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COVID-19災禍の建設現場における課題点、改善点

建設技術研究委員会 教育小委員会では、2020年度の土木学会会長プロジェクトである「パンデミック特別検討会」のWG6(新技術による現場改革検討WG)の活動の一環として、2021年1月に、委員所属の建設会社の現場を対象に、COVID-19禍における建設現場の感染リスクの多寡や、現場における感染リスクの改善策、回避策(特に既存の技術を用いた対策)について調査を行い、その際の課題点、障壁等についてアンケート調査を実施しました。アンケート調査結果は、第2次声明作成の際の基礎資料として活用されましたが、そのアンケート調査結果を報告書に取りまとめましたので、公開いたします。

2021年9月末現在において、いまだにCOVID-19災禍は収束の兆しをみせず、第5波による感染拡大や、変位株の急速な広がりによる感染リスクの上昇、ワクチン接種の進展の影響など、新たな課題が山積している状況であり、建設現場における感染リスク回避策の実践などは、今後もしばらくは継続的に取り組まざるを得ない状況と考えています。

各建設現場において、このアンケートで得られた知見を参考に頂ければ幸いです。

報告書の全文は、以下のURLからダウンロード可能です。

アンケート概要

調査名称:コロナ禍における建設現場の課題点、改善点に関するアンケート
期  間:令和3年1月21日~27日
調査方法:教育小委員会所属会社の施工現場に対するアンケート配布
回答数 :15社、85現場

設問
Q1:現場概要(主要工種、1日当たりの平均現場従業員数など)
Q2:工事現場内での作業で、人が集まる「密な状態」になる場面はどんな場面ですか?
Q3:Q2のような状況において、現場ではどのような改善策や回避策などの対策を取っていますか?工夫、取組み内容についてご教示ください。
Q4:上記の課題点や抜本的な対策として、この工法が採用できれば改善、解決できると思われる技術や工法(既存技術等)があれご教示ください。
Q5:Q4のような解決策の採用に際して課題点、障壁等があればご記載ください。
Q6:その他、自由意見等があればご記入ください。

コロナ禍の建設現場から見えてきた課題と改善点

課題と改善点については、Q6の自由記述が大いに参考となりました。以下に自由記述欄からキーワードを抜粋します。

コロナ禍でデジタル技術の導入が進んだ例
”大規模土工や大型重機を使用したプレキャスト化や地組工法など、省力化も進んでいる。また、今回のコロナ対策として様々なデジタル技術が急速に利用されるようになり、WEB上で現地確認できるようになった。”
感染症への不安
”工事の中断などの指示は、地域、発注者に関係なく全国統一で実施してほしい”
”集団感染にならないように濃厚接触者を増やさない努力をしているが、なかなか徹底できない
感染症対策の実施にともなう費用の増加と工程の遅延
”作業の分散や作業効率の低下を許容する対応(工程遅延)も必要となる”
”コロナ対策として有効なものは、事例として紹介し、設計変更がしやすい環境を作ってほしい”
”感染対策が、費用面も含め、広く認められるようになることを願います”
”他業種と異なり現場においてはテレワークなどが不可能な職種であることを考慮し、労働者への手当て支給等の対応が必要であると感じる”
工事全体の省力化への期待
”コンクリートの配合やプレキャスト化はコロナ対策に有効であり、将来の担い手不足にも有効であると思う。省人化技術は、採用すべきものとして提示してほしい。”
”今後、計画もしくは発注が予定されている工事は、単純な経済比較だけではなく、機械化等を優先する計画が必要かと思われる。”
新しいことを行う際の柔軟な受発注者間のやり取りができれば、今後の課題解決へつながるのではないかと思う。
建設業界で一丸となって全力で乗り切る気運と工夫をさらに高める必要がある。

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