地中海と夏の幻【サニーデイハッピーエンド/Galileo Galilei】
「地中海」
一音目を聴いたとき、そんな印象を与える曲だった。
コバルトブルーの水の中、泡が水面に向かって浮かび、弾けていく。自分はその泡の中の1つで、だんだん水面に向かって上がっていく。
水面から顔が出ると同時にイントロが終わり、声が聞こえてくる。
場面が切り替わって、街の中。
太陽が照りつける。軽く汗ばむぐらいの、カラッとした気持ちいい暑さだ。
地中海沿いの街なのだろうか、真っ白な壁が太陽の光を反射して、目をくらませる。
そんな街の中を、白いワンピースを着た少女が、海に向かって駆け抜ける。
滑らかに心の真ん中に流れ込んでくるような音が、そんなきらびやかな景色を描いているように思わされた。
歌詞を見てみると、その印象とのギャップに驚かされた。あまりにも場面が素朴なのだ。
午前9時、アスファルトで舗装された道を、音楽を聴きながら自転車で走る。
電車に乗り込むと、いつもの場所に”君”が立っている。けどすぐに降りてしまった。
午後1時、結局学校をサボってしまった。そうだ、いつもの場所に行ってぼーっとしよう。
「君」のことが忘れられないよ。はぁ。
歌詞で綴られている情景はこんなものだ。何の変哲もない、とある高校生の夏の一日。
なのに、昔過ごした町が、誰もが過ごしたあの季節が、ぼんやりと、それでもどこかはっきりと現れる。
あそこに戻りたいという、どうしようもない衝動に駆られてしまう。
君は夏の光を編んだ髪風になびかせた
僕のシャツが光を反射して目の端つついた
美しい言葉が、眩しい夏のワンシーンを切り取る。
僕は夏の光を浴びすぎておかしくなってる
全てが夏の幻
どんなに恋い焦がれても「君」はそばにいない。焦燥感と虚無感に支配され、身動きが取れない。
それでも主人公は、夏に夢見ることをやめない。こんな風に宣言して曲を締めくくる。
「明日は君に声かけてやる」
若者の青さと豊かな情緒が溢れる4分36秒の夏。
これを聴いた後は、サイダーでも飲みながら路地を散歩したくなって仕方がない。
サニーデイハッピーエンド / Galileo Galilei
作詞 Yuuki Ozaki
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ぼーっとしながらいつもと違う路地に入ったら、この曲を思い出してエモーショナルになったので、その感覚のまま書いてnoteまで始めてみました。
これからあらゆるエンターテイメントの世界観について綴っていきたいと思います。