【30】がん保険の注意点~『がん保険』のトリセツ~
前回は『一般的ながん保険の例』というタイトルで、がん保険が必要なお金に対して、どのような備えになっているのか、について触れてみました。今回は、一般的ながん保険の注意点について、一緒にみていきたいと思います。
まさに今、がん保険のパンフレットを手にしているあなたへ、お届けしたいおはなしです。
『あれも出る、これも出る、全部出る?』の錯覚
これは保険に限ったはなしではないかもしれませんが、パンフレットを見ると、こんな時も出る、あんな時も、さらには・・・といった感じで、あらゆるケースに対応している感じがしたりします。パンフレットはマーケティングツールなので、アピールするのは当然ではありますが。
大切なことは、
たくさんかいてある=100%カバー
とならないことです。100%カバーしてあるのであれば、全てに対応しますと断言するはずです。ですから、いっぱいアピールポイントがある場合は、どこにウィークポイントがあるのか、知ることが大切です。パンフレットに限らず、営業担当者から勧められるときも、いいところだけでなく、弱いところを説明してもらうことが大切です。
大事なことは右下に小さく書いてある
例えば、パンフレット内に、がん患者さんのうち、3人に2人は、抗がん剤治療を受けますとか、今がんの治療は外来通院が増えています、などといったデータがのっていて、それに対し
抗がん剤治療を受けたら1回10万円お支払いします
入院・通院を問いません!
などといったことが大きく書かれています。ただし、そこには※がついていて、右下に小さい文字で
※健康保険適用の抗がん剤治療に限ります
などと、書いてあります。一方、健康保険適用でない抗がん剤治療でも払ってくれるがん保険では、
抗がん剤治療を受けたら1回10万円お支払いします
入院・通院を問いません!
自由診療にも対応!!!
とアピールされています。
保険の場合『出ない場合』を知ってから判断することが、本当に、本当に、本当に大切です。
がんになってしまった・・・でもがん保険に入っておいてよかった・・・
今回はお支払い対象外です・・・
これだけは、避けなければなりません。そんながん保険にはけっして入らないでいただきたいと思います。
一生涯の保障だから安心???
それからCMなどでも耳にすると思いますが、『一生涯の保障だから安心』というもの。これ、保険の専門用語で言うと、『終身保障』と言い、
生きている限り保障が継続します
ということです。長生きの時代、生きている限り守ってくれると、なんとなく安心という感じはします。
ところで、保険会社がCMやパンフレットで『一生涯の保障だから安心』とアピールするということは、そうでないものもあるということです。少し難しくなるかもしれませんが、これ『保険期間』というはなしです。
生きている限りの『一生涯(終身)保障』に対して
期間限定の『定期保障』
という選択があります。これは、10年とか、指定した期間だけ保障しますというものですが、普通に考えると、終身保障の方がよさそうです。でも実は、同じ保障の内容であれば、終身保障の方が、あなたが毎月負担する金額(保険料といいます)が、高くなります。
ただ家計負担以上に、終身の弱いところ、定期のよいところと私が思うのは、
タイマー機能があるところ
です。10年の期間であれば、その終了が近づくと、保険会社からそのお知らせが来ます。延長しますか?どうしますか?と。前にもお伝えしたように、がん治療の主流が変わると、自分のがん保険が対応できない可能性があります。ですから、定期的にメンテナンスが必要ですが、なかなかきっかけがないと、忘れてしまいがちです。『終わりますよ』と言われれば、『対応しなければ・・・』と感じると思います。
ただ、現在のトレンドですが、がん保険は終身タイプの方が主流になっています。
シンプルで、かつ見通せる将来に対して
前回の繰り返しになりますが、がん保険は、
あの治療を受けた、この治療をうけた
という、治療に対してお金を払ってもらうよりは、
がんの診断を受けた
という、なったことに対してお金を払ってもらうタイプの方が、トラブルが起きる可能性は低いですし、早く受け取れるため安心だと思います。
また、今回初めて話題にしましたが、『保険期間』について。『終身タイプ』が今のトレンドなので、全ての保険会社で用意があるわけではないですが、10年保障などの『定期タイプ』を選んで、月々の経済的負担を抑え、かつタイマー機能を持って、一定期間ごとに見つめなおすという方針も、是非検討材料にしていただきたいと思います。
定期タイプの場合、期間満了後継続をすると(更新といいます)、月々の負担(保険料)は、高くなります。それを嫌がる方も多いのですが、私はがん保険を含め、保険は一生持つ必要はないと思っています。20年、もしくは30年くらいの貯蓄を作る期間にだけ、かけておけばいいと思っています。
ちなみに、終身保障で加入しても、時代が変わって見直しをしたら、割高な負担をしてきて、結局
定期で利用
ということになります。
保険は、わかりやすく、かつしばらくの間かけておくもの(その間に貯蓄を作っていく)、という考え方もひとつの選択肢としていただければと思います。
次回は『3拍子揃った、がんの保障①』というタイトルで、今回の考え方に基づいた保険について、触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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