【投資メモ③】まともなIPO投資―スミスはなぜIPO投資をするのか?
スミスです。普通の人です。5千円~20万円くらいのお金稼ぎが専門です。何千万とか何億とかは稼げないです。あまり夢がないです。そんな人の日記兼忘備録です。
IPOは「新規公開株」のことです(時々報道される詐欺事件で登場する「未公開株式」とは別物です)。新しく企業が上場する時には、一般の人々に事前に株式を配分・購入してもらい、その上で上場し、市場で値段がつけられます。これだけではわかりくいので、以下で実例を見てみましょう。
例えば、2018/6/19に上場した「メルカリ」の場合、スミスは6/4~6/8の申込期間中に各証券会社から申し込みをしました。この時提示された価格(仮条件)は2,700円 ~ 3,000円でした。スミスは3000円で申し込みました(申し込み単位は100株1口ですので、1口30万円です)。申込期間後、公募価格の決定と抽選が行われます。メルカリでは、公募価格は3000円になりました。
公募価格は希望購入価格とその申込数によって証券会社たちが決定します。簡単に言えば、その案件の人気度によって公募価格が高くなったり低くなったりします。公募価格以下の値段で申し込んだ人は、抽選に参加できません。つまり、仮条件の範囲で申込価格を選択することができますが、人気のある、そして利益の出る案件では、仮条件の上限の価格で申し込んではじめて抽選に参加できることになります。
抽選と結果の発表は申込期間終了の翌営業日か翌々営業日に行なわれます。スミスは三菱UFJモルガンスタンレー証券・大和証券・野村証券・マネックス証券・みずほ証券・SBI証券から申し込んでいましたが、三菱UFJモルガンスタンレー証券で100株当選しました。その後、指定の期間中に購入を申し込み、証券会社から株式が譲渡されます。
当選しなかった場合、申し込み時に拘束されていた資金は戻ってきます。申し込み自体には基本的にコストはかかりません。
そして迎えた上場日、株式市場という「公の場」で値段がつけられます。メルカリは5000円の初値をつけました。スミスは初値で売りましたので、(5000円-3000円)×100株-手数料=+19万7894円の利益が出ました。
その年の他の株式取引で損失が出ていなければ、利益から約20%の税金が引かれ、残りの約80%分が手取りとなります。
こうして、IPOで利益を得ようとするのがIPO投資です。しかし、このおいしい話の裏には一体何があるのでしょうか?
①なかなか当たらない
基本的にこれに尽きます。当選確率は、銘柄と証券会社によっては(スミスの推計によると)0.01%以下しかないような場合もあります。そのために、30万円を銀行から持ってきて、IPOが終わったら引き出す…というのは割に合いませんよね。
なお、証券会社への入金・出金自体は、ほとんどの場合手数料無料でできます。IPO投資には関係ないですが、A銀行→証券会社→ B銀行という形で振替すれば、手数料無料で自分名義の銀行口座間の資金移動をすることは、制限はあれ一応可能です。ただ、単なる「踏み石」として証券会社を利用することは推奨しません(証券会社は資金の動きを監視しています)。
②公募割れのリスクがある
かなり多くの場合、初値は公募価格を上回りますが、たまに下回ることもあります。しかしそうなるケースは大体決まっています。具体的には、「大型」「業績が頭打ち」「再上場」「ファンドの売り出し」などの条件が重なっている案件がそうなりがちです。このリスクは、銘柄を吟味すれば、ほぼ回避可能です。スミスは、以下のサイトの管理人の分析を最も参考にしています(適当なことを言っている人もいるので、コメント欄はあてにしない方がいいです)。
そうはいっても、たまにはずれを引いてしまうこともあります。スミスはCREロジスティクスファンド投資法人(3487)に申し込み当選しましたが、この時は手数料を引いて94円の赤字になりました。ただ、1口1万円以上も損するような銘柄は、申し込み前にほぼ回避することが可能です。
③資金が拘束される
スミスの資金と時間は限られていますので、IPOだけに全力を注ぐことはできません。確かにIPOは抽選に外れてもコストはかかりませんが、資金が拘束される分の機会損失(他の投資ができなかったという損失、そして時間の無駄遣いという損失)があります。割にあわない投資は避けたいです。
スミスはなぜIPO投資をするのか?
1.「身の程」を知る
こうしたデメリットはありますが、IPOは基本的にプラスになる投資です。しかし、他にもいろいろと投資の方法はあるのに、なぜスミスはIPO投資を選んでいるのでしょうか?
以前も述べましたが、スミスは「普通のひと」です。一方では、証券会社や投資ファンドで、情報を集める人、銘柄を分析する人、取引をする人たちが、専門の仕事として、日本だけでも何千・何万人も働いています。謙虚に考えてください。普通の人が、この人たちよりも優れた分析を行い、この人たちを出し抜いて、利益を上げることができますか? できるというのなら別に構いませんが、スミスにはとてもできるとは思えません。
プロの投資家自身も、これが非常に厳しい戦いであることを知っているはずです。ですから、法を犯しても利益を上げる誘惑に負けてしまう人も出てくるのです(例えばインサイダー取引)。
そういうわけで、スミスはとりわけ「仮想通貨、FX、株式のデイトレード」といった投資はお勧めしません。これらは「ゼロサムゲーム」です。つまり、誰かが得をすれば誰かが必ず損をします。そんな中で、プロの人たちや「特別なひと」と正面切って戦いを挑まなければなりません。
例えば、一部のプロは、0コンマ数秒早く注文を出せるようにするためだけに、取引所にできるだけ近くに引っ越したりしているそうです。スミスは、それくらい本気でやらなければ勝てない戦いであると理解しています。
もちろん人によっては勝てることもあって、そうした人はFXで億万長者とかそういう本を出しています。ただ、その人が億万長者になったということは、その人の利益と同じ分だけ他の人たちが損しています。スミスは、その中で勝てる「特別なひと」なのでしょうか? …スミス自身、自分は「特別なひと」ではないと思っています。
例えばFXには多くの参加者がいますので、確率的には何人かFXで大成功することはまったく不思議ではありません。本音を言えば、「特別なひと」というのは長期的にはほとんど虚像であると思います。FXで(犯罪行為をしない限り)確実に儲ける方法などありません。(初心者にでもわかるような)儲かる方法があるならば、もう他の誰かがやっている(そして利益が出なくなる)はずだからです。
お金稼ぎのためには、「願望」ではなく「事実」を謙虚に見つめることが必要です。「事実」を見ることができないからこそ、多くの「普通のひと」たちはカモにされてきたし、これからもカモにされるのではないでしょうか。
才能を持った「特別なひと」でも、情報力と資金力のある「プロの人たち」でもない、「普通のひと」。しかしその「普通のひと」にも、武器があります。それは…
①ひとりの人間であるということ
妙な言い方ですが、1億円もっている人も、100万円しか持っていない人も、どちらも人間1人という意味では平等です。IPOは(証券会社にもよりますが)1人1口しか申し込めません。つまり「普通のひと」が「プロの人たち」と全く対等に戦うことができるのです。
②時給が安い、つまり「小遣い稼ぎ」ができる
「プロの人たち」はそれを生業としているので、たとえ確実にもうかると分かっていても、1回限りの数千円程度の利益を拾いに行ったりはしません。逆に「普通のひと」は、あえて言えば時給が安いので、そういった利益を拾いにいくことができます。IPOは確かに当たれば数十万の利益になりますが、期待値でいうと、1回当たり数千円程度でしょう。プロの人たちにとっては「割に合わない」投資なのです(寝ぼけるな… 続行だ…ケチな点棒拾う気なし!)。
それに、機関投資家や何億円も資産を持っている人たちには、これまで説明した「抽選配分」ではなく、証券会社の営業マンの裁量による「裁量配分」もあります。ですので、基本的には彼らには「ちまちまと」IPOの抽選に参加する理由はあまりありません。
もちろん、それでもIPOの抽選配分に申し込む「プロの人たち」もいて、彼らはSBI証券などに数千万~数億円つぎ込んで、IPOに申し込んでいるようです。SBI証券は申込口数が多いほど当選しやすいので、こうした投資法は確かに可能です。逆に言うと、零細個人投資家がSBI証券で1口だけ申し込んだときの当選確率は非常に低くなるということが容易にわかります。
このように、IPOには「普通のひと」に有利な側面があるのです。それがスミスがIPO投資をする理由の一つ目です。
2.最初からアドバンテージを持って挑むことができる
IPO投資をするもう一つの理由は、なによりIPOには「儲かりやすい」という性質があるからです。
IPOでは、安定した初値形成などの理由で、実際の初値より低い値段で公募価格が決められることが多いです。IPO投資は、そうした企業側の都合を利用しています。だから「儲かりやすい」のです。
公募価格よりも下で初値が形成されると、「人気がない企業」というイメージを持たれてしまいます。それは最初に公開する株式を提供する元々の株主(企業自身、創業者、経営者など)にとっても望ましいことではありません。そのため、仮条件や公募価格は予想される初値よりも安く決定されることになると考えられます。
人間は「儲け話」に敏感です。だから、誰にでもできる「儲かりやすい話」には資金と人が集まってきて、儲からない話になってしまいます。けれどもIPOには1人1口抽選という「壁」があるせいで、参加に制限がかけられています。だから、「儲けやすい話」のままであり続けることができるのです。
効率的にIPO投資をするために
けれども、その代償として、IPOは有名になるにつれてあたりにくくなってきています。そのためにスミスは当選確率を求めて、「本当に当たりやすい」証券会社で申し込むようにしています。結果についてはこちら↓
それでは、また。
J. S.
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