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9月進捗レポート(JR西日本SC開発(株))

こんにちは!
あんなに暑かった夏も終わり、急に秋らしい気温に近づいてきました。
私たちが運営するショッピングセンターでも秋物をお探しのお客様、中には冬物をお探しのお客様もどんどん増えてきています。
さて、多くのお客様へ新しい洋服との出会いを提供している我々だからこそ、ファッションビジネスの地球環境に対する課題から目をそらしてはいけないと思っています。

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取組状況

私たちは現在、廃棄される衣料品を減らすことを目的として
【①主に回収をメインに捨てる以外の選択肢の存在感を高めるサービス設計】
【②回収後の衣料品を循環させ、(将来的に)収益化する設計】
の2つを研究しています。

今回は、②回収後の衣料品を循環させ、収益化する設計についてメインでお話します。

回収後の衣料品を循環させ、収益化する

循環の方法として、以下の4つの手段を検討しています。
・リセール
・アップサイクル
・ダウンサイクル
・ケミカルリサイクル
今年度は特に「リセール」と「ケミカルリサイクル=エネルギー化」の手段で循環させたいと考えています。

■リセール
回収した衣料品の価値を損なわず、環境負荷も小さく有効な手段です。
それに加えて古着店舗で流通できるくらいの状態・品質のものがあればリセールによって収益を生むことができるのではないかと考えています。

・ではどれくらいの量が売れそうなのか・・・。
二次流通事業者様に過去にルクア大阪で回収した衣料品の写真を見ていただいたところ、「ざっくり数%は買い取りが可能」との回答。
数%か、と思われるかもしれませんが、そのまま廃棄すれば価値が0だったものが、新たに手を加える必要なくリセールに回すことができ、収益を生むことに可能性を感じています。

・いやいや、その数%を見分けるノウハウが必要でそこにコストがかかるだろう…
その通りです。おそらく膨大な量になるであろう回収した衣料品のすべてを、二次流通事業者様へお渡しして選別して買い取ってもらうのは現実的ではありません。
そこで、その選別のステップの中に私たちの強みである「お客様との関係性」をうまく活かせないか考えています。エンタメの要素も加えながら、お客様に体験・参加してもらえる回収の設計に頭をひねっているところです。

■ケミカルリサイクル=エネルギー化
先に述べたリセールも数%程度しか回せません。
これまで大多数の衣料品の循環手段として、再生繊維化(繊維to繊維)を検討してきました。ただし我々はメーカーではないため、仮に再生繊維化が成功してもその繊維を使うことができません。
ですが、私たちはショッピングセンターとして様々なアパレル企業の皆様とともに事業を展開してきました。その強みを活かして私たちの繊維とアパレル企業とで手を組むことができれば、「回収→再生繊維化→製造→…」と川下から川上までを循環できるようになる理想のループが生まれます。

ただ、現時点では世の中に再生繊維化の技術はあるものの、どうしても高価であり、まだまだ再生繊維の需要が高いという状態ではないようです。
今後、規制などが変わればもちろん世の中の状況は一変するので、将来を見据えながら検討を進めていきたいと思っていますが、今の段階ではすぐに再生繊維にすることは難しいでしょう。

では、今できることは何か。
可能性として考えているのは、エネルギーへの変換です。
衣料品の状態を問わず、かつ燃やすことなくエネルギーを生み出す技術があり、環境負荷の観点からも非常に重要な循環手段だと考えています。
リセールに回せないものはエネルギー化することで、リセールとエネルギー化の両軸で回収した衣料品のすべてを循環させていくことを目標に検討を続けています。

メンターからのアドバイス

9月は、水野先生と辻村様にアドバイスをいただきました。

  • サービス設計においては、フロントエンド側の体験や想定されるタッチポイントなど、サービスがどう回っていてどんなユーザー体験が設計されているのかを示せるようにしておくこと

  • お客様に選別をしてもらうということはお客様側の手間が増えるということ。どうやってそれを楽しんでもらうかの設計が重要。

  • 今後多くの企業を巻き込んだ事業にしていくために、商業施設の運営側として回収に取り組むメリットや損益分岐点といったビジネス視点を提案に取り入れること

アドバイスを受けて、「お客様にいかにストレスなく回収や選別に協力してもらうか」のtoC視点と、その一方で「コストや収益などビジネスとして突き詰めるべきことは何か」のtoB視点の両軸でさらに検討を進めてまいります。