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尾崎先生の授業解説セミナーからの学び


百聞は一見に如かずだけではなく…

「百聞は一見に如かず」は、中国の漢書「趙充国伝」 に書かれている話が
由来となっています。
この意味は、「繰り返し他人の話しを聞くより、実際に自分の目でたしかめてみたほうがよくわかる」となります。

さて、このことわざに続きがあることをご存知でしょうか? 
実は、「百聞は一見に如かず」のあとに5つの言葉が続きます。
①百聞は一見に如かず
②百見は一考に如かず
③百考は一行に如かず
④百行は一果に如かず
⑤百効は一幸に如かず
⑥百幸は一皇に如かず
これら5つの言葉は、後の時代の人々が考えたそうですが、
とても興味深い内容です。

簡単に言うと、
①数多く聞くよりも、自分で見る方が正しく理解できる
②数多く見るだけではなく、自分で考えなければ意味がない
③数多く考えるだけではなく、行動しなければ何も変わらない
④数多く行動しても、結果を出さないと成功できない
⑤成功するだけではなく、幸せにならなければ価値がない
⑥自分が幸せになるだけではなく、周囲の人達をも幸せにすることが大切だ
となります。

尾崎先生の授業解説セミナーに参加して、授業を見るのも大切だけど、授業を見るだけではなくその時の教師の思いなど聞いて初めてわかることがたくさんあるなと感じました。さらに、そこで終わらず、これからの授業づくりに活かしていこう(上記の⑥)という思いが高まりました。

尾崎先生の授業づくり

 今回のセミナーは、1年生の「かたちづくり」の単元の授業をもとに解説していただきました。その授業では、子どもたちが課題に惹きつけられ、尾崎先生の発問に目を輝かせて反応し、一生懸命考えている姿がずっと続いていました。

 尾崎先生の授業づくりには、次のような仕掛けがあったのではないかと考えました。

課題設定について

 今回の課題は、前時の学習で「子どもたちが気になっていたこと」を課題にしていました。本時の課題を書いていたのは尾崎先生でしたが、「その中身は、子どものハテナ」だったのです。
 学習に限らず、やらされていることよりもやりたいことをしている方が熱中して取り組むことができるのは当たり前のことです。尾崎先生は、前時の流れから本時の課題を設定し、本時の流れから次時の課題(4枚使うといくつの形ができるのか?)を設定されていました。単元を通じて子どものハテナが持続するような授業づくりをされていました。
 また、本時の計画も、子どもの様子を見ながら計画を変更し、続きを次時に回すようなことも行っていました。教師が敷いたレールに子どもたちを無理やり乗せるのではなく、子どもたちにハテナが生まれるようなしかけを考えながら、自然に尾崎先生が考えていたレールに載せていくような授業計画の妙について学びました。

学びの連続性

 授業の前半は、2つの直角二等辺三角形を「ぴたっと」組み合わせて形を作る学びが展開されていました。正方形を作る子ども。1つの二等辺三角形を作る子ども。子どもたちは頭を働かせながら形作りに集中していました。そして、直角二等辺三角形を2枚ぴたっと組み合わせると3つの形ができることをまとめました。
 すると次に、自然に3枚の二等辺三角形を使うといくつの形ができるのだろうという話題になりました。これは、前時でたくさん形づくりをしていたから(伏線を張っていた)こそ生まれたハテナだと感じました。
 ここの反応も素晴らしかったです。「2枚を使うと3つの形ができる」、つまり、2から3に1つ増えているから、「3枚使うと4つの形ができるのではないか」という予想を立てていたのです。1年生で、こんな見方ができるなんて驚きました。もしかしたら、子どもたちの頭の中には表が浮かんでいるのかもしれません。
 このように、1つの課題を解決して授業が終わるのではなく、1つの課題を解決したら、「だったら」この場合はどうだろうという流れで学びの連続性が図られていました。「だったら」の思考ができる集団は、常に頭を働かせているので学びが持続します。そのような集団を創っていきたいものです。

誰もが安心して学びに向かう

 子どもたちは、「課題に関係のある」つぶやきをたくさんしていました。時には、黒板の前に出てきて自分の考えを述べようとしている子ども達もいました。このような姿を制止するのか、しないのかは教師の価値観で異なると思います。
 しかし、シーンとして先生の話を聞いている姿を良しとする授業、先生の構想と異なることを発言すると叱られる授業を行っていると、子どもたちは萎縮して、授業中は発言を控え、受動的な子どもたちになってしまいます。国が求めている「主体的・対話的」な姿とは真逆の姿です。先生方も、一生懸命考えている時思わず声を出してしまう時や、考えを言いたくなる時ってありますよね?尾崎学級では、聞くときはしっかりと聞くというメリハリをしっかり付けながらも、価値あるつぶやきが飛び交う姿が見ることができました。「心理的安全性」という言葉もありますが、まさにそれが保証されている素敵な学級の様子を見ることができました。

おわりに

 他にも、「価値づけの効果」「日々の授業の習慣」「子どもの姿や考えの見取り方と対応」など学んだことがたくさんあります。ここには書き切ることができないほど、たくさんの学びが生まれたセミナーでした。

 冒頭の話に戻りますが、「百聞は一見に如かず」で終わること無く、そこから「百幸は一皇に如かず」まで目指したいと思います。自分も子どもたちもハッピーになる授業づくりを、これからもたくさん考えたいと強く思いました。

                       むらまこ_村山誠@山形

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