【実行団体紹介】一般社団法人反貧困ネットワーク（東京都新宿区）

2025年2月14日 11:34

本記事では、2020年度の休眠預金活用事業「外国人と共に暮らし支え合う地域社会の形成」事業を経て実施した「外国人と共に暮らし支え合う地域社会の形成２」事業の実行団体について、ご紹介しています。

取組紹介内容：留学生・技能実習生対象「食・住・職」支援～やどかりのがっこう２～

1）団体概要

　一般社団法人反貧困ネットワークは、日本で広がる貧困問題を可視化し、貧困問題を社会的・政治的に解決し、人間らしい生活と労働の保証を実現させるために結成された団体です。仕事や住まいを失った人々、日常生活が困難に陥った人々を国籍や在留資格にかかわらず支援し、誰もが尊厳を持って生きられる社会の実現を目的としています。

２）活動概要

　団体が外国人に対して実施している支援内容は、以下に示すような多岐に渡った内容ですが、本事業においては、在留資格がなく、住所を失った外国人にシェルターを提供するとともにシェルター入居者が主体的にシェルター運営に関わり、地域社会との交流を進めることを目的として、ボランティア活動や難民・移民フェスへの参加を進めることに助成を実施しています。

新型コロナ災害緊急支援（生活困窮者に対する相談と支援の提供）＋医食住の直接支援
① シェルターと生活費の提供（2021年3月～）
② 家賃補助の支援
③ 医療支援（相談、同行、費用負担）
④ 食料提供（フードバンク、食料配送）
⑤ 在留相談支援（入管手続き同行など）
⑥ 仮放免高校生奨学金

３）具体的な活動支援内容

①シェルター整備

　団体が整備しているシェルターは、日本人・外国人問わず入居可能な施設とし、2023年11月末現在、首都圏に31部屋（入居者36名）整備しており、うち、外国籍・外国ルーツの方は13部屋（18名）が居住しています。
　当該事業においては、上記活動のうち、13人の家賃及び水光熱費について助成を行い、これら外国人の入居状況については（2023年1月～11月末日まで）、以下のようになっており、入居者13名中、ビザの取得が可能となった方は一人という厳しい状況です。

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出身地域：アジア地域・アフリカ地域
性別：男性7割、女性3割
在留資格：在留資格が無い超過滞在や難民申請中で仮放免者となっている者がほとんど
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②居場所づくり

　シェルター入居者の多くが仮放免者であるため、就労は難しいが、居場所づくりを目的に地域団体と連携・協働で実施している活動や、団体が継続して参加している「難民・移民フェス」などに、ボランティアとして積極的に参加できるように支援を行っています。

あじいる（荒川区）との協働により、シェルター入居者がボランティア活動に参加し、リサイクル可能な物資の収集や、隅田川医療相談会の会場設営などボランティア活動を行いました。

　2022年6月から実施している難民・移民フェスに団体として継続的に参加しており、シェルター居住者もボランティアとして活動参加しています。難民・移民フェスへの参加者は、初回は800人であったのが、今年度11月には4500人が来場と活動の輪が広がってきています。

　事務所を構える早稲田の東京DEWの建物内においてはカフェスペースを活用した以下のような活動を開始し、シェルター入居者が積極的に参加できる居場所づくりも進めています。

■多国籍カフェ「おとなりカフェ」
・2023年10月25日～　毎週水曜日ランチタイム
・多国籍シェフによる料理の提供（各回30－40食）
・スリランカ料理、チリ料理、アフリカ料理など
■交流スペース「Champora（ちゃんぽら）」　
・2023年10月4日～　毎週水曜日午後～夕方
・支援する側、される側の垣根をつくらずごじゃまぜに交流する場所

　また、シェルター入居者のMさんは、特定活動ビザの取得に伴い就労可能となったため、反貧困ネットワークのスタッフとして活躍中で、難民・移民フェスやおとなりカフェのスタッフとして働くことができるようになり、企画を主導するまでになっっています。

４）今後に向けた課題

　在留資格のない仮放免者は、法務省からは日本国内にいない者ととみなされているため、就労できず生計を立てることが困難でありながら、「医療」も「居住の確保」も公的な支援の対象から外されています。
　団体が運営するシェルター入居者も、過去2年半における退去者の状況は、「転居（他の団体にお世話になる）」か、「日本での在留をあきらめる、又は強制退去処分を受け入れて帰国する」という状況が続いています。

　また、2023年6月に改訂された「出入国管理及び難民認定法」においては、在留資格のない外国人に対する対応がさらに厳しいものとなっていることから、反貧困ネットワークでは、シェルター提供や居場所づくりの支援と併せ、政策変更を求める様々な提言を行い、外国人と共に生きる社会の構築を目指す活動を継続しています。

（福本佳世／JSURP会員・株式会社アルテップ）