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【8】先進医療は夢の治療!?~『がん保険』のトリセツ~

前回から、『がんを知る』ということをテーマにしました。その最初の第7話は、国やお医者さんがいい治療と推奨する、がんの3大(標準)治療について確認しました。

それに対し今回は、一般人にとっては『こちらの方がいい治療では?』というイメージになっているかもしれない

先進医療

について、一緒にみていきたいと思います。

夢の新しい治療のイメージ

みなさまは『先進医療』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。最近は保険会社のCMでもよく耳にします。『先進医療』非常によい響きの言葉ですよね?

私自身の恥ずかしい話からしますと、保険の仕事を始めたばかりの頃は、先進医療のことを

今までの治療では、治すことができなかった病気やケガを治してくれる、夢の新しい治療

そのようにとらえていました。

ところが『先進医療』、そんな治療ではないのです。先進医療がどのような治療かみていきたいと思います。

先進医療は『実験治療』

先進医療は医療に関することなので、厚生労働省が監督しています。

厚生労働省のHPには、先進医療について

厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養

とあります。これを読むだけではわかりづらいですが、太字にしたところが大切です。

厚生労働大臣が
⇒これは、国がということです。
高度の医療技術を用いた療養
⇒これは、一定の治療効果や安全性が確認されているといった意味合いです
・保険給付の対象とすべきものであるか否か
⇒健康保険の適用にするかどうするかということです
評価を行うことが必要な療養
⇒なんらかの判断をするということです

要は、良い治療である可能性があるので、健康保険の適用にするかどうするか、国は今判断しようとしています。

国が判断するためには、何が必要になると思いますか?

これはシンプルに、その治療を行った後の結果ですよね。治ったのか?治ったけど何らかの副作用があったのか?治らなかったのか?そういったデータを蓄積しないと判断はできません。

つまり、先進医療とは・・・

国が判断するためのデータをとるための『実験治療』

ということになります。

簡単に受けることはできない

もちろん先進医療に指定されるということは、すでに一定の治療効果や安全性は確認されているので、良い治療もあるのですが、もともと

国が判断するためのデータをとる

ことが目的となる実験治療なので、実は

受けるための条件

が、国によって細かく指定されています。例えばがんを対象とした治療でいうと、

がんの種類、部位、ステージや過去の治療歴

などについて指定されているので、その治療を行っている病院へ行って『受けたい』と言っても

あなたの場合は対象外です

と言われてしまうことがあります。つまり、先進医療は簡単には受けられないということです。そういった情報をもたず、期待感だけ高めてしまうと、後でハシゴをはずされてしまう恐れがあります。夢の新しい治療とは少し違うかもしれません。

こっちの方が多くの人にとっての『いい治療』?

いかがでしょうか?先進医療と聞くと、患者さんになる側からすると、『いい治療』というイメージになりますが、国やお医者さんが推奨する『いい治療』ではないということが、おわかりいただけたと思います。

でも先進医療にも治療効果が高いものもありますから、選択肢のひとつとして情報を持っておくことは大切だと思います。

ちなみに、先進医療は毎月1日に見直しがおこなわれます。厚生労働省のHPに『先進医療会議』の議事録や資料が貼付されていて、読むと興味深い時もありますので、是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

次回は、がんの先進医療のなかでも最も有名であると思われる、『粒子線治療』そのメリットについてみていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

⇩⇩⇩ 私の会社(株式会社ライフヴィジョン)のHPです


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