【後編】10社集結!まちづくり・都市計画コンサルタント就職相談会2024を開催しました
2024年2月10日(土)に、「まちづくり・都市計画コンサルタント就職相談会2024」(日本都市計画家協会主催)を開催しました。前編では、冒頭の「都市計画・まちづくり関係のコンサルタント業界超概説」と、10社のうち5社を紹介しましたが、後編では、残り5社と会の最後に開催された「個別相談会」の様子をお伝えします。
各社概要説明
前編では、①株式会社アルテップ、②株式会社アルメック、③株式会社KRC、④株式会社シグマ開発計画研究所、⑤株式会社地域計画連合の紹介をしていますので、ぜひご覧ください。
⑥株式会社東急設計コンサルタント
同社都市・土木本部まちづくり室長の諸岡さんから紹介がされました。所属する室には15名、社員全体としては256名の規模の大きい会社です。建設コンサルタントと建築設計事務所が一体となっていることや、鉄道の沿線まちづくりに関わることが多く、TOD(公共交通志向型)開発によるまちづくりを推進しているのが大きな特徴として説明されました。
民間の仕事が100%というのも特徴の一つで、沿線開発で培われたノウハウを活用して、国内外のまちづくりに係わる多面的なコンサルティングに取り組むようになってきているようです。実績紹介として、南町田グランベリーパークや渋谷駅周辺再開発では、コンサルタントとして具体的にどのような業務で関わったのか、国内外でどのようなプロジェクトに携わっているかが紹介されました。
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⑦株式会社都市環境研究所
同社研究員の稲葉さん、同研究員の沢畑さんから紹介がされました。創設53年、所員43名で現在は東京と九州に事務所があるようです。クライアントは行政7割、民間3割とのこと。東京事務所のフィールドは全国各地で、計画と事業のグループに分かれていて、3つのチームが連携して業務に取り組んでいて、九州事務所は福岡を中心に歴史系の分野や設計がメインになっているとのこと。また、企画・構想からプランニング、デザイン、事業までの幅広い業務を実施しているのも特徴のひとつのようです。
業務の紹介はお二人が関わっているプロジェクトの一部が紹介されました。例えば、富山県氷見市の景観まちづくりの取組、福島県玉川村の観光まちづくりや廃坑の利活用プロジェクトの取組、福井県東尋坊の観光まちづくりの取組、「多様な地域の固有の魅力に触れる」等の仕事の面白さも紹介されました。再開発の事業では、段階的に進めていく中で事業企画から建物を建てるまで様々な専門家と協働して専門家のチームとして事業を推進する役割を果たしていることが説明されました。渋谷での再開発推進や岡山の構想段階から取り組んでいる事例が紹介され、「顔の見える範囲の人たちの生活への寄り添い」等の面白さも紹介されました。
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⑧有限会社ハートビートプラン
同社代表取締役の園田さんから紹介がされました。大阪にある8人(この春から10人)体制の事務所になります。「何をやっているかはぜひ、Webサイト等をご覧ください。」とのことで、都市デザインのコンサルタントとして、大事にしている考え方を紹介されました。「つかう目線」を大切に、今そのまちで何が必要なのかを問いながら、仕組みを先に考えて、本当に必要なものを作る。という流れをつくる意識で各業務に取り組んでいるようです。クライアントは行政8割、民間2割とのこと。例えば、大阪中之島漁港の「水辺の再生」や豊田市の「広場デザイン」、姫路市の「道路の解放」、長門湯本の「エリアマネジメント」等の業務が紹介されました。
大事にしているプランニングのポリシーも紹介されました。「顔の見えるプランニング技術」として、まちの事業者を大切にしていて、「最適なプロジェクトチーム組成」により、外部の様々な方と協働してプロジェクトに取り組み、実現しないと意味がないという考えで、「実現のための戦略的なプロセス構築」を強く意識しているとのこと。社内のノウハウもHPで公開しているようです。「問いと対話を積み重ねて、ビジョン実現への道筋を見出す」ことをミッションに、何のためにそれをやるのかを投げかけて取り組んでいて、小さい会社ながら役職を設けて役割分担の目安も設けながら業務に取り組んでいることが紹介されました。
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⑨街角企画株式会社
同社代表取締役の山本さんから紹介がされました。大阪を拠点に、「コミュニティとともに人とまちを元気にするまちづくりコンサルタント」として、身近な現場の人たちと取り組んでいる様々な事例が紹介されました。居心地の良い町が理想の街と考え、良い町にしたいコミュニティをサポートすることを大切にしてきて、20年前に設立した会社で、スタッフ6名で2つのまちづくりセンターの運営も担いながら、地域自治の仕組みづくり、コミュニティマネジメントを軸に取り組んでいるとのこと。
「スーパーマンによるまちづくりではなく、みんなで進めていけるまちづくりを支える、エンパワーメントが自分たちの仕事」と語る山本さん。大阪での地域運営組織の形成と運営支援や、京都の町衆による土地利用のマネジメントの支援、防災まちづくりの支援、拠点整備の合意形成等の実績紹介もされました。
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⑩株式会社マヌ都市建築研究所
同社代表取締役の神谷さんから紹介がされました。「マヌ」とはサンスクリット語で「人間」の意味で、創業者の想いとして「人の暮らしを中心に据えて、都市と建築を考える」ということがあり、それをベースに、会社運営面でも「マヌ」ということを強く意識して、「人を育てる」会社づくりを目指しているようです。創業は1964年(法人化は1983年)で9名(この春から11名)のスタッフで、すべての物事をスタッフの「全員協議」で決めていて、文字通り、みんなで会社運営しているとのこと。小さい会社だからこそできることで、新入社員も代表も関係なく、自己管理型の勤務体制をとるなど、自主性を重んじた社風が伺えます。
基本的には何でもやるとのことですが、得意な仕事として「防災」、「歴史」、「建築設計」の3点が挙げられました。そして、特に難しいこれらの境界領域の悩ましい問題に、独自のアイデアで取り組んでいて、防災面は現在の都市防災の制度をつくるところにも関わり、長い蓄積も有し、今も防災の面ではトップランナーとして走り続けているのが特徴の一つのようです。墨田区一寺言問地区や葛飾区堀切地区の防災まちづくりの取組事例や、歴史を活かしたまちづくりの取組事例、文化財建造物の保存活用の取組事例、最後に大切にしている心構えをご紹介いただきました。
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個別相談会
全体での会社説明の後は、説明された各社の皆さんもテーブルに入って個別にお話を伺える相談会でした。各テーブルでは前半の会社概要では伝えきれなかった詳しい業務内容や、仕事をする際の心構え、どのような人材を求めているかなど様々な話題が上がっていたようです。参加者の方も「今回のお話を聞いて、都市計画・まちづくりを専門とするコンサルタントの方が取り組まれている仕事に対する解像度がぐっと上がりました。」という声や、「普段なかなか話ができないような方々とも対面で話をすることができ、非常に充実した時間を過ごすことができました。」など、視野を広げることができ、今後の就職活動の参考になったという声も聞かせていただきました。
Jsurpではこれまでにも合同での就職相談会を開催しており、今後も同様の機会があると思うので、ぜひ同協会のHPやSNS等で情報をご確認いただければと思います。
(編集部:高野哲矢/Jsurp理事・アンドプレイス合同会社)