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第4回(全7回) 気候変動の原因と対策を、科学的手法の知識をもとに整理して、すとんっと腑に落ちるようにしたい

 書籍やネットで情報は見つけられるけれど、もうちょっと掘り下げたことが知りたいなぁだったり、嘘か本当かわからないものだったり、出典が英語のため読む気力が失せたりします。
 自分なりに知ったことをここで皆さんと共有したいと思います。


14.気候変動への対応

 さて気候変動に対してどのような対応があるかというと、大きく分けて以下の4つです。*1)

(1) 適応 : 気候変化による悪影響に対処すること

例)・栽培する農作物を変化した気候に合うものに変える
  ・防潮堤をつくる
  ・人間の生活に適した地域に移住する

問題点:資金が豊富な国、個人でしか対応できない。つまり基本的な公平性のテストに不合格である。

(2) 緩和 : 気候変化そのものを回避する政策

例)・人口を減らす
  ・世界の財やサービスの消費を減らす
  ・技術向上によって排出する二酸化炭素の量を減らす

問題点:・人口減少策はさまざまな社会的問題を生む。倫理上踏み入れてはいけないものである可能性が高い。
    ・世の中は消費拡大の要求が非常に強く、政治的に取り組めない状況。
    ・二酸化炭素排出量の増加具合に対し、技術向上のスピードが追いつかない。

(3) 太陽放射管理:地球が吸収する太陽エネルギーを減らすための気候システムを改変する

例)成層圏に二酸化硫黄を注入し、エアロゾルを増やして太陽光を宇宙空間に反射させることによって、寒冷化を促す。

問題点:
・寿命の短いエアロゾルを散布し続けなければならない。二酸化炭素を減らしているわけではないので、散布をやめたら急激な気温上昇を招く。
・気温上昇は抑えられても、二酸化炭素が原因のそのほかの環境問題には対応できない。
・地球環境に広範囲に及ぼす影響がわかっておらず、大きな負の影響を受けた国と戦争になるかもしれない。

(4) 二酸化炭素除去:大気中の二酸化炭素除去を早めるために、二酸化炭素の循環を積極的に操作すること

例)・植林する
  ・海洋に鉄を投入する
  ・科学的に除去する

問題点:
・二酸化炭素を減らすだけの植林、海洋への鉄投入が気候変動を止めるのに間に合うスピードで展開できるのか。いまの排出量を相殺するための植林面積は、インドの面積相当であり、非現実的である。しかもそのための資源や資金を十分振り向けられるのか疑わしい。
・科学的に除去する:二酸化炭素を科学的に変化させて、別なものにするためには、大規模な排出をしている油井、鉱山、パイプライン、製油所などと同規模の、何兆ドルもの設備投資と数十年の歳月がかかる。


 IPCCの第6次評価報告書では、適応と緩和に焦点が当たっているようです。
 気候目標が達成されるためには、適応および緩和の資金はともに何倍も増加させる必要がある、と述べているからです。*2)

*1)「現代気候変動入門」アンドリュー・E・デスラー著、神沢博監訳、石本美智訳、名古屋大学出版会。第11章

*2)「IPCC第6次評価報告書(AR6)総合報告書(SYR)の概要」環境省 地球環境局 (https://www.env.go.jp/content/000126429.pdf。2024年11月参照

15.まとめ

 気候変動の対策には大きく4つの分類があります。気候変動の抜本的な解決策は、緩和です。

つづく・・・

次回は
16.いつやるべきか
17.誰が率先して取り組むべきか
の予定です。 

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