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ローマ字入力指導の先行研究

小学3年生では,国語の学習としてローマ字を習う。

学習指導要領中学年の知識及び技能の内容に「日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,ローマ字で書くこと」とある。

この「書くこと」は,鉛筆等でノートに書くことと,コンピュータを使ってローマ字入力ができることの両方を含んでいる。

学習指導要領には,ローマ字入力を「学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」と書かれている。

基盤という言葉から分かるように,基本的な学力であり,全ての児童に身に付けさせるべき力ということが言える。

指導するために調べた先行研究の2つの論文を紹介する。(一部)(文責 西田)

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1.タイピング能力向上に関わる「英語の論文」

『Typewriting /Keyboarding Instruction in Elementary Schools』

(1999年 Bartholome, L. W.)

Bartholome, L. W.によって40年以上に渡り調査研究が行われたことの成果をまとめた論文である。

各章と和訳は以下である。

(1)WHAT IS TYPEWRITING/KEYBOARDING?

タイプライティング/キーボードとは何か?

(2)WHY TEACH KEYBOARDING?

なぜキーボードを教えるのか?

(3)CAN ELEMENTARY SCHOOL STUDENTS LEARN TO KEYBOARD?

小学生はキーボード入力を学べるか?

(4)AT WHAT GRADE LEVEL SHOULD KEYBOARDING BE TAUGHT?

何年生からキーボード入力を教えるべきか?

(5)IS THERE A BACKGROUND OF RESEARCH AND KNOWLEDGE AS TO HOW TO TEACH KEYBOARDING?

キーボード入力を教える方法について,研究と知識の背景があるか?

(6)KEYBOARDING SCOPE AND SEQUENCE

学習内容と順序

(7)WHAT ARE SOME GENERAL PRINCIPLES FOR TEACHING ELEMENTARY SCHOOL CHILDREN HOW TO KEYBOARD?

どのようにキーボードを使うかを小学生に教えるための一般的な原則は何か?

(8)EVALUATION IN ELEMENTARY KEYBOARDING

初級キーボード入力の評価

(9)Elementary Keyboarding Instruction Materials

初級キーボード教材

(10)Pre-Lab Objectives

ラボに入る前の約束

(11)PSYCHOLOGICAL PRINCIPLES

心理的原則

(12)References

参考文献

(※ 前の数字は 西田が便宜的に付けた。)

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(4)について,Bartholome and Long(1986)は,週に3日30分の指導を受けた1年生と2年生が,1分間に15〜30語の割合で一般的に使用される句読点を使用してアルファベットキーを入力できることを発見した。

英語圏の小学生が英単語を入力することに対する研究なので,もちろん単純に日本の小学生と数を比べることはできない。

何年生からできるか,1分間に何字打てるかと具体的な数値で示している。

(6)について,この章では,各学年で何を学習するか,何時間学習するかが書かれている。

キーボード入力のスキルに留まらず,何が表現できたら良いか,どんなレベルまで到達できるようにするかも明記されているのが特徴的である。

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2.『キーボードによる日本語入力スキルの指導方略』

(2021年 渡邉光浩,佐藤和紀,柴田隆史,堀田龍也)

本論文では,日本語入力スキルの指導方略として,

次の4点を示している。

(1)教科等の授業において練習時間を設ける。

(2)ホームポジションの位置と各キーの位置を覚えさせることから始め,後から速度や精度を高める。

(3)ローマ字での入力について

①濁音・拗音,

②訓令式・ヘボン式にこだわらないこと,

③かな・英数,半角・全角の切 替・変換を指導する。

(4)意図的に活用する機会を設けたり,主体的に活用できるようにしたりする。

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(1)(3)(4)は1学期にも行った。

(2)がまだである。

(2)に関して,既に家庭等で指導されていると感じる児童がいた。

そうでない児童には,やはり学校で教える必要がある。

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