【歩き遍路】傾向と対策 [装備] 靴を選ぶ
何はなくとも「靴」だ。これはむつかしい。「歩き遍路」に靴が大事なことは言うまでも無い。お遍路に行く前、さんざん悩んだ。webでも調べまくった。結論から言うとこの二足で遍路道1200kmを歩いた。
靴選びは次の点を考慮した。
プロに聞け
遍路道の80%は舗装路だ
ウォーキングシューズかトレランシューズ
防水か通気性か
中敷きが大事だ
ウールソックスがいいぞ
■プロに聞け
靴選びでもっともよかったのは「プロ」に話を聞いたことだった。何軒かのシューズショップに通って話を聞いて回った。そこで聞いたことが「靴選び」の基本になった。これはぜひおすすめしたい。
ショップでは必ず次のことを伝えた。
「遍路」1200kmを歩く
道の80%は舗装路である
荷物は5kg以内
毎日20kmから25km歩く
この条件を話すとだいたい靴の範囲が決まってくる。シューズ店の人でお遍路に行った人はまずいないので、「1200km」「80%舗装路」は必ず伝えたい。おおと驚かれるが、すぐその店で一番の靴を勧めてくれるだろう。
私がミズノの靴にしたのも、ミズノ(直営店)の店員さんがとてもよかったからだ。彼からは色んな事を教わった。先ずこの店では「3D測定」を行ってくれる。機械で立体的に足の寸法を測ってくれる。その上でおすすめのサイズを勧めてくれる。
私はずっと幅広サイズだと思っていたのだが、甲高ではあるものの幅広ではないと言われた。「靴はゆるいものより、足にぴったりしている方が歩きやすく疲れにくいし、マメも出来にくい」という。そうなんだ。
また、インナーソール(中敷き)が大事なことも教わった。「この靴の中敷きは通常の使い方なら問題ないが、今回みたいに毎日長くはき続けるのならば替えた方がいいでしょう。中敷きは靴の値段の三分の一から四分の一の値段を投資して間違いないありません」ということだった。
また何回か店の中を歩いて見てもらったところ、私の場合「歩く際、右に傾く癖があるので右踵がすり減りやすいです」と言われた。たしかに私の靴は右の踵がすり減りやすい。そんなことまで解るのかと驚いた。
ミズノのこの靴は履きやすかった。歩くのが楽しくなる靴だ。長時間歩くには疲れなくていいと思う。値段が高いのと注文制なのがおっとなところなのだが、私は在庫の靴がぴったりだったので、格安で購入することが出来た。遍路途中でもこの靴を履いている人を何人か見かけた。
この靴は、デザインがおじさんぽいんだけど(まあ、おじさんなんだけど)、革製のこのデザインなので普通の海外旅行にも使えますよ、というひと言で決めた。(海外旅行では長く歩くし、レストランにも履いていけるので重宝している。足元を見られることがないからね(笑))
■遍路道の80%は舗装路だ
遍路道の80%は舗装道路だ。歩いてみた感じだと90%といってもいいかもしれない。山道は1日歩いて一回あるかどうか、という感じだ。何日もずっと舗装路だけということもある。
舗装路が多いため、ハイカット、ミドルカットの登山靴はおすすめできない。足首が固定されるので長距離の舗装路の歩行には向いていないからだ。
ローカットの靴が最適だと思う。
■ウォーキングシューズかトレランシューズ
舗装路がメインのため、足首を固定する通常の登山靴より、ローカットのウォーキングシューズやトレランシューズが適している。特にトレランシューズは靴底が硬くソールのグリップ力が高いため、遍路靴には向いていると思う。登山靴専門店でも、トレランシューズを勧められた。
どこの靴屋でも勧められたのは、Salmon XA Pro 3D だった。私もこれにはずいぶん迷った。結局、妻用の靴はこれにした。クロスカントリーの定番シューズで、ワンタッチで靴紐の絞める・緩めるが調節できるクイックレースが便利そうだ。妻には評判がよい。
お遍路におけるSalmon XA Pro 3Dの良さについてはこちらの記事をどうぞ。私もこれを読んで本当に迷ったんだよ。遍路宿でもこの靴を履いている人を何人か見た。今度買うならこれかなあ。
■防水か通気性か
登山靴には「防水」か「通気性」かという悩ましい選択がある。「防水」はゴアテックスなどで外から水が入らないようにしたもの。一方「通気性」は靴の中の蒸れを外に出すようにしたもの。当然、雨の中ではズブズブである。
私が選んだミズノODスペシャル 2 WGは「通気性」ありのタイプだ。靴底に換気用の穴が開いており、歩くたびに靴底の穴からシューズ内の湿気を押し出し、空気が注入されるという仕組みだ。これはよく効いた。この靴で蒸れたということはなかった。
だが、雨の日、一日中歩いたあとはグショグショであった。一足ごとに水がずぶずぶと上がってくる感じだ。厚手のウールの靴下もぐっしょりであった。この日はさすがに足裏がこすれて痛かった。
で、防水だ。この靴は普段、「関東ふれあいの道」を歩いているときに履いている靴だ。「日光街道」や「墨田川テラス」でも長距離ウオーキングに使っている。
「ふれあいの道」では山道を、「日光街道」「墨田川テラス」では舗装路を長時間、長距離歩いている。この靴は靴底がしっかりしているので長時間歩いても疲れない。また踵がしっかりしているので山道でも楽に歩ける。
何よりの特徴は「防水」だ。防水機能がある「オムニテック」を使っている。オムニテックは防水透湿機能を持っており、この靴で靴の中が蒸れる、雨が染み込むということは無かった。(私の使っているアイテムは既に廃盤で、現在は「アウトドライ」という防水透湿機能をより進化させたアイテムが出ている)
お遍路行程50日間の内、雨に降られたのは6日ぐらい。その内2日は台風の余波によるもので一日中土砂降りの雨だった。その中で、ミズノの靴は苦戦した。歩いてすぐに靴の中に水が入ってきてしまって靴下も濡れてしまった。
そこで、後半はコロンビアの靴にしたのだが、雨の日もみぞれ交じりの冷たい雨の中(雲辺寺!)でも大丈夫だった。特筆すべきは雨の日の下り道でも石畳でも滑らなかったことだ。これはソールが山用、トレラン用にしっかりしているためだと思う。
■中敷きが大事だ
前にも書いたが、中敷きは変えた方がいい。中にはそれなりのちゃんとしている中敷きを入れている靴もあるのだが、1200km歩くとなると毎日受ける足への衝撃は並みのものではない。そこを考えて中敷きを選ぶべきだ。
中敷き(インソール)は外からの衝撃を吸収してくれるので、長時間舗装路を歩く際、足や腰への負担を軽減してくれる。また疲労軽減にも役に立つ。
アーチサポートも大事だ。「土踏まず」をきちんとサポートしているかどうかもチェックしたい。これ、意外に大事です。疲れ方が違います。
遍路宿で聞いたところ中敷きのスペアを持って歩いている人がいた。私はそこまでしなくてもいいと思う。遍路道は街中に沿っているので必要とあらば街中のスポーツ用品店で買えばいいのだ。
店の人には「必ず店で試してみること」と教わった。インソールは自分の足と靴にフィットしたものを選ぶことが大事だ。衝撃吸収性が高いとインソールが厚くなって靴と合わなくなってしまうこともある。またインソールによっては靴に合わせてカット出来るものもあるので、お店に任せた方が安心だ。
中敷きはケチらぬように。2万円の靴に5千円の中敷きですか?と思うかもしれないけど(私もそう思った)、これは実際に使ってみると分かる。きっと後悔しないと思うよ。
(後記)ミズノの靴に入っているインソールは5千円ぐらいした。今調べてみたらすっかりすり切れてメーカー名が分からなかった。
コロンビアの靴は元々入っていたインソールがしっかりしていて、そのままで大丈夫ですと言われて、変えなかったが、大丈夫でした。
■ウールソックスがいいぞ
前回の記事「マメは必ず出来る」で紹介した「メリノウールソックス」はここでも声を大にしておすすめしたい。1足3千円もしてマジですか?と思ったけど、これは本当にいい。マメを防ぐならウールのこの靴下だ。なによりも踵がしっかりしていて、スポンと入ってしっかりサポートしてくれるのがいい。洗濯しても翌日には乾く、縮まない、クッション性がいい。ただし、さすがに500km履いていると穴が開きます。ま、それでも私はまだ履いているけどね。
モンベルの速乾性と耐久性に優れた「ウィックロン」の「中厚手トレッキングソックス」もいいです。洗ってもすぐ乾くのがいい。こちらはお財布に優しい2千円です。