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【お菓子のおはなし #09】バウムクーヘン1919
ユーハイムのお菓子づくりは 「< /0(スラッシュゼロ)>のお菓子をつくる」こと。
お店や、商品で伝えきれないお菓子の熱い思いをこちらでご紹介します。
< /0(スラッシュゼロ)とは>:食品表示の「原材料名」に食品添加物を表す「/(スラッシュ)」以降がないこと。
日本のバウムクーヘンの歴史は、1919年に弊社の創業者カール・ユーハイムから始まりました。
その当時から伝わるレシピと製法で焼きあげたのが「バウムクーヘン1919」。
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ユーハイムのバウムクーヘンの中でも特に、しっとり口溶けなめらかな食感が特徴です。
バウムクーヘン1919ができるまでの工程をたどりながら、美味しさへの徹底的なこだわりをご説明いたします。
①こだわりは材料から
バウムクーヘンの主な材料は、
小麦粉・砂糖・バター・卵。
シンプルな材料で作られているお菓子だからこそ、材料選びにもこだわりました。
バター
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特に「バター」にこだわっており、北海道産の低水分バターのみを100%使用。ドイツ基準(※)にならい、マーガリンやショートニングなどの油脂は全く使っていません。
(※ドイツ基準・・・バウムクーヘンをはじめとしたドイツ菓子には製造・品質等を定めたガイドラインがあり、 そこで以下のようなレシピが定められています。①油脂は必ずバターを使うこと。 ②膨張剤を使わないこと。③小麦粉・砂糖・バター・卵の基本比率を1:1:1:2とすること。)
バニラビーンズ
また、やさしい甘さと香りに欠かせないのが「バニラビーンズ」。
バウムクーヘンの生地に見られる黒い小さな粒は、香料ではなく天然のバニラビーンズ。とても希少で高価ですが、この薫りは何にも代えられません。
バターやバニラビーンズを使うことで、香料では醸し出せない甘い香りが広がります。
②まろやかなくちどけのための生地づくり「別立て法」
ユーハイムでは、化学的な反応によってガスを発生させるベーキングパウダーなどの膨張剤に頼らず、卵を卵白と卵黄に分けて別々に泡立てる「別立て法」で、生地を作っています。
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卵白を泡立てると生まれる気泡が小麦粉とバターの生地に空気をたっぷりと含ませ、その空気が加熱されることで膨らみます。
また、卵黄の乳化作用(※)を使うことで、乳化剤に頼らず、なめらかな生地づくりができます。
※乳化作用・・・水分(卵白など)と油分(バター)を分離せずうまく混ぜ合わせること。
③職人が片時も離れず焼きあげる。
生地の泡が消えないうちに、オーブンで生地を焼きます。
その日の気温や湿度による生地の状態を見ながら焼きあげるため、美味しいバウムクーヘンには経験豊富な職人技が不可欠です。
木の芯棒
バウムクーヘンの焼成に使用する芯棒は木製と金属製があり、バウムクーヘン1919は「木製」の芯棒に生地をまとわせ、焼きあげます。
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「卵白」を糊として使用します。
金属製の芯棒と比べるとじんわり熱が伝わるので、1層目(バウムクーヘンの中心部分)が、他の外側の層と同じような焼き具合になり、お菓子全体がしっとりとします。
1層目をしっかり焼かないと、生地が芯棒から落ちてしまうことがあります。ただし焼きすぎると少しパサついた食感になってしまいます。
木の芯棒をうまく使いこなすことが、職人の腕の見せ所です。
強火で一気に焼きあげる
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ユーハイムのベーシックなバウムクーヘンよりも、短い時間で焼きあげます。
強火で一気に焼きあげるので、旨味をぎゅっと閉じこめることができます。
また、遠心力でできた自然山のカタチを整えないことによって、さらにしっとり柔らかな食感になります。生地の厚い部分がよりしっとりとした味わいになるからです。
専用オーブン
バウムクーヘンを焼きあげる機械は自社で開発したオリジナルオーブンです。
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オーブンも自前で作っています。
レシピに合わせたオーブンと、それを毎日メンテナンスできる機械技術者がいるからこその、おいしさです。
④仕上げのアラック酒とチョコレートコーチング
仕上げとして、アラック酒を吹きかけた後、チョコレートコーチングをつけて、できあがりです。
アラック酒
やしの樹液などを発酵させて造る洋酒です。バウムクーヘン1919に使用しているのは、サトウキビと米が主原料のアラック酒。
ラムのような香りを感じさせつつ、ラムよりもサトウキビと米の甘味が感じられ、やわらかい香りが特徴的です。
焼きあげた後にアラック酒を吹きかけることで、香りづけとともに、生地をしっとりとさせる効果があります。
チョコレートコーチング
チョコレートコーチングはバウムクーヘンの美味しさを引き立たせ、生地の乾燥を防ぐ役割があります。
チョコレートメーカーと数年取り組んで開発した乳化剤抜きのオリジナルです。
チョコレートコーチングの開発秘話はこちら
■創業者のレシピにあった伝統技術
商品名は、弊社の創業者が日本で初めてバウムクーヘンを焼いた「1919年」に由来しています。
1919年3月4日、広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)で行われたドイツ人捕虜の作品展示即売会において、カールが日本で初めて焼きあげました。
阪神大震災を機に発見された、当時の製法によってつくられているのが、このバウムクーヘンです。
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■おすすめの食べ方「スティック状」
自然山のカタチの良さを堪能できるスティック状でカットして、そのままつまんで食べるのがおすすめです。
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一切れの中にバウムクーヘンの薄い部分から厚い部分があり、飽きがこないおいしさを味わえます。