【座談会】和歌山大学足立ゼミと情報都市の空き家実態調査の振り返り!空き家問題のこれからについて
社会問題として取り上げられる「空き家問題」。私たち泉佐野市で不動産業を行う株式会社情報都市は、和歌山大学足立ゼミの学生さんと半年にわたってアルバイトとして空き家共同調査を行いました。
テーマは、大阪府泉佐野市の空き家調査。半年間、現地の実態調査から法務局調査、フォーラムでの発表までを行いました。本記事では半年間を振り返りながら、皆さんと空き家問題について座談会を行った様子を記事でまとめます。
本記事の内容
◯2024年に半年にわたってアルバイトとして空き家共同調査を実施
◯空き家の実態調査からフォーラムでの発表までを振り返り
◯この記事では約半年間を振り返る座談会を実施
空き家の実態調査に参加した背景について
ー河島
まずは今回の空き家調査に参加した背景を教えていただけますか?
ー井上さん
日本中で空き家問題が深刻化している中で、僕たちのゼミが地域課題の解決や地域活性化に取り組むゼミだったこともあり、いい研究機会になると思い参加しました。
ー松本さん
足立ゼミに入って、今回は情報都市さんのような企業との調査は貴重な機会だなと思ったのがきっかけです。普通のゼミだと企業と共同でやることは中々ないですね。
ー藤井さん
空き家問題を知っていましたが、実際に目にする機会がなかったので、貴重な経験になると思って参加しました。また、将来は空き家をリフォームしてカフェを開きたいという夢もあったので、その第一歩にもなりました。
ー増田さん
私は徳島県出身ですが、徳島県は和歌山県と並んで空き家率が高いワーストエリアです。大阪で空き家調査をするとき聞いた時に、大阪には空き家がないと思っていました。そこで実情を自分の目で確かめるために参加しました。
空き家調査をして感じたギャップとは
ー河島
実際に空き家を調査して気づいたこと、大変だったことがあれば教えてください。
ー藤井
空き家を特定する作業が大変でした。大学のゼミでもフィールドワークは行いますが、風景や雰囲気を捉えることがメインだったので、空き家を0から探す実態調査は新しい気づきがありました。
ー井上さん
はじめた頃は、空き家の選定基準がしっかりしていなかったので、手探りでした。何が空き家かの判別ができなかったです。国の基準を参考にしたり、みんなの意見を参考にしながら決めていきました。
ー松本さん
私は高石市出身で、同じ泉州地域である泉佐野市も雰囲気が似ていると思っていました。高石市は区画整理が盛んにされて、道も整備されています。しかし、泉佐野市を実際に調査すると、区画整理されているところもありますが、入り組んだ道も多くて迷路になっていることも多く土地勘がない分大変でした。
ー増田さん
泉佐野は大きいビルがある一方、市街地で空き家がたくさんあることがわかりました。元々大阪は都会の印象があり、空き家がないと思っていたので、その対比が衝撃的でした。また、登記簿謄本の調査もしました。宅建を勉強しようと思って、テキストを買ったのですが、そこで出てきた情報(相続や錯誤など)が実際にあるんだと思って驚きましたし、楽しかったです。
空き家調査の前後で変わったイメージがあれば教えてください
ー河島
空き家調査前と調査後のギャップはありましたか?
ー井上さん
空き家放置のリスクが思ったより深刻なんだと思いました。身近なものだからこそ、慣れてしまっていて特段危険を感じることもなかったです。実際に調査してみると、空き家が雰囲気を悪くしていることを肌で感じました。
ー藤井さん
私にとっても身近にあるけど遠い存在でした。すごく古いものが空き家というイメージがありましたが、意外と歩いてみると新しく見える建物も空き家の可能性があり、こんなに近くにもあるというのが新鮮でした。まだ使えそうなのに、これも空き家なんだと思ったことが衝撃でした。
ー松本さん
確かに。ボロボロの家を空き家でイメージしていたのでそれは新鮮でしたね。足立ゼミはまちづくりのゼミなので、数字上では空き家の確率は知っていました。実際調査してみると、至る所に空き家が多い印象で、統計の空き家率とまた違うことを実感しました。
ー増田さん
私が住んでいるエリアでは、空き家をあまり見たことはなかったです。泉佐野市で現地調査をして、住めそうな空き家が多く、ボロボロの印象の空き家とは大きく違いましたね。
ー河島
皆さん元々空き家といえばボロボロのイメージが強かったのですね。そのイメージはどこからきてるのでしょうか?
ー松本さん
普段街で見かける空き家の印象がそうでした。瓦が剥がれていたり、草木が生えていてパッとみてわかるもののイメージです。細かいところまで見ていなかったので、改めて空き家を探すと、外から見ても、リノベーションをせずに住めそうな品質が高い家が多かったですね。
ー福元
住めなくなったから空き家になるのではなくて、住む人がいないから空き家になっているということが問題ですよね。昔は使えなくなったから空き家だったものが、今はいろいろな種類の空き家が増えていて、住宅が余っている感覚があります。きちんと使えば空き家率も下げていけるのではないか、空き_問題は手がつけられないと思っているのに、もう少し光がある気もしますよね。
空き家活用フォーラムで発表してみてどうでしたか?
ー河島
2024年10月には、空き家活用フォーラムで発表の機会がありました。感想はどうでしたか?
ー藤井さん
緊張しました。笑
ー井上さん
半年間研究したことを、足立先生や実際に住んでいる方の前で発表できて、なおかつ好評もいただいていたようで嬉しかったです!
ー福元:
実際に街に出て行動した調査で、発表もまとまっていたので、空き家所有者さんもとてもわかりやすかったのではないかと思いました。他の方のコンテンツを聞いた感想はありますか?
ー井上さん
第3部のパネルディスカッションでAirbnbの方のお話を聞いて、空き家をビジネスに繋げていく重要性を感じました。Airbnbさんのような完成された仕組みがあることに驚きました。
ー増田さん
Airbnbさんも築100年以上の古民家を活用したコワーキング、コミューンさんが具体的でわかりやすかったです。
ー藤井さん
特にコワーキングスペースCOMMUNE代表の渡辺さんの話は、自分達でも真似しやすいなと思いました。クラウドファンディングを利用した資金集めやDIYなどの道筋を教えてくれたので、わかりやすかったです。
まとめ:空き家調査を振り返って
ー河島
今回空き家問題を振り返って、起きた変化はありましたか?
ー藤井さん
ずっと前から空き家を使ってリフォームすることに憧れていたので、将来、山で暮らして地域の人が来られるような場を作りたいと思っています。世の中のためにもなるし、心機一転頑張れそうだと思っています。また、今回の調査やフォーラムを通して、空き家の活用イメージが具体的になりました。若い時に空き家を買ったり、クラウドファンディング活用をすることで、ゼロから始めることができそうで、遠い存在が近くなった気がします。
ー増田さん
今回の活動を通して、自然と不動産会社に目が入り、空き家や店舗の看板も目につくようになりました。
ー井上さん
歩いて街を見て回るのが元々好きなので、綺麗な景色を見ることが好きでした。空き家は目で追うようなものではなかったのですが、空き家に目がいくようになると、そこにも価値があり、活用方法もイメージできるので楽しく感じました。
ー松本さん
空き家を見させてもらって、今はいいかも知れないが、5年後、10年後、南海トラフが起きたらどうなるのか、被害が増大しないかなど怖くなりました。
大学で熊本の災害ボランティアに参加したこともあり、所有者不明空き家のせいで復興が遅くなってしまうところもあると聞きました。管理されていないと危険性がより増すのかなという気がしました。特に泉佐野市は細い道もあり、ボロボロだったら道が塞がれるところも多かったのではないかと。防災という点でもいろいろ考えさせられました。
ー河島
ありがとうございました!
和歌山大学副学長 経済学部教授 足立 基浩 様からのコメント
この度は、空き家データの入手方法や、実際入手のための段取り、その意味付けについて学ぶ機会をいただいた。株式会社情報都市様に厚く御礼申し上げます。
学生たちの発表を近くで拝見させていただきましたが、たくましく分析結果を発表する学生の姿に感銘を受けました。社会科学の学習における真の洞察力をこの間身に着けてくれたように思います。ありがとうございました。
まとめ
今回は、株式会社情報都市と和歌山大学足立ゼミの皆さんと、空き家調査の振り返りを行いました。私たち情報都市では、約40年泉佐野市を拠点に、築古の戸建やビルの再生を通じて地域の活性化を行って参りました。
「空き家」の言葉で連想するイメージは人によって異なり、また関わり方も異なります。今回は学生の方々とともに地域の実態を調査することで、新たな視点を育むことができました。
先述の通り、空き家自体が問題ではなく、空き家が放置されることにより価値が毀損されることに大きな問題があると考えています。ますます増える住宅ストックに新たな価値を生み出せるよう、我々も挑戦を続けて参ります。
和歌山大学足立ゼミの皆さま、この度は貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。
また、今回の座談会の会場として、築100年の古民家を回収したコワーキングスペース「COMMUNE」をお借りしました。