⑥女子大生の「何気ない一言」から教えられたこと
私は2003年5月から、学生たちが地元の企業を取材し、雑誌を編集、発刊して、週に一度、定例勉強会を行う「企業取材サークルFUN」(現在は福岡女子大学が拠点)の顧問を、20年間引き受けています。
毎週土曜の朝から若者たちと集い、若者たちが学びたいと望むテーマに沿ってオリジナルの講義を行い、若者たちと楽しく語り合う「FUNゼミ」は、2023年4月の時点で通算1079回を数え、私の大切な時間であり、生き甲斐の一つです。
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このサークルFUNで、2022年10月~11月にかけて、『コスパ病』をテキストに用いた全9回の「FUN地域活性化塾」を行いました。
全9回を学び終え、「お買い物体験」にリアルな変化を感じた若者たちは、折に触れて、買い物での自分のこだわりや買った物を私に話してくれるようになり、私は若い世代、それも消費の主導権を握る女性たちが『コスパ病』の意義を正しく理解し、日常の買い物で小さな地産地消活動を実践し始めたくれたことに対し、大きな喜びを感じています。
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そんな中、2023年を迎えたある冬の日、少しだけ早くFUNゼミの教室に来た学生たちが、面白い話をしていました。
九州最大の繫華街である天神地区は、最近、40年ぶりとも言われる大規模な再開発を行っており、多くの商業ビルが建て替え、拡張、リニューアルを行っているところです。
その天神の北部に、自損型輸入業者も複数入居する商業ビルがあり、このビルも一棟まるごと改装中で、若い女性が好きなプチプラ商品の一大集積拠点も、しばらく休業中です。
女子大生たちの話がこのビルの話題に及んだ時、ある学生が、「けどさぁ、なくなっても、全然困らないんだよね。てか、あるから『惰性的に行ってた』ってだけの話で、ないならないで、問題ない。私、あってもなくてもいい店で、別に必要でもないモノを買ってたんだ、って気付いたの。それに、なくなってみて初めて、『私、国産のお店、全然知らんやん!』って分かった!」と言ったのです。
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「惰性的に行ってた」とは、なんと適切な表現でしょうか。
商品が好きだから行っていたのではなく、メーカーに共感するから買っていたというわけでもなく、ただ安いからなんとなく行っていたと学生は言ったのです。
行って買っているうちは自分でも理由が分からなくても、店がなくなって行かなくなると、「行ってた理由が自分でも分からなくなった」とは、コスパ病がまさしく「病気」であることを語る貴重な証言です。
さらに、その唯一の消極的な理由だった「安さ」の背景と自損型輸入商品の素性を正確に理解すると、「惰性こそ真に恐るべき病気であり、問題の根源であること」が分かり、自損型輸入商品から積極的に遠ざかるという、大事な一歩を踏み出すことができるのです。
行く理由と行かない理由の両面から買い物を見つめた時、日本経済はきっと好転します。
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