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【11】標準治療との比較~『がん保険』のトリセツ~

前回は、先進医療に指定される粒子線治療を受けるための条件について確認しました。簡単には受けられないが、一定のメリットはある。では今回は、

3大(標準)治療のひとつである、手術

との比較について、一緒に確認していきたいと思います。

日本人に多い『肺がん』での比較

2018年度、日本では約100万人の方が、がんの診断を受け、2019年度、約40万人の方が、がんでお亡くなりになっています。がんの種類別の数は、診断者数では、

1位 大腸がん 2位 胃がん 3位 肺がん

で、死亡者数では、

1位 肺がん 2位 大腸がん 3位 胃がん

となっています。ここでは、命にかかわる可能性が最も高そうな、肺がんを取り上げて、一般的にお医者さんから提案を受け、行われていることが多い手術と、先進医療である重粒子線治療を受ける場合の違いをみていきたいと思います。

ちなみに前回確認しましたが、重粒子線治療が受けられる条件として、原則

転移がない比較的早期のがん

という条件がありましたので、それを前提としています。

手術が基本

肺がんがわりと早期で見つかった場合、日本では手術が行われることが多いようです。最近は、医療機器の発達で、同じ手術でも身体への負担が小さいと言われる様々な術式が出ています。とはいえ、それは全国のどこの病院でも受けられるわけではないので、ここでは全国でどこでも受けられて、従来から行われている

開胸手術

を見ていきます。人間の肺は、右が3枚の肺葉、左が2枚の肺葉で構成されていますが、その肺葉にがんができてしまうと、がんの部分だけでなく、がんがある肺葉そのものを摘出する手術が行われています。

開胸手術の場合、肺葉を切除するためには、まず脇腹の部分を数十センチ切ります。するとアバラが出てきますので、そのアバラの間をあけて固定する器具を装着して、その間から肺葉を取り出すような治療が行われるようです。国立がん研究センターの資料によると、早期の肺がんで無事に手術で切除できれば、5年後の生存率も約80%となっております。

ただ、がんを切除するために、脇を大きく切っていますから、元気に動けるまでには、リハビリも必要になったりします。場合によって、仕事への復帰には想像以上の時間がかかる場合があります。また、肺葉そのものを切除しますから、術後は肺活量が落ちてしまうなどといった影響もあるようです。

重粒子線治療では

一方、条件をクリアして、重粒子線治療で治療をした場合ですが、こちらは肺がんの重粒子線治療の実績が多いQST病院によると、早期のがんであれば5年生存率が、約50%と一定の成果が出ているようです。手術と違い、患部を見ることができないため、周囲への転移の有無などは確認できないという点が、放射線治療の弱点とも言われています。

ただ一方で、手術であった、体の一部の臓器が亡くなることによる不具合や、身体にメスを入れることによるダメージなどは、重粒子線治療の場合はほとんどないと言われています。しかも1回の照射で治療が終了のケースもあるので、入院自体も不要、しかも体のダメージがなければ、仕事など日常生活への影響はかなり局限できます。

手術に不安のある方に良いと言われています

先ほど名前をあげたQST病院のホームページでも、何らかの理由で、手術ができない、もしくは不安がある方に向いているといった説明がありました。

やはりメリット・デメリットはそれぞれなので、ここに記載した特徴以外のところも含めて、それぞれの方が

どちらのメリットを選ぶか、どちらのデメリットを回避するか

納得して選ぶことが大切だと思います。

ところが現実は、多くの方が比較をして自分で選ぶということはしていません。もともと先進医療は、受けるための条件が細かくて、簡単には受けられないと申し上げてきましたが、実は私はもうひとつ大きな原因があると思っています。

次回は、そのあたり先進医療が受けられない・・・といったことに触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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