2021.03.31【Interview】高円寺アパートメント 女将さんに会いに行く
今回のプロジェクトインタビューは、高円寺アパートメントの2代目となる管理担当者、オフィス・住宅事業本部の中村洋輔さん。初代担当者からタスキを引き継ぎ、意気揚々と快走しているかと思いきや、少し憂い顔です。
「春に着任してすぐのコロナ禍で、まったく何もできていなくて。女将さんからいろいろ教わりたい」と。くらまちラボも一緒に、“高円寺アパートメントの女将さん”こと、宮田サラさんを訪ねました。
高円寺アパートメントってなんですか
中村:もともとはJR東日本の社宅になっていた集合住宅です。僕たちの大先輩が住んでいたと聞きました。今年で築55年、敷地は広々としていますから、ふつうなら新築に建て替えますよね。それを当時の建物の良さを活かして大規模改修したリノベーション賃貸住宅です。基本設計は「Open A」さんが担当して、2017年に完成しました。
ここの最大の特長は、「まめくらし」の宮田サラさんが女将さんとして実際に住まい、住人と地域コミュニティの活性化に取り組んでいること。2018年度のグッドデザイン賞は、そこを評価していただいた受賞と思います。
女将さん、今日はよろしくお願いします。どんな経緯でこのプロジェクトがスタートしたのですか?
※2018年度 地域・コミュニテイ部門 グッドデザイン賞を受賞
プロジェクトの始まりは宮田サラさんとの出会い
宮田:「Open A」の代表をされている馬場正尊さんから、私が所属する「まめくらし」にお話をいただいたのが始まりです。
馬場さんは「賃貸住宅は、これからは運営の時代だ」と。ただ単にハコをつくって、人に貸して終了ではなく、その場所でどういう暮らしができて、どんな営みがあって、人やまちとの関係性が育っていくか。「これからは、そこに新しい価値が生まれていく」というお話でした。
建物が新しくて、キレイなことはいいですが、いずれその価値は下がります。「きちんと運営をすることで、逆に価値がどんどん高くなっていくことが一番大切なことだから、そこにちゃんと力を入れた賃貸住宅にしたい」とお声がけいただきました。
ここで暮らす日常を大切に女将として住まう決断
宮田:開発担当の方々からは “通い” でというお話でしたが、住まないことには規模的にも難しいと思いました。全部で50世帯ですから。私から「きちんと住まわせてほしい」というお話をしました。すでに工事も着工して、準備期間もあまりなく、急ピッチで決めていった感じですね。最後は担当の方も、「やってみないと、結局わからないよね」って(笑)。実際に住み始めないとわからないことが、日常の中にはたくさんありますから。
中村:そうですよね。女将さんという呼び名は誰が?
宮田:それは自分から名乗りました。横文字でコミュニティ・マネージャーみたいな肩書きになるのでしょうが、それってよくわからないですよね。女将さんなら説明しやすいですし。
芝生広場のマルシェで高円寺のまちデビュー
宮田:きっかけは、住人さんたちの交流を生むために開催した「同じ釜の飯を食べようの会」という、持ち寄りのごはん会です。その時、ライフスタイルショップ「高円寺アパートメント101」の住人さんと意気投合して、“お披露目のマルシェをしよう!”と。それが恒例のマルシェにつながっていきました。
開催するイベントには、住人のみなさんが関わりたいやり方で、自由に関わってもらうようにしています。
中村:女将さんは、いつお会いしても楽しそうですね。
宮田:私自身も住人の方々も、高円寺アパートメントの暮らしを楽しんでいますね。週末に芝生でおしゃべりしたり、こどもたちと遊んだり…。気持ちがいいですよ、ここの暮らし。
後編は「開発者の熱意を引き継ぐ」を掲載します。
株式会社まめくらし 宮田 サラ
法政大学在学中に地域の中小企業と東京の若者を繋げるNPOの事業運営にかかわる。住まい手との関係性を育てる賃貸住宅の運営会社に就職後、さまざまな地域のまちづくりに関わるかたわら、株式会社まめくらしにて大家を一つの職能として暮らしをつくることを学ぶ「大家の学校」や共同住宅「高円寺アパートメント」の運営をしている。
株式会社ジェイアール東日本都市開発 オフィス・住宅事業本部
開発管理部 中村 洋輔
賃貸住宅の管理業務を担当しています。リエットテラスあすと長町(仙台市)では初めて開発業務を担当。開発段階から業務に携わることで視野が広がり、とても良い経験になりました。
また、会社のランニングクラブに所属し、走ることが趣味です。家ではこどもがまだ小さくて、ドライブが大好きなので、休日は車で水族館や動物園等に出かけています。
関連リンク
高円寺アパートメント : https://www.jrtk.jp/r-lieto/koenji/
(この記事は当社webサイトから修正、再掲したものです)