そしてバトンは渡された、森宮さん名言。みぃたんと5人の親たちの物語
前略 森宮さん
泣いて、泣いて、泣いた。
天邪鬼なわたしなので、実際には構えてしまって、予告で散々「泣ける」と言われる作品で泣けた試しがない。
そんなわたしが、今回は泣いた。
涙と鼻水を抑えるのがたいへん過ぎるくらいに泣かされてしまった。
森宮さん、あなたの優子ちゃんへのあの愛情の注ぎ方は何ですか。自分の人生の喜びの全てを優子ちゃんに変換して、親として彼女を立派な大人にすることをミッションにして毎日を生きている。揺るぎのないその真っ直ぐな行動の継続が、ただただ愛おしくて、うらやましくて、あなたのような父親でありたいと思わずにはいられませんでした。
理想を語って何が悪い、
夢を見て何が悪い、
誰が何を言おうと、わが子のために全てを与え続けるあなたのようにありたい。
娘を信じ、
娘をずっと見守り続ける。
森宮さんの無償の愛情にわたしの涙を捧げます。
映画「そして、バトンは渡された」あらすじ
血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子は、わけあって料理上手な義理の父親、森宮さんと2人暮らし。今は卒業式に向けピアノを猛特訓中。将来のこと、恋のこと、友達のこと、うまくいかないことばかり…。
一方、梨花は、何度も夫を替えながら自由奔放に生きている魔性の女。泣き虫な娘のみぃたんに目いっぱい愛情を注いで暮らしているようだったが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまった。
そして、優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに、まったく別々の物語が引き寄せられるように交差していく。「優子ちゃん、実はさ…。」森宮さんもまた優子に隠していた秘密があった。父が隠していたことは? 梨花はなぜ消えたのか? 親たちがついた〈命をかけた嘘〉〈知ってはいけない秘密〉とは一体何なのか。
2つの家族がつながり、やがて紐解かれる《命をかけた嘘と秘密》。物語がクライマックスを迎え、タイトルの本当の意味を知ったとき、極上の驚きと最大の感動がとめどなく押し寄せる─。
ネタバレ、梨花の愛情と森宮の愛情
石原さとみさん演じる梨花は、みぃたんの父親水戸さん(大森南朋さん)と結婚して、みぃたんのお母さんになる。
梨花はお母さんとして、みぃたんの幸せのためだけに全てを捧げていた。水戸さんが夢のため、ブラジルに行こうと言った時には猛反対、結局離婚して、みぃたんを引き取った。パパと離れて淋しい思いを募らせるみぃたんを失いたくない一心で、みぃたんが水戸さんに宛てた手紙を投函せず、また水戸さんからみぃたんに届いた手紙は渡さなかった。そして、ピアノを習いたいというみぃたんのために、新たな結婚相手、泉ヶ原さん(市村正親さん)を見つける。やがて、梨花は満たされ過ぎる生活に息苦しさを感じて、みぃたんを置いて泉ヶ原さんの元を飛び出してします。
その後、東大卒のエリート、森宮さんと再婚して、優子の父親になってもらった。梨花に子どもがいることを結婚式当日に知らされた森宮さんは、戸惑いながらもその時の気持ちを口にする。
俺、本当にラッキーだったよ。優子ちゃんがやってきて、自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなに意味をもたらしてくれるものなんだって知った
子どもがいることを結婚式当日に知ったとしたら、ハプニングでしかない。普通ならパニック状態で、逃げ出したくもなる。そんな場面で、森宮さんは、「ラッキー」と前向き過ぎるコトバを口にした。そして、この子を全力で育てる覚悟を決める。
男は中々「父親」にはなれない。経済的な支援や休日の家族サービスくらいはやるのかもしれないが、母親に比べて、父親としての役割を自分じゃないといけないというところまではもっていけない。この子をもっと幸せにできる変わりはいるのかもしれない…なんてことまでも考えてしまうことがあるくらいに、無責任なところがあったりする。
森宮さんは、梨花がいなくなったあとも、優子を必死に育て、いい距離感を保ちながら、優子に愛情を注ぎ込む。それに優子も素直に応える。なんだかとてもいい親子だなーと思ってしまう。
ラスト、優子の結婚を祝うために、3人の父親たちが集まる。水戸さん、泉ヶ原さん。そして、森宮さん。3人ともが、優子のことを愛をもって育て、見守り続けた。何人も親がいることは、側から見ると絵に描いたよう不幸な女の子に見えるが、この家族からはそんな不幸さは微塵も感じられない。その理由は、優子を思う親たちがそこにいたこととその親たちを思う優子がいつも笑顔だったからなのかもしれない。梨花がみぃたんに贈った「笑顔の大切さ」が全てをハッピーエンドにしてくれたのだろう。
素晴らしい映画を観ることができたことに、感謝します。
また映画館に行きたい。
きっとまた、泣くんだろうな。