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【実行団体紹介】NPO法人Oneself(兵庫県神戸市)

本記事では、2020年度の休眠預金活用事業「外国人と共に暮らし支え合う地域社会の形成」事業を経て実施した「外国人と共に暮らし支え合う地域社会の形成2」事業の実行団体について、ご紹介しています。

 本事業は、神戸市兵庫区にて国際交流シェアハウスを運営しながら、市内に住む外国にルーツを持つ人を支援するNPOが、新型コロナ禍においてスタートさせた就労支援の一環(やどかりの学校)で、外食、宿泊業への就職を希望する留学生にチャレンジカフェとインターンシップを行いました。

取組紹介内容:留学生・技能実習生対象「食・住・職」支援~やどかりのがっこう2~


1)団体の概要

 Oneself(平成26年特定非営利活動法人格取得)は、留学生が多い神戸市兵庫区を中心に、外国にルーツのある方々と地域住民のつなぎ役として、普段 接する機会が少ないことで生じている壁をなくし、留学生が地域の一員として生活できる多文化共生のまちづくりを目指しています。同区でシェアハウスを運営し、環境支援をはじめ、食料品支援、就労支援を行ってきました。コロナ禍より実施している「やどかりの学校」では、これまで、建設、介護、農業分野への就職を希望する留学生にインターンシップを行ってきました。今回は、外食、宿泊業への就職を希望する留学生にチャレンジカフェとインターンシップを行っています。

2)今回の取組み

 今年度の事業は、主に3つの柱で実施しています。1つ目は食料品支援で、コロナでアルバイトが減り生活費が不足している留学生に対して食料品を無償提供。
 2つ目がシェアハウス運営。コロナで家賃が滞納し退去せざるを得ない等の理由を抱える留学生に対して空室を提供。3つ目は、就労支援。就職希望の留学生等に対して特定技能ビザ取得に向けた学習環境の提供及びチャレンジカフェを通して就労体験を実施した。
 登録者は36名、「飲食店で働いてみたかったがコロナの影響でその機会が得られなかった」、「会話力を高めるためにやってみたい」という留学生が参加。国籍別では、ミャンマーとネパールが多く、他にバングラディシュ、ベトナム、中国が登録している。
 まず、シェアハウスの学習室で、飲食業経験のある日本語教師が講師となって、座学や接客指導などの基本的な学習を行った。また、飲食業を経営している企業から外部講師を招き、衛生管理について学んだ。

事前に接客について勉強中
チラシ配布で声かけ(日本語)の練習

 最終的に、区内のマルシン市場内の店舗にて、ランチや飲み物を提供するチャンレンジカフェ(10:00~14:00)で実践。学生に、簡単な調理補助、接客、配膳、会計まで担当してもらいました。毎回、終了後に振り返りをしてもらい、前回からの改善点などを都度フィードバックしていき、結果、チャレンジカフェは17回実施し、のべ120名が参加しました。

チャレンジカフェで調理補助をしている様子
チャレンジカフェでの接客中の様子

 その後、学生たちは、パン屋や農園などへのインターンシップに参加。さらに、卒業生の中で、飲食店や宿泊施設でのアルバイトや就職が決まりました。
また、チャレンジカフェを通じて、イベント出店の依頼をもらい、今後の活動展開を見据えて、移動式のカフェ屋台を製作し、依頼先の福祉施設にて1回出張開催しました。

インターンシップの様子(左:パン屋、右:農園)
移動式カフェ屋台

3)伴走支援の概要

 外国人支援を長年続けてきた国際NPOとして、コロナの影響が収まり、入国者が増加する中、ネパールなど新たなニーズへの対応、生活上の困難を抱えた留学生への個別支援など、その理念と経験にもとづいた丁寧な支援を行っています。当事者からの聞き取りを重ね、留学生の希望と実態に合わせ、将来の就労を見据えた支援プログラムを多様な団体との連携の下に実施しています。
 2020年度に続いて、2回目の伴走支援では、都度、報告を受けながら、主に事業運営や会計業務、進捗に合わせた事業計画・資金計画の変更手続き、研修プログラムについてのアドバイスなどのサポートを行いました。

4)取組の効果と今後の展望

 コロナ禍にスタートさせた外国人向け就労支援の取り組みは、前回の建設、介護、農業分野に加え、今回、外食、宿泊業の学習・体験プログラムを試行することができた。併せて、協力店舗でのインターンシップの継続とともに、引き続き、留学生のニーズに合わせた継続を目指しています。併せて、同プログラムが団体の自主事業として何らかの収益につながる形での実施が望ましく、今後も、留学生と地域の企業や団体をつなぎ、留学生が描く未来の実現に向けたきめ細かなサポートに取り組んでいくことを期待しています。

(藤江徹/あおぞら財団)

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