【18】セカンドオピニオンとは?~『がん保険』のトリセツ~
前回は『がん治療までの流れ』というテーマで、主治医の先生から治療を提案された時に、考える時間をとることの大切さに触れました。あらかじめがんについての情報を持っていれば、それも可能かと思いますが、必ずしもすべての患者さんがそうできるとは限りません。
そこで今回は、主治医の先生からの治療の提案に対する、判断材料を取得する手段のひとつである
セカンドオピニオン
について、一緒にみていきたいと思います。
これから、先日受けた精密検査の結果を聞きに行くあなたへ、お届けしたいおはなしです。
客観的な意見をもらうため
セカンドオピニオンとは、診断や治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に求める「第2の意見」のことです。
基本的に、今後も現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に利用するものであり、『セカンドオピニオンを聞くこと=転院すること』ではありません。
でも実際のがん患者さんの中には
手術は受けたくない、他にいい治療をしてくれる病院(先生)はないのかしら・・・
といった思いから、セカンドオピニオンをとろうとする方もいらっしゃると思います。
取り方を誤らない!
もし違う治療の選択肢を得たいのであれば、最低限押さえておかなければならないことがあります。それは、
今の主治医の先生とは、違う診療科の先生のところへ行く
ということです。例えば、肺がんのケースで、今の主治医の先生は呼吸器外科だとします。それに対し、別の大病院の呼吸器外科でセカンドオピニオンをとっても、出てくる回答は同じだということです。
一般のイメージだと、大病院であれば、あらゆる治療方法があって、いろいろな選択肢から選べるというイメージかもしれませんが、大病院であればあるほど、治療は
診療ガイドラインにもとづいた標準治療
が推奨されます。ですからひとつのやり方として、手術と言われて他の選択肢を探したいのであれば、放射線科や先進医療のところで触れた重粒子線治療外来など、違う治療を行っているところへ行くということがあげられます。
現実は・・・
実際、主治医の先生に考える時間をもらい、セカンドオピニオンなども含めた情報収集を行おうと思ったとしても、詳しいことを知っている人がそばにいなければ、なかなか難しいかもしれません。
また、セカンドオピニオンは健康保険がきかないので、全額自己負担です。ある東京の大病院のHPを確認したところ、
1時間で4万4千円
となっており、決して安くはありません。限られた時間で自分が望む意見をもらうためには、患者さん側の質問力も必要です。さらに、セカンドオピニオンを受けるために日時の予約を取ると同時に、今の主治医の先生に
紹介状(診療情報提供書)や画像検査結果(CD・DVD・レントゲンフィルム)
などを準備してもらわなければなりません。資料もすぐにできるわけではないですから、まずお願いするために病院へ行って、別日に取りに行くためにまた病院へ行く。意外と時間と手間がかかります。
ということで、最初はいろいろ動こうと思ったけれども、限られた時間では良い動き方がわからず、最終的には次回の診察予約の日が来て、
手術でお願いします
という流れになる方もいらっしゃるのだと思います。
やはりできれば何もないうちに・・・
こういったことをその場で知ると、
なんで患者の側がこんなに面倒な思いをしなければいけないのか?
と感じるかもしれません。でもそれが現時点での
日本の医療のルール
であって、そこへ文句を言っても何も起こりません。知っているか、知らないかだけのはなしなのです。ですから、知識がないままがんの告知を受けて、自分で納得して治療を選択するということは、相当な精神力と体力がないとできないと思います。
だとしたら、まだがんになっていない今のうちに、できる準備はしておいた方が安心だと思いませんか?
ということで、今回はセカンドオピニオンについて確認をしました。次回は『お金の前にまず最初に必要なもの』というタイトルで、ここまでの前半戦のまとめをしていきたいと思います。そして、その前半戦のまとめを終えたら、いよいよ具体的ながん保険に触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。