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第1 回(全7回) 気候変動の原因と対策を、科学的手法の知識をもとに整理して、すとんっと腑に落ちるようにしました


1.目的

 気候変動の原因と対策を整理します。

 書籍やネットで情報は見つけられるけれど、もうちょっと掘り下げたことが知りたいなぁだったり、嘘か本当かわからないものだったり、出典が英語のため読む気力が失せたりします。
 たまたま興味を持って手に取った本から、いろいろわかったことを自分なりに咀嚼して投稿します。とはいえ長文になってしまったので、7回に分けて掲載します。今回はその第1回です。

2.このまとめで心掛けたこと

(1) 信頼できる情報を判別する方法を理解します。
(2) 気候変動対策の大枠を理解します。
(3) これからどうすれば良いか、の大枠を理解します。
(4) 気候変動対策を遅らせようとしている親分はだれか、を理解します。
(5) 出典元を明確にすることで、その情報の信頼性を明確にします。

3.著作権について

 ここで引用している図やグラフは、出典元の利用許可を得たもの、または出典元の利用規約に違反しないと判断したものです。
 いずれの場合も商用利用の禁止、転載禁止、加工の禁止などの諸条件が付けられています。
 本記事はそれら規約を踏まえた利用をしています。したがって掲載している図やグラフは同じ利用規約が適用されます。
 この記事に掲載の図、グラフなどを二次使用することは、それら規約に抵触する恐れがありあなたに著作権侵害の疑いをかけられる可能性があります。
 したがって本記事の図表は使用せず、出典元の規約類を確認した上で、出典元のデータを入手することをお勧めします。

4.情報の信頼性は科学的手法かどうか

 どの情報が信頼できるか、いかがわしい情報はどれかを判別する方法は「科学的手法」がとられているかどうかです。
 これは専門外の分野について正しい知識を得る、ひとつの確かな道筋です。

 科学的手法とは次のステップを踏んだものです。

 ステップ1 科学者個人が仮説を立て、検証するために実験し、結論を出す。

 ステップ2 科学コミュニティの他の人々によって妥当性が判断できるよう、実験に使った手法やデータなどのあらゆるものを論文にして発表する。

 ステップ3 他の研究者が論文を批判的に査読して、分析の誤りや弱点を探す。それらがなければ科学論文として発表される。

 ステップ4 他の科学者が再現実験し、同様の結果が得られるか再検証する。

 ステップ5 再現実験と再検証の数が重なるほど、その理論は正しいものとして受け入れられる。

 ステップ6 ある主張の再現実験、他の検証で査読付き論文がいっぱいになると、その主張は十分に検証されているため、そのまま科学的真実とみなされる。組織立って出現するこの状態を「科学的コンセンサスが得られた」状態という。

 このような批判的、疑いの目を持って検証され、そのハードルを超えた主張のみが科学的真実となります。そのため科学的手法が採られた情報は信頼できるとみなせます

 また政策立案者にとって必要な情報をわかりやすくまとめた査読付き論文の要約「科学的評価書」も信頼できるものです。なぜなら評価書もその分野の他の専門家によって、正確に要約しているかどうかをさらにチェックすることができるからです。

 科学的評価書を発表する組織の一つにIPCC(気候変動に関する政府間パネル)があります。*1)
 政府間パネルという言葉の通り、科学的専門家の書いた報告書は、各国政府が詳細にチェックします。場合によっては自国に都合の良いような表現や内容にするようバイアスをかけてきます。執筆者はそれらに対し科学的根拠に基づく反論や妥協点を見つけていきます。

 このようにIPCCの報告書は科学者が一方的に書いたのではなく、各国政府も参加する共同作業によって完成した報告書です。したがってその報告書の結果は参加国も尊重せざるを得ないのです。

 批判的にチェックする仕組みが働いているIPCCの報告書は、気候変化に関する科学的知識の最も権威ある声明と広く見做されています。*2), *3)

*1) https://www.ipcc.ch
*2)「現代気候変動入門」アンドリュー・E・デスラー著、神沢博監訳、石本美智訳、名古屋大学出版会。第1章 1.4.1, 1.4.2項
*3)「IGS専門家による「IPCC 第6次評価書統合報告書のここに注目しました」」https://www.iges.or.jp/jp/publication_documents/pub/briefing/jp/12941/IPCC統合報告書のここに注目しました_統合版_2.pdf、2024年11月参照

5.ここまでのまとめ

 まずは何の情報が信頼できるのかという前提条件を確認しました。それは科学的手法で検証されているかどうかです。
 この共通認識がなければ、誰が・どのような組織が、確からしいことを言っているか判断するのが難しいからです。

つづく・・・

次回は
6.気候変動の原因
7.未来の環境予測
8.気候変動で引き起こされる問題
9.1.5℃目標
の予定です。

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