2021年5月17日の記者会見
2021年5月17日夜、政府が「移民政策の変更」に関して記者会見しました。新型コロナウイルス流行の影響で1年以上新規申請の審査が止まっている永住権技能移民部門(SMC resident visa)に関する進展や変更があるのではないか、との見方が広がっていましたが、結論から言うと、SMC resident visa以外にも具体的内容がほとんどないものでした。
ことの発端は、Jacinda Ardern首相が5月14日、経済界の会合で「週明けに移民政策の変更を発表する」とスピーチで述べたことです。首相は「低賃金、低スキルの労働力から高スキルの労働力にシフトし、真のスキル不足に対応して生産性を向上させる」と話しました。
https://www.newshub.co.nz/home/new-zealand/2021/05/covid-19-opportunity-for-nz-to-lure-high-skill-workers-evaporating-as-vaccine-rolls-out-sir-peter-gluckman.html
ワークビザについてはすでに新しいカテゴリーの概要が発表されていることから、移民やアドバイザーの中では「SMC resident visa申請に関する発表ではないか」「SMC resident visa申請の基準を改定し、(審査が停止した)2020年3月以降に受け付けた申請を無効にするのではないか」といった見方が広がりました。
https://www.newshub.co.nz/home/politics/2021/05/immigration-minister-kris-faafoi-to-outline-border-policy-changes-as-govt-signals-plans-to-allow-in-more-workers.html
ということで、当社でも先週末、SMC resident visa申請基準の変更で影響を受けそうなお客様に連絡をとり、対応に追われました。
しかし、17日の記者会見で出てきたのは、
1. 雇用主は移民に依存するのではなく、ニュージーランド人を積極的に雇用する努力をしてほしい。
2. 政府は一時労働者(Temporary workers)、パートナーの労働権(Partner's work right)、技能移民部門(SMC resident visa)の見直しを進めていて、詳細が決まり次第発表する。
3. 政府関連のプロジェクトに投資する一部の投資家が、投資先プロジェクトの事業査定(Due diligence)のために入国できるよう、渡航規制の例外措置(Border exemption)枠(200人)を新設する。
というもので、その他に目新しいものはありませんでした。
https://www.newshub.co.nz/home/politics/2021/05/government-announces-once-in-a-generation-immigration-reset-new-zealand-to-move-away-from-relying-on-low-skilled-workers.html
また、Kris Faafoi移民担当相が「体調不良」で欠席したため、記者会見したのは移民担当ではないStuart Nash経済開発担当相。そのためか「ニュージーランド人の健康を守ることが最重要」「管理隔離検疫施設(Managed Isolation and Quarantine, MIQ)には限りがある」といった一般的な説明に終始しました。
「数十年に一度の移民基準改定('once-in-a generation' immigration reset)」という割には内容に乏しい、肩透かし気味の記者会見でしたが、ここでもSMC resident visa申請基準の見直しについて言及しています。今後も移民局の発表に注意する必要がありそうです。