【24】がん保障保険とは?~『がん保険』のトリセツ~
前回は『がん治療費用保険とは?』というタイトルで、標準治療だけでなく、先進医療や緩和ケアにまで、手が届くがん保険について、触れてみました。今回は、がん保険の4つのタイプのうちの最後、『がん保障保険』について、一緒にみていきたいと思います。
がん保険なので、あらゆる治療に対応できるものが良いと思うあなたへ、お届けしたいおはなしです。
最も早く支払が確定し、最も広くカバーするがん保険
今まで見てきた3つのタイプのがん保険は、すべて『入院した・・・』『手術を受けた・・・』『先進医療を受けた・・・』など、受けたことに対して支払われるがん保険でした。
今回見ていく『がん保障保険』は、
がんになったことに対して
支払われるがん保険です。『がんの診断確定』したら、お金が受け取れます。場合によっては、治療を受ける前にお金を受け取ることも可能です。よく目にするのが、
がんの診断されたら『100万円』
といった感じです。ある程度まとまった金額の『一時金』を受け取るタイプが多いです。古いタイプのがん保険だと、同じ100万円の一時金でも、診断だけでなく入院しないと出ないものもありますので、その点は注意です。
早く受け取れることと同時に、大きなメリットとしてあげられるのが、
使い道が自由だ
ということです。標準治療を受けたならば、それに対して使えるし、必ずしも医療行為とは限らない『補完代替療法』に使いたければ、それも可能です。
※ちなみにこの『がん保障保険』という名称は、個別具体的な商品名を指しているのではなく、あくまで,、私ががん保険を分類するために名付けたものです。
がんになる前に、どうするか決められるか?
そもそも、万が一がんになってしまった時に、
積極的にがんを取り除くことを目指すのか?
がんとうまく付き合っていくことを考えるのか?
とか、
国や医師が推奨する標準治療を信頼するのか?
承認されていないが、別の可能性に賭けてみるか?
といったところの選択ができます。ただ、
現役時代にがんになるのか、引退してからなのか?
守るべき家族がいるのか、いないのか?
どのステージでがんが見つかるか?
など、どのような状況でがんが見つかるかわからないにもかかわらず、がん保険に加入する時点で、『どういう方針で治療を選択するか?』を決めることはできません。また、決めたところで気持ちは変化する可能性もあります。
そういった意味では、この前払いの、まとまった一時金は、使い道自由のため、これから治療をするぞ!と言う時に、助けになりそうです。
この診断に対する一時金の他に、
保険料払込免除
というものがあります。これは何かというと、がんの診断を受けてしまったら、
来月から毎月の保険料(保険会社に対して月々支払うお金)を払わなくていいですよ。しかも、がんの保障はもともと指定された時まで、今までどおり続きます
といったものです。意外と盲点なのですが、がんの治療を受けて保険会社からお金をもらったとしても、毎月の保険会社への支払いは、そのまま継続します。この『保険料払込免除』は、お金はもらえないけど、毎月の負担が減る(なくなる)というメリットがあります。
ちなみに、これの考え方が取り入れられているものに、
がん団信
があります。これは、銀行などで住宅ローンを組んだ際に『返済期間に、もしがんの診断を受けてしまったら、ローンの残り払わなくていいですよ』というものです。その時点でローンがチャラになり、かつ家は完全に自分のものになります。これを取り入れると、ローン金利が少し上がるという仕組みになっています。
最大の注意点
がんの診断で、まとまったお金をすぐに受け取れる。今まで見てきたがん保険と比べると、治療の前に受取りが確定するので、非常に良いですが、がん保険ごとに、違いがある注意点をお伝えいたします。それは、
再発・転移などで、がんが繰り返されたというケースに対する対応
の違いです。大きく分けると
・1回受け取ったらおしまいで、再発してもお金はでないもの
・2年に1回のしばりはあるが、また診断されたら受け取れるもので、回数制限のないもの
・2年に1回のしばりはあるが、回数制限のないもの。ただし、2回目以降は『入院する』ことが支払い条件のもの
他に、3年に1回とか、1年に1回ただし通算5回までなど、ここはがん保険によって違います。
この中で、私が一番怖いと思うのが、2回目以降は『入院』の条件があるものです。遠隔転移があると、手術をすることが難しく、抗がん剤治療でいくケースが多いです。
抗がん剤でも入院するケースはゼロではないですが、最近は飲み薬の抗がん剤もあります。ちなみに私の母も、後半は飲み薬を処方されました。入院することはどんどん少なくなってきています。ここは是非注意してください。
陳腐化の恐れが少ない点も良いところ
いろいろと特徴を見てきましたが、早く受け取れる、まとまったお金を受け取れる、使い道が自由といったメリットがありました。ただもうひとつあります。それは、
時代が変化しても対応できる
という点です。なぜなら、『がん診断』でお金が出ますから、治療の実態が変わっていっても、お金は受け取れます。まあ将来、健康保険の制度が変わり、医療費の自己負担額が増加したといった変化があったら、がん保険を追加するなどの対応は必要かもしれません、ただ、持っているがん保険をやめる必要はないと思います。
次回は『がん保険が前提としていることの変化』というタイトルで、がん治療の実態の変化と、後半で実際どのタイプのがん保険が選ばれているのかということに触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?