2021.11.17【Interview】2k540 AKI-OKA ARTISAN 開業から10年、2k540が持つ魅力と力を思い起こす
JR秋葉原駅と御徒町駅を結ぶ高架下に広がるAKI-OKA STREETの真ん中にある「2k540 AKI-OKA ARTISAN」(ニーケーゴーヨンマル アキオカ アルチザン)は、 ものづくりがテーマの商業施設。おしゃれなショップやカフェが集まり、職人やデザイナーによる個性的な作品が販売されています。東京発ブランドのショップも多くあり、ものづくりを体験できるワークショップも開催されていることから、ものづくりに興味のある人やほかとは違うものを求める人たちから注目を浴びているスポットです。今回はコミュニティづくりで2k540と伴走している、はじまり商店街の小野寺真子さん、今村菜穂子さん、施設担当の安部功太郎さん、福田美紀さんにお話をうかがいました。
2k540の名前の秘密
福田:今でこそ当たり前の、テーマ性を強く押し出した高架下の再開発も、この2k540が始まりでした。正式名称は2k540 AKI-OKA ARTISANと言います。2K540は距離を示す鉄道用語「キロ程」に由来していて、東京駅を起点に「2キロ540メートル付近」に位置していることを意味しているんです。また、AKI-OKAは「秋葉原ー御徒町の間をつなぐ」という造語、「ARTISAN」は職人の意味のフランス語から名付けています。
安部:この周辺はもともと職人文化が根付くまちでした。一方で2k540開業以前の高架下といえば、単に壁があるだけで街と街が分断されるような殺風景な光景。そこにまちがもつ文化をアップデートして残していく試みが行われます。日本の職人が持つ優れた技術を集め、「ものづくりの街」をテーマに新たな商業施設が生まれました。
2k540とタッグを組むはじまり商店街とは?
小野寺:2k540とは、2021年からご一緒しています。はじまり商店街は「はじまりをはじめる」をコンセプトににぎわいづくりを得意とする会社。一般に言う「まちづくり」「コミュニティづくり」というジャンルに属すると思いますが、私たちとしては商業施設や自治体のみなさんに伴走するお仕事だと思っています。
安部:僕がプライベートではじまり商店街のイベントに参加したのがきっかけで、代表の熊谷さんと知り合いました。当時取り組んでいた、社内コンペの事業について、熊谷さんに相談に乗ってもらっていたんです。その後、僕が2k540に携わるようになり、はじまり商店街さんたちとご一緒するようになったという流れです。
第一印象は「敷居が高い職人のまち」
今村:私は2k540に対して「おしゃれだが敷居が高い」という第一印象でした。職人というと良くも悪くも仕事にこだわりがあり、近寄り難いイメージ。でも実はみなさんとても気さくで親しみやすい方ばかりで、作品についてうれしそうに語ってくれます。私はここに来るたびについつい買い物しちゃうようになってしまい、いまや上客の一人ですよ(笑)
小野寺:私も「せっかく良いものが並んでいるのに、それに対して解説がわかり難い」という印象がありましたね。私たちの第一印象は、そのままInstagramの運用に生きています。「これってどう使うのかな?」「このお店入り難いんじゃないかな?」という不安を払拭するような投稿を心がけているんです。商品そのものを写すよりも、造り手の「顔」を発信していくことを大事にしています。
職人同士の化学反応が起こるまち
福田:一つ一つの店舗は価値があるものを作っている。その集合体。プロ同士が気軽に意見交換出来て、そこから新しいものが生まれていく。その化学反応みたいなものは、さすがものづくりの街だと思いました。
安部:例えば皮屋さんが他のお店とコラボして「スワロフスキーが付いたバッグ」や「竹の留め具を使った名刺入れ」を作ったなど、過去にもコラボ事例がたくさんありますし、有志で部活動も発足されています。こうした横のつながりがあるのも2k540の良さです。はじめてここでお店を開いたという職人さんも多く、開業当時はかなり熱血だったんだとか。意見交換も熱すぎて「バチバチにやった」と聞いています(笑)
そんなコミュニティも10年で人も変わり、やや落ち着いてきた印象はありますが、10年の節目、開業当初の活気にも負けない、新たな2k540をアピールしたいですね。
次の10年 新しい2k540のはじまり
安部:はじまり商店街さんには2k540内はもちろん、地域も絡めたコミュニティ形成もお手伝いいただいています。
小野寺:あえて細かい役割を意識してないのですが、私たちは安部さん、福田さんと職人さん方をつなぐ潤滑剤として動いています。お二人が動けない時に私たちがお店に出向いてお話を伺う、そうしてコミュニケーションをとっていくうちに大きな力が生まれてくると思います。10年という節目に関われて、次にどんな10年がくるのがとても楽しみです。みなさんにもワクワク伝われば嬉しいです。
今村:ここはものを買うだけでなく、人と会うのも楽いところ。お客さまがお店にふらりと立ち寄って場を楽しんで帰っていただく、それがもっともやりやすい空間づくりをしていきたいと思います。
後編は「これからの10年、2k540と周辺地域に改めて向き合う」を掲載します。
・施設名称 2k540 AKI-OKA ARTISAN
・所 在 東京都台東区上野5-9
(JR秋葉原駅と御徒町駅間の高架下)
・営業時間 11:00-19:00※(水曜定休日)
※一部店舗は営業時間が異なる場合があります
・アクセス JR山手線 秋葉原駅から徒歩6分
JR御徒町駅から徒歩4分
東京メトロ銀座線 末広町駅から徒歩3分
取材編集/くらしづくり・まちづくり室
株式会社ジェイアール東日本都市開発 開発事業本部 開発一部
福田美紀
2016年入社。大学では建築の分野を学び、歴史的建造物や神社仏閣の利活用について研究。既存のものを活用し新たな付加価値を生み出すという点で、高架下の再開発に可能性を感じ携わりたいと思ったのが入社のきっかけ。入社後は、神奈川エリアでコトニアガーデン新川崎の開発・タウンマネジメント、その後、日比谷OKUROJIの開発運営等に携わる。2021年4月からAKI-OKAエリアの担当になる。
株式会社はじまり商店街 共同代表のお供兼コミュニティービルダー
小野寺真子
秋田県出身。大学時代に上京後、ダンスインストラクターとして十数年勤務する。店舗の異動を経験する中で都会でも田舎のようにコミュニティごとの特徴があることに気付き、魅力を感じるようになった。現在は金融業界で個人のお金のコンサルも行う。はじまり商店街はもともと参加者の一人だったが、2019年3月からはメンバーとして働くようになる。
※安部功太郎さんと今村菜穂子さんは後編で紹介いたします。
関連リンク
2k540公式サイト : https://www.jrtk.jp/2k540/
2k540公式Instagram : https://www.instagram.com/official_2k540/
(この記事は当社webサイトから再掲したものです)