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What's Jenever?(ジュネヴァ)

「ジュネヴァ」という名前を聞いたことありますか?私はクラフトジンを飲みはじめてから、しばらくして、この言葉に出会いました。

「ジュネヴァ」について、私なりに整理してみます。

オランダ語でジュニパーベリーを意味する「ジュネヴァ」はスピリッツ=お酒です。
AOC(Appellation d'Origine Controlee の略称=原産地呼称保護)で指定を受けたもののみ名乗れるためオランダ、ベルギーの一部地域でのみ生産が許されているものになります。

「ジュネヴァ」はジン同様、ベースとなるニュートラルスピリッツの他にモルトワイン(大麦麦芽などの穀物を原料に、単式蒸留で造られる蒸留酒=スピリッツ)が含まれています。

大きく分けてヤング・ジュネヴァとオード(オールド)・ジュネヴァの二つに大別されており、ヤングとオード(オールド)の言葉の意味は、その造り方(蒸留方法)スタイルによる古さを示しています。

オード(オールド)・ジュネヴァは、少なくとも15%のモルトワインが含まれていて、砂糖も1Lに対し20gまでとされています。アルコール度数も決められており、30%以上(ベルギー)、35%以上(オランダ)、一般的に35〜38%と比較的低めです。またオード(オールド)・ジュネヴァは必ずしも熟成しなくてよいけれど、美しい麦色を出すために樽熟成されているものが多くあります。

ヤング・ジュネヴァは、15%以下のモルトワインであること、砂糖は1Lに対し10g以下であることとされています。
ヤング・ジュネヴァは少ない穀物量で作られており、歴史的な背景(戦争の影響による穀物不足)もあり次第にヤング・ジュネヴァが発展・普及していきました。そしてオード(オールド)に比べて軽く、無色透明でクセの少ないヤング・ジュネヴァが時代経過とともに好まれていき、現在の主流となったようです。

「ジンはオランダで生まれ、イギリスで洗練され、アメリカが栄光を与えた」という言葉があります。この"オランダで生まれ"という部分が「ジュネヴァ」のことになるようです。

現在のジュネヴァは、先に書いたようなスピリッツになりますが、13世紀半ば頃「ジュネヴァ」原形のようなものとして蒸留酒が薬用として用いられていた時代があります。ジュニパーベリーは薬効のある植物として知られており、例えばワインと組み合わせて蒸留されたりしていました。16世紀頃になるとジュニパーベリーが入った「ジュネヴァ」の'味'や'香り'が洗練されていき、薬用ではなく嗜好品としても一般的な飲み物として定着していったようです。
オランダで「ジュネヴァ」が流行ると、イギリスでも「ジュネヴァ」のような蒸留酒を造りたいという人が増えました。当時、イギリスの蒸留技術は未熟であり、質の悪さを隠すためにもボタニカルが多く使われた製品がうまれ、呼び名も「ジュネヴァ」から「ジン」へと変化していきました。ヤング・ジュネヴァがドライジンになっていったのです。
ジンが"オランダで生まれた"というのは、こういうことのようです。

ジン起源には諸説あるようです。
オランダのライデン大学医学教授シルヴィウス博士が「ジュネヴァ」をつくったという話もあったりしますが、その時期より古い文献に「ジュネヴァ」記録があるようで、詳細は不明のようです。(シルヴィウス教授は当時、胃腸によいとか利尿効果、強壮効果とか言われていたジュニパーベリーを用いた蒸留酒をつくり植民地の熱帯病対策をした人ではあるけれど「ジュネヴァ」始祖では無いっぽい)

オランダ以外でも、実はすでに11世紀頃にイタリアの修道士がジュニパーベリーを主体にしたスピリッツを製造していたとの説もあったりするようです。

ジュニパーベリーは植物としての分布域が広く、ハーブとしての薬効にも期待があったため、古くから様々な国で人々の生活と共に、ジュニパーベリーとお酒の組み合わせが嗜まれていたということでしょうか。(文献は残ってなくても在ったかもしれない推察が拡がる)

「ジュネヴァ」についてはココまでになります。
※長い文章を読んで頂き有難うございます
※『ジンの全て』(きたおか ろっき著)参考
("What is Gin?"記事で紹介した本を参考にさせてもらいましたが本当にジンを学べる本です)

最後に「ジュネヴァ」を紹介します。
◯ボルス ジュネヴァ(Bols Genever)

生産国、地域:オランダ アムステルダム
度数/容量:42%/700ml    2008年発売
麦の香り、甘みも感じられるそう

この記事を書いてて、私、ジュネヴァ飲んだことあったかな?と思ったので(思い出せない)、近いうちに飲んでこようと思います。
※飲めたら追加レビュー書きます。

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