いきなり白文鳥
学校から帰ったら、スチール製の立派な鳥籠が玄関にあった。
中には白っぽい鳥が1羽。
いきなり鳥さん登場。
可愛いけど、鳴いてない。
インコじゃないのは分かるけど、小学生の自分には何の種類か分からなかった。
「白文鳥の手乗りだよ」
当時、何故か友達のなかでも文鳥を飼っているお宅が多かった。桜も並も可愛いなと思っていたところだ。
白文鳥の割に、背中が灰色だった。
この子はまだ初めてのトヤの前だった。
こどもだったんだ。
なんでも前の飼い主さんは、手に入れたはいいが
飼育本を読んで色々な病気を目にしている内に
怖くなり、飼えなくなってしまったとか。
子どもながらに腹が立って仕方なかった。
だから、うんと可愛がってあげようと
毎日世話をして、放鳥してあげた。
いつの間にか灰色の背中は真っ白になり、
艶々だ。いい匂い。
男の子で、囀りも上手。
なんて可愛いんだろう。
汗をかいてしまうほど、手の中で眠るのが好きだった。
病気ひとつする事なく、毎日元気。
牛乳大好き。
…ちょっと飛ばなくなったかな。
ゴハン、減りが遅くなったかな。
でもまだまだ遊びたい、出せ〜と騒ぐんだ。
自分が社会人になった。
帰りが遅くなり、遊んであげられる時間が
短くなっていた。1時間あったかな。
でも世話も続けていた。
リビング続きの玄関に籠があるから
朝も夜も声をかけていた。
11年目に虹の橋を渡っていった。
ポツポツと、れんげの花が咲き始める頃だった。
向こうで待ち合わせしてる子が、いっぱいいるんだ。
迷子のニワトリ、レースの途中で怪我してた鳩
迷いウサギ2羽、犬も居るし、キミの後に飼った
もう1羽の白文鳥。
待っててよね、虹の橋の袂だよ。
集合しててね。
必ず見つけるから。
皆んなで一緒に橋、渡るんだから。