2021.11.24【Interview】2k540 AKI-OKA ARTISANこれからの10年、2k540と周辺地域に改めて向き合う(後編)
上野と秋葉原の間に位置する御徒町。かつてこのエリアは伝統工芸職人のまちであり、今でも職人のまちの印象を残しています。JR秋葉原駅と御徒町駅間の高架下に「2k540 AKI-OKA ARTISAN」がグランドオープンして今年で10年。これまでの10年で醸成した文化を継承しつつ、これからの10年でどのように進化していくのでしょうか? 前編に引き続き、コミュニティづくりで2k540と伴走している、はじまり商店街の小野寺真子さん、今村菜穂子さん、施設担当の安部功太郎さん、福田美紀さんにお話をうかがいました。
前編はこちらからご覧ください。
10周年を目前にコロナショック
安部:私が2k540に関わるようになったのが2019年のはじめで、ちょうどコロナが流行りだすタイミングでした。開業当初から2k540の発展に貢献していただいた職人の方、店員の方に対し、私たち担当は人事異動等で2,3年で変わってしまうため、10年という歳月の中で、温度感や、コミュニケーションの面からボタンの掛け違いが生まれてしまっていました。
いよいよコロナの感染が拡大し、売上が激減する店舗が増え、このままでは10周年を迎える前に倒れてしまいかねないと思い、腹を括り、希望いただいた約30店舗の方々と直接お話をし、現在の課題や、私たちに対する不満などのヒアリングしました。かなり辛辣な意見も多々あり、正直その時はかなりしんどかったですが、店舗の皆様の2k540にかける想いを再認識でき、一緒にここから立て直そうという機運が高まっていきました。
大波乱の「はじまり」
小野寺:実は……私たちはじまり商店街と職人さん達の初対面は、大荒れの船出だったんです。会った途端、突然職人さんの方々が大激怒されたんですよ「なんだその格好は!真剣にやる気があるのか!」と。
はじまり商店街では、スーツスタイルに拘りが無いため職人さん達からすると「こんな大事な打合せの場所に普段の服装でくるとは何事か」というお叱りだったんです。それだけ2k540の未来を真剣に考えてくださってるんでしょうね。
安部:あれだけ本気になって言ってくれるのは、いま思えばすごくありがたいことですよね。
小野寺:いまでも身震いがします……。最終的に職人さんの中の1人が場を収めてくださり、なんとかなりました。この経験があったからこそ、より2k540のことを深く知りたい、職人さんたちの想いを発信したいと思うようになりました。
10周年で仕掛ける新たなアプローチ
福田:「2k540って近寄り難いかも?」という視点から、職人さんがものづくりと自分たちのお仕事について語ってもらう場を設けました。それが10周年を記念したイベントの第1弾「高架下ものづくり会議」です。
当初は実際にリスナーに集まってもらう企画として検討していたんですが、情勢的にオンライン開催としました。結果的には、オンラインだからこそ遠方の方々にも気軽にご参加いただけて、かなり好評だったんです。本番はオンラインであっても、できるだけリアルタイムに質問を拾い双方向のコミュニケーションが生まれるように心がけていました。それも相まってか、画面越しだから気負わずにコミュニケーションが取れたというお声もいただいています。イベントを見た方がお店のファンになり、来店して商品を購入された、という話を伺った時は嬉しかったですね。
内から外へ染み出す
今村:オフラインのイベントも活発です。まずは「みんなの地図製作委員会」という、2k540を拠点に地域の輪を広げていこうという試みです。まち歩きで地元の方と交流すると共に、2k540を中心に半径2,540mの地図を作っています。
安部:次に「高架下まちびと商店街」という新しい試みも始めて、今回はその一環として御徒町の八百屋、藤本商店さんと高架下を利用したマルシェでコラボしました。私たちはこの10年、高架下を盛り上げることに注力してきましたが、もっと地元と一緒になって地域を盛り上げていきたいと考えています。
福田:「高架下ものづくり会議」で2k540はこんなところですという発信。「みんなの地図制作委員会」で地域に出向き交流。そして「高架下まちびと商店街」で地元のお店とコラボするというステップアップができたと思います。
10年目の飛躍を宣誓
安部:コロナで落ち込んだ売り上げを戻したい。お店同士の横のつながりを可視化できるような取り組みをしたい。もっとブランド戦略を練るというか、職人のまちならではの尖ったことをもっとやっていきたいですね。
福田:2k540の開業当時、まだ鉄道高架下を活用したプロジェクトなんて少なくて「なんだかすごいものができたぞ!」という話題性がありました。しかし10年経った今、高架下の活用は当たり前になりつつあります。良くも悪くも2k540という場所が定着してきたこれからが本当の勝負だと思っています。
2k540という場所がどんな場所でどんな過ごし方ができるのか伝えたい。こんなワクワクする場所だというのがより広い層に伝わるよう発信をしていきたいです。
・施設名称 2k540 AKI-OKA ARTISAN
・所 在 東京都台東区上野5-9
(JR秋葉原駅と御徒町駅間の高架下)
・営業時間 11:00-19:00※(水曜定休日)
※一部店舗は営業時間が異なる場合があります
・アクセス JR山手線・京浜東北線・総武線
東京メトロ日比谷線・つくばエクスプレス
秋葉原駅から徒歩6分
JR山手線・京浜東北線 御徒町駅から徒歩4分
東京メトロ銀座線 末広町駅から徒歩3分
取材編集/くらしづくり・まちづくり室
株式会社ジェイアール東日本都市開発 開発事業本部 開発一部
安部功太郎
2016年入社。大学ではゼミで国内外の地域文化を動画で発信する活動を行う。入社後は、埼玉エリアの高架下開発の部署を経て、AKI-OKAエリアの開発、運営の担当になる。プライベートでは銭湯や、商店街、八百屋など、昔からある下町的くらしに魅力を感じ、時間を見つけては街を徘徊する日々。
株式会社はじまり商店街 コミュニティービルダー
今村菜穂子
新卒で大手企業に入社し海外採用や新卒採用を担当。その後オーダーメイドウェディングの会社に転職し3年間で100組以上のお客様を担当する。数えきれないほどの人生に残る景色に出会ったが、新たに挑戦がしたいと退職を決意。絶妙なタイミングではじまり商店街と出会い、入社。
好きなものは日本酒と白米。炊き立てのお米のにおいでご飯が食べられます。
※福田美紀さん小野寺真子さんのプロフィールはこちら
(この記事は当社webサイトから再掲したものです)
関連リンク
2k540公式サイト : https://www.jrtk.jp/2k540/
2k540公式Instagram : https://www.instagram.com/official_2k540/
(この記事は当社webサイトから再掲したものです)