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国家試験、専門医試験の思い出
医師国家試験
今週末は医師国家試験ですね。受験生の皆さんお疲れ様です。私が受験したのは25年前、2000年でした。試験前日、みんなで新幹線に乗って、同じホテルに泊まっての受験です。なんだか修学旅行みたいでした。新幹線やホテルの手配は4、5年生の皆さんがやってくれたと思います。前日は友人に誘われて、仙台のアーケード街にある天下一品のラーメンを食べました。友人は試験前日に余裕のあるところを見せたい。と謎の発言をしてパチンコ店に消えていきました。前夜、ホテルの部屋にいると扉の下から、「事前情報」みたいなビラが、複数枚スッと入れられるのですが、その中身は実際試験に出ませんでした。試験は完全に忘れましたが、淡々と終わりました。当時長文問題、C問題が少し難しかったぐらいかな。パチンコに行った友人も無事受かりました。
医師国家試験はマークシート、選択問題なのでクイズ気分で勉強も実は楽しかったです。イヤーノートという漬物石にできそうな参考書をみんな持っていました。
参考書といっても重要ポイントの羅列なので、「なんでそうなるの?」は当時「チャート」シリーズを読んで納得しました。納得したらクエスチョンバンクという過去問集をひたすらやるだけでした。
私は心配症だったので、早くから国家試験勉強していましたが、前述の友人は6年生の卒業試験(10月くらい)から取り掛かっていました。
今の国家試験はどうかわかりませんが、国家試験は資格試験なので、高得点を目指すのではなく、いかにみんなと同じ答えを出すか。が重要なようです。みんながイヤーノートやってる時に、ハリソン内科学の原著を読むとか、友人との勉強会に参加せず、山に籠り一人修行僧のように勉強する人は落ちたりしました。ただ、国家試験に落ちたからといって能力が低いわけではありません。落ちた人も後に医師になって素晴らしい業績を上げている例を結構知っています。特に研究においては、今までにないような視点が役立つからです。
内科認定医試験
医師になって、5年目に受けました。その間、1年半近く研究だけだったので、よく受けれたなと思います。試験自体は非常に簡単でした。前日、会場の東京、都市センター近くのカフェ・ベローチェで、医局の後輩から借りたイヤーノートの「血液」だけ読んで臨みました。後輩から借りたの忘れて、イヤーノートに線引いてしまいました。認定医試験は症例の提出、剖検例、手術例集めるのに苦労しました。当時、全科ローテーションではなく、ストレート入局だったので、神経内科の私は症例に偏りや、剖検、手術例が乏しく、同じ医局の消化器内科の先生にお願いして、患者さんみさせてもらったり、サマリー書いたり、剖検に参加させてもらいました。その時、ナンバー内科でよかったなと心底思いました(私の大学は神経内科として独立した医局ではなく、消化器内科と合わせて、第一内科でした。ナンバーとは第一、第二とのことです)。でも結局、クローン病をアレルギー症例にするという強引技でしたが。
神経内科専門医試験
翌年、神経内科専門医を受けました。諸先輩から、神経内科専門医試験は難しいと脅され、戦々恐々していましたが、実は私が受験する数年前から易化していました。いろんな大学の先生方の努力で作られた過去問プリントをひたすらやりました。この試験は流石に緊張しました。これに落ちると「何者でもない医師」感があったからです。でも、試験自体は肩透かし的に簡単でした。ただ、後日、二次試験の口頭試問が難敵でした。詰められるとしどろもどろになる悪癖が出てしまい散々な出来でした。絶対これ落ちたと思い、ガックリしました。口頭試問後、友人と東京のスポーツバーで2006年ワールドカップ、ポルトガルのフィーゴ見ようと約束してたのですが、ごめんして、帰りの羽田空港で来年の口頭試問に備えて、岩田誠先生の「神経症候学を学ぶ人のために」を読んで線を引きました。
幸いにも、試験官の先生方が優しかったために受かっていました。受かりましたが、口頭試問のダメダメさは今も苦い思い出です。でも、専門医試験を通して、神経内科で何が大事なのか、問われているのか、良い道標になりました。
総合内科専門医試験
神経内科専門医試験が終わって、これで試験人生は終わりだと余裕をかましていましたが、2014年、内科専門医試験の制度が変わって?「総合内科専門医を取らないと、神経内科専門医などのサブスペシャリティ資格を失う」という噂が広がりました。そのかわり、2014年から数年間は内科認定医であれば、症例提出なし、ペーパー試験にさえ受かれば総合内科専門医になれるというチャンスタイム!でした。当時、中学生の長男が勉強嫌いで、どうしようかと思案していましたが、「そうだ!親が勉強する姿を見せれば良いんだ!」と久しぶりにイヤーノートを買いました。さらに内科学会の出してる問題集、内科学会誌の確かめ問題を解きました。神経内科専門医試験のようなプレッシャーもなく楽しく勉強できました。試験会場は五反田。チャンスタイム初年度でたくさんの人が受験していました。試験が終わり、会場下にあるユニクロで下着を買って、その足で関ヶ原へ夏休み旅行に行きました。
そんなわけで、いわゆる最後の試験から10年以上経ちましたが、この年になると、試験の緊張感がないとボケてしまいそうです。何か試験ないかなと思いますが、その前に学会に入ったり、研修指定施設で症例経験しないといけなかったりと、今の私には困難です。日本史検定とか受けてみようかな。
勉強嫌いの長男も看護師になって頑張っています。看護師国家試験の日は、自分の時よりも緊張しました。試験が違うので、「みんなと違うことしないんだよ」としかアドバイスできませんでしたが。長男にレビューブック(医師のイヤーノートみたいなもの)やクエスチョンバンクを買ってあげましたが、全く線も何も、開いた形跡もなく、ブックオフで売ることができました。どうやって勉強したんだろう?本人は「アプリ」と言っていました。時代も変わったのぉ。