手記3

とりあえず研究所に患者を招き入れた訳だが、研究員達は案の定目を丸くしていた。まず曽根川さんにお願いしてある装置を作ってもらうことにした(ちょっと嫌そうな顔をしていたが)。出来上がるまでしばらくかかるということなのでそれまで患者の記録を付けることにする。

〈患者の情報〉
患者H(仮名)
性別: 男性
年齢: 45歳
職業: 会社員
親族: 両親共に他界。兄弟、親戚なし。3年前妻と離婚して現在独身。
持病: 2年ほど前から鬱病の症状により〇〇病院で通院している。

症状の発症時期: 約1ヶ月前(正確な日時は不明)
発見場所: 自宅
様態: 発見直後△△病院へ入院を余儀なくされたが1ヶ月間1度も目を覚ます気配はない。

発症前のHさんの様子
〇〇病院によると普段は真面目で仕事もちゃんとこなしていたのだという。しかし妻から離婚を告げられ独身になったあと立ち直ることが出来ずだんだん会社に顔すら出せなくなるくらい精神的に病んでしまったという。毎週病院へ通いつめていたが一向に良くなる気配はなく担当医もとても心配していたがある日Hさんが「最近夢で妻が出てくるんです、私は幸せ者です」とこころなしか少し嬉しそうな表情で言っていたという。その日以降Hさんは病院に来なくなってしまい悪い予感がしたので様子を伺いに自宅に伺ったところ衰弱状態で眠っているHさんが見つかった。

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