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2022.01.19【Interview】リエットガーデン三鷹 ゆるやかにつながる次世代の暮らし

リエットガーデン三鷹はJR中央線の三鷹駅と武蔵境駅間の住宅地にたたずむ多世代居住施設です。JR東日本の旧社宅及び旧寮2棟をリノベーションし、ファミリー向け賃貸住宅「アールリエット三鷹」、シェア型賃貸住宅「シェアプレイス三鷹」として生まれ変わりました。物件住人と地域の人の適度な関わり具合がデザインされているとして、2021年のグッドデザイン賞ベスト100に選出されました。
今回はシェアプレイス三鷹を運営する株式会社リビタ鈴木すずき佑平ゆうへいさん、田村たむら向日葵ひまわりさんと物件管理担当の中村なかむら洋輔ようすけさんに、開発エピソードやこれからのシェアする暮らしについてお話をうかがいます。


三鷹の特性を生かした質の高いラーバンライフ

鈴木:三鷹は新宿にアクセスしやすい場所でありながら、駅から少し離れるとゆとりのある自然や住環境が広がっています。リエットガーデン三鷹は、都会的な暮らしもしたいが、自然に囲まれた田舎暮らしもしたい、という希望を両方満たしてくれる絶妙な立地です。既存の樹木を活かしつつ、地域の住民との関わりをもてるような広場やシェア畑を新たにデザインしたことにより、三鷹という地域特有の質の高い「ラーバンライフ※」を味わえる住まいと言えます。
中村:改修前は、外壁と生い茂る木々で全く中の様子がわからなかったんです。今回の計画では外構を整備し、明るく開けた土地に生まれ変わりました。日常的に親子連れや散歩の方が出入りする光景がみられるようになり、地域の人からは「良い場所になったね」というお声をいただいています。

※ラーバン=Rural(田舎的)とUrban(都市的)の造語


建物の歴史を生かしたリノベーション

中村:もともと緑が豊かな敷地だったので、森の広場や御神木はそのまま残しています。また、敷地出入口にある石垣に関しても、あえて一部残してサポート付き貸し農園シェア畑を誘致し、道路側からの印象を強めました。一部は解体することで、迂回が必要だった敷地を通り抜けができるように変えました。
鈴木:私たちが担当したシェアプレイス三鷹も、もとの建物を生かし、サッシや床材など使えるものは再利用しています。残す場所と改修する場所のバランスを見極めるため、112室全てを念入りに確認しました。建物の経年がいい味を出している部分も多く、居室収納など既存利用できた場所も多かったですね。そうしてコストを抑えられた分、地元の家具店デイリーズさんの良質な家具を入れ、高級感のある落ち着いた空間を作れました。


関わり具合のデザインとは

田村:リエットガーデン三鷹は、住人以外の方も敷地の利用が可能です。そのため、となりの公園に遊びに来た子どもが、敷地内でボール遊びをするような風景が日常的にみられます。シェア畑の利用者が、作業後に広場でお昼ご飯を食べているのも見かけますね。かといって、決して住人の生活が干渉されることはありません。日常のコミュニティを大きく超えない程度のゆるやかな関わり具合は、ほかにはない光景ですよね。
鈴木:敷地内には、住人に限らず多世代の人たちが集いますが、住人のプライベートはしっかりと確保したつくりです。住む環境として整えたうえで、たまに挨拶をしたり、シェア畑で採れた野菜をお裾分けしたり、ゆるやかにつながっていることによって暮らしの安心感が生まれます。そうした住みやすさにつながる、敷地の配置や道の作り方などは意識してデザインしました。


地域との橋渡しを目指したまちびらき

中村:シェアハウスができ、若い入居者が増えることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。地域の人にご理解いただける場を設けたいということで、開業した年の2019年7月には「まちびらきフェス」、11月には「秋の収穫祭マルシェ」を開催しました。シェアプレイス三鷹のラウンジを開放し、地域に根付いたカフェの出張マルシェや、ライブ演奏を実施したんです。外ではミニSLを走らせました。
鈴木:私たちは、こうしたイベントをコストとは捉えていません。地域の人やお客様とのつながりを築くことにより得られるものがたくさんあるので重要な取り組みだと考えています。とはいえ主役は住人のみなさま。基本は一歩引いて、みなさまの日々の生活をサポートしております。


これからの「シェア」する暮らし

田村:コロナ禍によるリアルなコミュニケーションの抑制からの反動で、人との関わりの重要性を再認識されていると感じます。この2年ほどのリモート化で通勤から解放されて、身軽なライフスタイルを求める声も聞きます。私たちも「シェア」という概念を捉え直し、シェアハウスの企画・運営に生かしていきたいと思います。
中村:地域の人もゆるく巻き込んで、楽しんでいただける企画を試みています。先日、社内の新規事業検証で試験的にパンの移動販売をお願いしたのですが「お試しだからたくさん買わないと、もう来なくなっちゃう!」と、住人の方がたくさん買ってくださったそうです。大盛況に終わりました(笑)。そうした、暮らしを楽しめる場、ゆるやかにつながりの場が作れるよう、これからも尽力していきます。

施設概要
・施設名称 リエットガーデン三鷹
・所  在 東京都三鷹市上連雀三丁目10番21号
・アクセス JR三鷹駅 徒歩11分
      JR武蔵境駅 徒歩10分

取材編集/くらしづくり・まちづくり室


株式会社リビタ
(左)鈴木すずき佑平ゆうへい (右)田村たむら向日葵ひまわり

法人営業部 鈴木佑平
リビタ入社後はシェアプレイスの管理・運営を担当。その後リエットガーデン三鷹リノベーションプロジェクトのデザイン監修・企画推進を担当した。

PRコミュニケーションデザイン部 田村向日葵
新卒でリビタに入社、シェアプレイス三鷹のオープン後に管理・運営部署に配属される。実際にシェアプレイス三鷹に入居の経験もあり、当時は住みながらお客様のご案内などを担当した。

株式会社ジェイアール東日本都市開発 オフィス・住宅事業本部 
開発管理部 中村なかむら洋輔ようすけ

2019年に入社。前職の経験を生かし物件管理業務を行うほか、仙台の「リエットテラスあすと長町」の開発を担当。2020年4月よりリエットガーデン三鷹の担当となる。


関連リンク
リエットガーデン三鷹ウェブサイトhttps://www.jrtk.jp/lieto-garden/

(この記事は当社webサイトから再掲したものです)