かが足りなかったように語られたり、どこかのだれかの自己満足や利益のために消費されたりするのを目にすると、悔しかった。なんか違うのにって思った。
でも言葉にするのは怖かった。見ない振りをして、心に蓋をした。
そんな気持ちのまま足を運んだ、ミュージカル『HERO』寺西くんの初日。
舞台の上の寺西くんの堂々とした佇まい、大きな声、のびやかな歌、コロコロと変わる表情…だいすきな寺西くんがそこにいた。目の前のお仕事に真摯に向き合う人。そうだった、わたしは、こうやって、寺西くんのことをどんどんだいすきになっていったんだ。意図をもって編集された画面に映る寺西くんでもなくて、誰かのフィルターを通した寺西くんでもなくて、劇場で重ねた時間の中で募った「すき」。
寺西くんってすてきでしょ。最高でしょ。声を大にして世界中に叫びたい。きっとこれからも、あのとき寺西くんをすきになった自分に感謝する。
置かれた場所で咲き続けてきた寺西くんが、次はどこできれいな花を咲かせるのかな。寺西くんの人生が希望と挑戦に満ちたものでありますように!