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大野村撫斬事件

秋田市仁井田地区に14年ほど住んでいました。近所の方々は穏やか、かつ親切で、楽しい思い出しかありません。国道13号線を挟むように住宅街があり、さらに周りは広い水田があります。初夏の夜にはカエルの大合唱です。稲刈りの時期、農道を一つ森公園に向かってジョギングすると、一面黄色い稲穂で壮観です。国道13号の下をくぐる地下道(仁井田ふきっこロード)の壁に仁井田郷土かるたが埋め込まれています。この仁井田郷土かるた、子供の授業や行事で接する機会がありました。その中で一枚異質なものが。

何やら侍が抜刀しかけています。一方、農民は気持ちにっこり?。22人が撫で斬られ!?何やら尋常ではありません。これは1696年(元禄9年)に生じた大野撫斬事件を表したかるたです。大野撫斬事件の詳細はWikipediaに書かれているので割愛します。ご参考に。

こんなのどかで平和なところで、330年前といえど凄惨な事件があったとは。強固な身分制度の中で、農民は常に抑圧されていたイメージ、実際そうだったと思うのですが、理不尽な思いをすれば、命をかけて武士をボコボコにしたんですね。しかし、22人も処刑(もう一人、ショックで悶死した女性もいたようです)なんて、恐ろしい時代です。仁井田マルダイ、木漏れ日のテラスの交差点を右折し、茨島方面に向かう道路はジョギングに最適です。ラーメン「仲江戸」を過ぎたあたりで、事件の発端となった古川(今は用水路みたいです)の車一台ギリギリ渡れるくらいの橋を渡ると、大野撫斬事件の慰霊碑があります。どうやらこの場所付近で処刑が行われたようです。

南無

また、今の仁井田福祉センターあたりは、切上という地名なのです。侍が撫で切った首を掲げて、意気揚々と歩いているところ、私刑(処刑)をやめるようにお城から来た使者と出会い、「もう切っちゃった」といったのが、「切上」の地名の由来だそうです。

なお、近くには都市伝説「首なしライダー」の元になったレンタルビデオ店がありましたが、場所を変え、タリーズも入った大きな本屋になりました。

仁井田付近に住んでいる職場の方に、大野撫斬事件について聞くと誰も知りませんでした。仁井田は交通の弁がよく、過疎化が進む秋田にしては新しい家がたくさん立っています。流石にこの事件も歴史の中に埋もれてしもうのでしょうか。

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