学校での『がん』教育がスタート!!
当マガジン(本連載)「なぜ『がん』に振り回される???」全体の目次はこちら
学習カリキュラムに
前回は、「日本で『がん』が減らない、増え続けている」といったことについて、お伝えしました。今回は、それに対して、国が
がん対策基本法
に基づいて始めた対策のひとつ、
がん教育
について、一緒に考えていきたいと思います。
がん対策基本法に基づき、文部科学省は、
新学習指導要領に『がん』教育を明記
し、
中学校では2021年度に、全面実施(保健体育の授業として)
の予定になっています。
現在はその移行期間ですが、すでに、取り組みを始めている学校もあり、文部科学省の調査において、様々な課題の洗い出しも行われています。
これ自体は、将来の日本のために、非常に良いことだと思います。将来の日本を支える若い世代へ、適切な教育を施し、知識と意識を高めてもらい、
『がん』り患者を減らしていく
ことができたら良いと思います。
教育の担い手は???
文部科学省の「平成29年度におけるがん教育実施状況調査」によると、まず
がん教育を実施したか?
という問いに対し、
56.8%
の学校が、「実施した」と回答しています(回答総数37,401校)。
また、そのうち、
外部講師を活用したか?
という問い対して、
12.6%
が、「活用した」と回答しています。
依頼した外部講師の職種等を見てみると、
「医師などの医療関係者」と「がん経験者」
が多くなっています。
こういった専門知識のある、若しくは経験のある方が語ることにより、リアリティもあり、教育効果の高い授業ができることが期待できますが、一方で大半の学校は、
外部講師を活用できていない
のが現状です。その理由として一番多かったのが、
外部講師は必要でない
という回答で、62.7%を占めています。その他では、予算の問題などもあがっています。
その場合、そこでは誰が『がん』教育を担当するかというと
保健体育の先生
となることが多いのかと推測されます。そうなると、『がん』という個別の病気に対する教育という観点から、
「教育の質の担保」と「教師の負担」
は大きな課題になるのではないかと思います。
ただ、新しいことを始めれば、必ず課題も出てきます。こうして調査を行い、課題を明確にして、ブラッシュアップされることを期待したいと思います。
この教育の効果が表れるのは・・・?
さきほど、学校での『がん』教育が、将来の日本のために良いことだと述べたのですが、ただ、
その教育の成果
が表れるのは、いつになるでしょうか?
中学生に対する『がん』教育の成果、
「あの世代に教育を施したことが、結果に表れている」
ことがわかるのは、早くても
20~30年先
の話しになるのではないでしょうか。
婦人科系の『がん』に関しては、比較的若い時に発症する傾向もあるため、もう少し早いかもしれませんが、全体的に考えると
『がん』り患リスクが高まる年代
になって、その時の年代別がん罹患者数などから、その成果が見えてくるのだと思います。
もちろんこの政策は、将来の日本のために必要なことだと思います。ただし、残念ながら、
今の『がん』を減らす
ことには、つながらないものであると思います。将来への布石も打ちつつ、
今に対する対策
も合わせて必要なのではないでしょうか。
本当に『がん』教育が必要な対象者は???
国は、私たち日本人が
『がん』を知らないから、『がん』が増え続けている
そう考えているのですが、今
『がん』のことを知ってもらいたい対象
それは、果たして
学生さん
なのでしょうか。
私は違うと思います。
国が本当に『がん』のことを知ってもらいたい対象、それは間違いなく、
私たち社会人
だと思います。
すでに、
『がん』のり患年齢に達している、近づいている
私たち社会人に対して、国は、
『がん』のことを知ってもらいたい
と考えていると思うのですが、日本では社会人に対して
『がん』教育をする場もないし、担い手もいない
ので、確実に行うことができる
学校教育
から始めているのかもしれません。
アクションプランの中で、実は社会人を含めた国民全般に対しての
『がん』の普及啓発活動に対する支援
も盛り込まれていますが、そのあたりの実効性を高めていくことが、課題なのかもしれません。
ただ、国の政策がどうだとしても、
人生100年時代
という観点から、
『がん』を早く知っておく
ことは、個人として大切なことだと私は考えています。
肉体的、精神的、そして経済的なダメージがる『がん』を、人生100年時代のリスクのひとつとして考えておいてはいかがでしょうか。
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