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【21】がん入院費用保険とは?~『がん保険』のトリセツ~
前回は『あなたのがん保険はどのタイプ???』というタイトルで、世の中のがん保険は、大きく4つのタイプに分かれるということを確認しました。今回からその4つを、ひとつずつ確認していきたいと思います。今回は『がん入院費用保険』について、一緒にみていきたいと思います。
『がんに手厚い医療保険』といったキャッチフレーズの保険に関心を寄せているあなたへ、お届けしたいおはなしです。
その名のとおり、がんで入院したら受け取れる
医療保険といった保険でおなじみですが、
入院したら1日当たり1万円
といった形で、1万円×入院日数という金額を受け取れるタイプの保険です。その支払い対象が、がんだけのものが『がん入院費用保険』です。がんの治療目的で入院した時の費用をカバーしてもらう目的で入るものです。
あくまで入院が対象ですから、外来通院での治療は対象外です。ですから、以前ご紹介した『4つのがん療養』の中の、左上の部分の一部をカバーという感じです。
保障内容がこれだけというがん保険は、かなり古いタイプで、最近はこれに加えて
手術を受けたら20万円、放射線治療受けたら20万円
など、いくつか組み合わせたものが主流となっていますが、『手術受けたら・・・』といったがん保険は、次回触れる『がん標準治療費用保険』に該当します。
また、冒頭『がんに手厚い医療保険』という保険商品について触れましたが、これは
ケガ・病気で入院したら、1日当たり1万円
がんで入院したら、1日当たり1万円上乗せ(1日当たり2万円もらえる)
※最初のけが・病気の病気には、がんも含まれます
といった内容のものです。
この『がん入院費用保険』は、がんで長期の入院になった場合に『入っていてよかった・・・』と感じると思います。
※ちなみにこの『がん入院費用保険』という名称は、個別具体的な商品名を指しているのではなく、あくまで私ががん保険を分類するために名付けたものです。
以前は入院での治療が基本だった
30年前では、がんになってしまったら、数か月単位の長期入院となっていました。それは、治療の基本が手術で、しかもメスで体を大きく切る大手術が行われることが多く、術後のリハビリにも相当な日数がかかりましたし、その後の抗がん剤治療なども副作用が強いため、そのまま入院して行われていました。
ですからさきほどの1日当たり1万円などの、いわゆる
日額払い、しかもがんは上乗せ
といった内容は、がん患者さんにとって助けになっていました。
しかし現在は、入院はかなり短期化しています。2010年、私の母は乳がんの手術を受けました。何日入院したと思います?答えは、
8日間
です。今、がんで何か月も入院している人はほとんどいません。それが今の現実です。その理由については、長くなってしまうのでここでは詳細に触れませんが、
『医療技術の発達』と『国がそうしなさいと言っている』
と思っていただければいいと思います。その時代の変化(入院の短期化)がもたらすものは何か?
日額払いの保険では、がんの保障は十分受けられない
ということです。現在は、放射線治療や抗がん剤治療は、外来通院で行うことも非常に多いですし、手術でも日帰りでできるものもあります。時代の変化に、がん保険がついていけていない典型的な例だと思います。
病院では『立替払い』が必要
また、この『日額払い』ですが、最終的に退院しないと入院日数が確定しません。すなわち、病院退院時の費用の精算時には、まだがん保険からお金を受け取れていないということで、いったん自分でまとまったお金を立て替えて払わなければなりません。もちろん退院後すみやかに請求すれば、お金は後からもらえますが、意外と盲点ですし、
がんが治るのかどうか?今後仕事がどうなるのか?
といったことに頭を悩ませているがん患者さんにとっては、こういった小さなこともストレスになる可能性があります。
この「『がん保険』のトリセツ」を書くきっかけ
ちなみに、日本でがん保険が最初に販売されたのはいつのことだかご存じですか?CMでおなじみのアフラックが昭和49年に、『がん保険』を日本で初めて発売しています。
この「『がん保険』のトリセツ」を書くきっかけとなったお客様のエピソードを『まえがき』でご紹介しました。そのお客様は、2018年当時、このアフラックの日本で最初のがん保険に加入していました。内容は、
がんで入院したら、1日当たり4万円
がんで死亡したら、家族へ200万円
という内容でした。今がんになってしまい、手術ではなく、放射線治療を受けたら・・・今、放射線治療は外来通院で行うことも非常に多いです。
がんになった時のために加入したがん保険。ところが治療を終えて請求したら・・・
『今回は支払対象外です・・・』
の回答。絶対に避けていただきたい。これがあるがゆえに、がん保険を選ぶ前に、
がんを知る
ことが大切です。次回は『がん標準治療費用保険とは?』というタイトルで、2つ目のがん標準治療費用保険に触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。