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教育小委員会が目指す 新しい若手土木技術者の学びの場

皆さんこんにちは。教育小委員会 委員長の、加藤隆です。いわゆる「ゼネコン」と呼ばれている建設会社に所属している土木技術者です。委員会の正式名称は、

公益社団法人 土木学会 建設技術研究委員会 教育小委員会

と言う名前の委員会になります。この委員会は、私と同じ建設会社に所属しているメンバーが中心となって、次世代の若手建設技術者の学びについて研究している委員会です。

この記事を読んでいただいている方は、我々がメインの読者と考えている、建設業界の次世代を担う若手技術者の皆さんや、土木という世界に興味を持っている学生の皆さん、土木を職業にしている社会人の皆さんが多いかもしれません。このような方に、土木技術を学ぶ場を少しでも充実させることが、我々の活動の目的と考えています。また、土木技術者以外の立場の方や、将来の大学進学への進路を考えている中高生等といった、さらに次の世代の皆さんなどに、土木ってこんなことを学ぶのだ、とか、何だか楽しそうな世界だな、といったような思いを持っていただければ良いと考えています。今後、このnoteなどを通じて、様々な土木技術の学び方を委員の目線で探求したものを公開していきたいと考えています。

レインボーブリッジ(平成5年度 土木学会田中賞)につながる海の上の曲線橋

■若手土木技術者に求められるもの

建設会社の土木技術者は、日本全国、もしくは海外の建設現場で数多くの方が活躍しています。工事現場では、主にトンネル、ダム、橋梁等のさまざまな構造物をつくる仕事をしています。土木構造物は、建設される場所やその環境条件などによって作り方もそれぞれ全く異なっており、厳しい制約条件の中で、できるだけ早く、安く、安全に、そして品質の高い構造物をつくることが求められます。現場技術者は、その現場付近に育まれてきた風土や、工事の発注者や地元の住民の皆さんの思い、設計者の書いた図面や、そこに書き切れない設計思想のような思いを感じ取りつつ、これまでの経験などを通してその施工計画を立て、様々な分野のエキスパートともいえる施工会社の皆さんの協力を得て、工事の目的物である一つの構造物を作り上げていくことを日々苦労しながら行っているのです。そこに学ぶべき場はたくさんあるのですが、実務を行いながら学ぶということは、実はとても難しいことだと痛感されます。

若手の土木技術者は、一つのプロジェクトの中で、おそらくそのごく一部を担当することから、社会人としての第一歩を踏み出すことが多いと思います。4月という今の時期は、新しく土木技術者の卵としてこの世界に来てくれた新人の皆さんが第一歩を歩みだす時です。現場で仕事をやり始めると、ほとんどの人は、現場で必要な知識を自身がほとんど理解していないことに戸惑いを覚えてしまいます。これまでの時代では、若手技術者は、そのような知識は座学で覚えるのではなく、現場で体感して覚えるべきだ、とか、日々バイブルと呼ばれるような図書を読んで知識を習得すべき、といったことを先輩からも言われて、そうした学びの場を作ってきたのかもしれません。最近では、働き方改革の進展により、時間外労働の規制が強化されたり、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及等により、技術者教育の在り方ややり方が大きく変化しつつある状況と感じています。今の若手技術者は、何を学べば良いか戸惑っていたり、学べる材料が少なくて苦労していることが少なくありません。教育小委員会では、そうした皆さんの力になれるような活動ができればと思っています。

■若手技術者の資格取得に寄り添う

若手技術者が一人前の技術者として認められるために必要なこととして、資格の取得というものが、実は大きなウェイト占めており、資格取得に奮闘している方も多いのではないかと思います。土木技術者に必要な資格の代表として、

一級土木施工管理技士

が挙げられます。一級土木施工管理技士については、土木関係の学科を卒業した人は、大卒で3年以上の実務経験が必要となるので、新卒で現場を3年以上経験した社員が対象になることが多いと思います。試験合格のためには、土木に関する基礎知識の習得が求められます。教育小委員会では、まずこの資格の取得を目指している若手技術者をターゲットに、教育コンテンツの拡充を検討したいと考えています。

多摩ニュータウンにある、小山内裏トンネル(平成2年度 土木学会技術賞)

その他、技術士やコンクリート技士、またわが土木学会でも認定技術者資格など、土木技術者が目指すべき資格は数多くあります。4月はそれらの資格の出願をして、この1年頑張って資格を取得しようと新たな思いを持つ方も少なくはないのではないでしょうか。こうした資格取得のための勉強は、土木技術者として必要な素養を手に入れる早道でもあると思いますので、今後これらの資格を目指す技術者の少しでも支えになるようになれると良いと考えます。

■教育小委員会の活動

教育小委員会では、これまでに、若手技術者のために、おすすめのサイトの紹介を開始しています。委員会のメンバーが探してきたおすすめコンテンツ。自分自身の専門分野や資格試験の勉強に必ずしも直結しないかもしれませんが、下記のリンクのNo.1のヒロセさんのサイトのように、現場での仮設計画に役立ちそうな、仮設工事の情報などが網羅されているサイトなどを順次紹介中です。これ以外にも、動画コンテンツなど、充実させていく計画を進めていますので、これからの活動をお楽しみに。

■終わりに

土木の世界で新たに学びを始めようとする技術者の皆さんが、少しでも実際の土木技術に触れられるコンテンツを考えていくというこの委員会の活動が、少しでも若手技術者の学びに役立てればうれしいと思っています。

碓氷峠(群馬県安中市)にある、旧信越本線 碓氷峠第三橋梁(重要文化財)

最後のおまけに、ちょっとばかり委員長の趣味の世界(笑)。群馬県と長野県の県境に近い碓氷峠にある、碓氷第三橋梁(通称:めがね橋)を紹介します。この橋は、東京から長野や新潟につながる鉄道を開通させるために、明治25年に開通した鉄道のためのレンガアーチ橋です。完成してから130年が経過しているとは思えない、とても美しい橋です。まだコンピュータも無い時代に、これだけの大きな構造物を完成させ、後世に残してきたのは本当に偉大だと思います。土木構造物は、非常に長期間使われるものも多く、このように重要文化財などに指定されるものもあります。これからの時代にも、後世に残る美しい土木構造物を作り上げるために、若手技術者の皆さんと一緒に楽しく学べる場を提供したいと思います。

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