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「サンダルで座り込む女性」から見える東南アジア市場

東南アジアの都市には足のマッサージのお店がひしめいています。

昔から路地裏探検や散歩で長時間歩き回るのが好きな私も、20歳の頃に住んだマレーシアはじめ東南アジアの街を歩き回ると、中東や欧州を歩いた時より足が疲れやすいと感じ、それがマッサージ店の多さの一つの理由だと考えています。

そんなことを考えながら、帰国便に乗る前にマッサージを受けに行くと、利用者の多くが女性であることに新たな疑問が湧いてきました。

彼女たちは靴底がペラペラの安いサンダルを履いており、改めて見ると東南アジアの街は使い捨てのサンダル屋が非常に多いです。

その気付きを福岡留学中のインドネシア女性に話したら、「インドネシア女性は、日本でハイヒールを履くことに憧れているんです。日本では前を向いて歩けますからね」と教えてくれました。

確かに、クアラルンプールバンコクの歩道は舗装状態がひどく、段差がボコボコで、水溜り、ゴミ、水道管、突起物、穴があちこちにあり、まるでゲームをやらされているようです。

「前を向いて歩ける」は絶妙な説明で、確かに東南アジアの街は路面が不安で、ハイヒールなど履けたものではありません。

個人的に最も路面状況がひどいと感じるのはジャカルタマニラで、歩道の歩行そのものが、まるで「踏み台昇降運動」です。事実、よほど整備された区域を除いて、女性たちはペラペラのサンダルを履き、子供のような歩き方をしていて、足首も太く、疲れてあちこちに座り込んでいます。

靴底に適した素材が発明され、安価に提供され始めた50年ほど前まで、実は人類の歩行は「前足部着地」でした。

かかとへの衝撃の蓄積は、足のみならず下半身を極度に疲れさせるので、人類はかかとから着地せずに走っていたのです。それが、かかとから着地してもケガせず、濡れずに歩け、走れるようになると、人類の歩き方が変わってしまい、下半身の疲れは慢性的なものになっていきました。

ドイツスウェーデンなどヨーロッパの一部の国は足の健康にきわめて高い水準の文化を有していますが、東南アジアは「安さ一辺倒」で、足の健康をとても軽視しています。足裏の疲れはすぐに全身に及び、頻発する休息は怠慢な性格に転換し、肥満と疾病を招き、生きる意欲を挫きます。

下半身の健康は足、道、歩き方が揃って初めて叶うもので、「安全に歩いて健康を保つこと」への海外のニーズはとても大きいものです。

日本のビジネスチャンスの一つです。



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