文系学部卒から始めるAI・機械学習②【学習の効果・雑感】

今回の記事は、以下の続きである。

今回の記事では、上記の勉強を通じて得られた効果、今後の目標そして最後に勉強を通じて得られた感想を記述していく。

まずは勉強を通じて得られた実績や効果を述べていく。

【学習を通じて得られた実績・効果】

①DX業務に係る経験の獲得
こちらは業務を通じて得られた経験である。
各種学習を通じて得られた知識が実際に業務で活かせると、知識の定着度が高まるし、アウトプットの質も高まる。
業務の中でPythonを用いたプロダクトを開発した経験やデータ分析を行った経験更にはデータベースを構築した経験は間違いなく筆者の財産になっている

②学習を通じた各種資格の取得
資格勉強の良い点は、学習が頭に残りやすい、モチベーションを保ちやすいという所に加えて、何より資格という形で後に残る点であろう

③転職市場での価値上昇
これは明らかに自分自身が実感した点であり、AIやデータ分析、DX関連の業務は、転職市場での評価が高い。それは勿論データサイエンティストやデータアナリスト、機械学習エンジニアを目指す場合であっても有効であるし、それ以上に元々有していた専門性にそれらの知見が掛け合わされると市場価値が一段と高まりやすいという事が実感できた。
データサイエンス関連の業界やIT業界にいれば、Pythonを用いたコーディングが出来たり、ITスキル・知見を有していることは当たり前なのかもしれないが、他の業界、例えば金融業界ではそれは全く持って当たり前ではない。
そもそもエクセルのVBAが書ける社員の少ない金融業界にあって、Pythonが書けるのなんて全社員の2%程度しかいないのではないかと思われる。
それくらい何らかのドメイン知識×IT知見は希少性が高いのではないかと感じた。特に今後金融や商社、デベロッパーなどの所謂儲かる業界に行きたい場合は、IT関連の知識を持っていることが一番早道なのではないかと感じた。ファイナンスや不動産関連の知識等、その業界に在籍する社員が有していそうな業務知識で勝負するよりも幾分競争は緩いだろう。
これらの業界は伝統的に文系社員が多く、どこも社員のリスキリングに苦戦しているからである。大企業の中でジョブホッパーがいるとしたら太宗はIT部門であることが多い。それだけニーズが高く、ジョブホッパーであっても許されるという事だろう。営業職や企画職であればこうはいかないだろう

④データサイエンティスト職での内定獲得
筆者は所謂データサイエンティストではない。業務の中でデータ分析に従事することはあるが、データ分析ばかりを行っている訳ではなく、職種名もデータサイエンティストではない。
ただ折角勉強してみたので、どれだけ転職市場で評価されるのだろうかと思い、データサイエンティストとそれに関連する職種で選考を受けてみた。
関連する職種とは、例えば以下のような職種である。
・データエンジニア
・データアナリスト
・機械学習エンジニア
・データ分析に係るPM業務(プロジェクトマネジメント業務)

上記の職種の区分は曖昧で、会社によっては、誤用しているケースも多々見られるし、そもそも定義自体が明確ではないのかもしれない。データサイエンティストと言う職種であれば、上記に挙げた職種と重複する部分も多分にありそうだ。
選考を何社か受けた結果として、2社ほど内定を獲得した。30代未経験の状態だったので、AI関連産業は本当に人手が足りていないのだと思う。
ただ色々考えた結果、最終的にそれらの会社に行くことは無く、現職に留まることにした。そちらの理由については後述させていただく


⑤市場の動向を見る中で、その背景にあるところまで理解できるように
これは自分の中で大きな成果であった。
近年テック企業の隆盛が著しく、相場動向を語る上でもテック企業の動向を把握することは極めて重要である。
それに関連して、ニュースでは生成AIとかGPU、データセンターなどの色々な単語が出てくるが、これまでは当たり前ではあるが表面的な理解に留まっていた。勉強を始める前は、SaaSとかクラウドみたいなIT業界にいる方であれば、誰でも知っていそうな用語さえ理解出来ていなかった。
それがこの2年間かけてAIやIT関連の勉強を行う中で、ニュースで出てくる用語の裏側で使用されている単語や概念の意味を理解できるようになった。
AI産業に対する理解も深まったと思う。選考を受けていく中で、日本にはこんな企業があるのかと言った驚きもあった

⑥Pythonを一通り使いこなせるようになった
これは最も大きな収穫の一つかもしれない。
Pythonは最近は有名になってきたが、それでもこれを使いこなせる人はまだまだ日本にそこまでいない認識だ。
確かに今はある程度のところまでは生成AIに任せればコード自体は書いてくれるし、ノーコードツールと言って、コーディングが出来なくてもPythonと同じような操作を実行できるような環境も整備されつつある。
それでも生成AIにコードを書かせるだけでは限界があるし、ノーコードツールでは柔軟な操作は難しい。
その点、今はPythonを書けるようになったことで自分でツールを開発したり、プロダクトを作ったりすることも出来るようになった。
職務経歴書でもPythonによるコーディングの経験は間違いなく評価される。
更に加えると、業務でのPythonによるコーディングや機械学習モデルの構築経験があれば副業も不可能そうではない。
一応筆者はAI関連の副業を見つけるためのマッチングサイトにも登録しているが、本業がなければ副業も出来そうではある。(ただ勿論筆者のレベルであれば、単価の高い副業は難しそうである)

⑦新しい趣味の獲得
筆者の最近の趣味は、noteの執筆とAI関連の学習である。
もはや金融機関で自分が働いているのか怪しいと感じる時すらある笑。
AI関連の学習は自分が主体的に、自分の興味関心に沿って行っているものなので、これを行っている時は心が満たされる。
暇潰しと言われたらそれまでなのだが、一応本業でも十分に役立っているので一旦は良しとしよう

⑧自分の限界を知ることが出来た
これも大きな成果(?)である。
AI産業と言えば、儲かりそう、職に困らなそうというイメージがあると思う。トッププレイヤーに関して言えば、実際にそうだと思う。
ただ勉強をしている中で感じたのは、自分はそこまで上位のプレイヤーにはこの業界ではなれないという点である。
後述するが、AI関連産業はあまりにもライバルが強すぎるし、本当にこれからも右肩上がりで伸びていくのか怪しい側面もある。
筆者が椅子理論について本気で考えるようになったのもAI関連の学習を行ったことも契機にある。
「自分の限界を再認識することが出来た」と言うのは大きな収穫の一つかもしれない。ちなみにここでは、AI産業とIT業界を使い分けている。
AIと関連しないIT産業に関しては今後も旺盛な需要がありそうである。
ITは企業が日々のオペレーションを行っていく上では必要不可欠であるが、AI産業は無から有を生み出すものであるため、継続的なニーズがあるかはその時の景気や社会情勢にもよると思うからだ

【今後取り組みたいこと】
①DX業務の経験
・今後も業務の中でAIやDXに積極的に携わっていきたい

②データサイエンス関連コンペへの積極的な参加
・KaggleやSignateなどが主催するデータサイエンスのコンペに積極的に参加する

③Pythonデータ分析実践試験・統計検定1級等上位資格への挑戦
・時間があれば、最近出来たPythonデータ分析試験の上位版の資格であるPythonデータ分析実践試験や統計検定1級に挑戦したい。統計検定1級に関しては、計算がメインを占めるので、本当にそこまで必要か否かは自分自身と要相談である

④AIセクターに関わる市場動向の分析
・現在USテック企業に係るETFや投資信託に投資しているため、それらの企業を分析する上で、AIセクター・テック業界に係る研究は継続して行いたい

⑤自分の学習履歴のnoteでの発信
・今後もnoteにて自分の学習記録を発信していきたい。
たまには学歴、キャリア論からは離れた話題に触れていきたい。
まあ、学歴論、キャリア論が一番「スキ」を貰えるのだが笑

【学習全体を通じた感想】
・自分から主体的に行った勉強であったので、単純に楽しい(英語を勉強している時は、単純に支店に行きたくないというネガティブな感情しかなかった)

・データサイエンス関連の職種は、定義が曖昧であるので、転職に当たっては注意が必要。企業によって用語を誤用したりしているので、きちんと募集要項を見たり面接を通じて確認しないと、入社後のミスマッチがありそう。
転職エージェントに聞いても、まだまだ職種の定義が曖昧な部分があるので、自分の目で見極める必要がありそうとのことだ。
また本当にデータサイエンティストとして有用な経験を積みたい人にとっては、必ずしも大企業に拘るのが正解ではなく、有名でなくともデータ分析に関連した企業の方が良さそう

・学習を通じて世の中のニュースの表面的な理解に留まらない、裏側にある背景が理解できるようになった。ニュースでは連日、生成AI、NVIDIAと言ったワードが出てくるが、殆どの人はAIとはそもそも何か、NVIDIAのどういった技術が生成AIとどのように関連しているのかと言ったことを理解せずに話していると思われる。そこで使用されている技術を根本的に学習出来たのは大きな収穫

・AIやIT関連の分野は進化が早すぎる。それと比較すると金融は進化・革新のスピードが遅い。難易度をとってもAI・IT関連産業の方が金融よりも難しい。その一方で平均的な待遇は金融の方が良く、やはりここでも椅子理論(=年収は、個人の能力ではなく、在籍している企業や業界に左右される)が成立するのではないかと感じた(勿論米国のテック産業などの一部の例外は金融よりも待遇が良いが、それはあくまで例外)。難しいことをやっている=高年収ではなく、あくまで年収は在籍している企業と、その業界の参入障壁、利益構造に左右されることを痛感

・IT関連職種の待遇は確かに金融や商社、コンサル等に劣後するが働き方の自由度や自己実現と言う観点では明確にこれらの上位に来ると思う。パソコン1台と携帯さえあれば業務が成立するので、リモートワークと相性が良い。地方移住等の働き方の自由度を追求するのであれば、IT業界という選択肢は間違いなく優れている

・AI関連分野で自分が勝負していくのは難しいことを痛感。当該分野は平均して見れば金融よりも優秀な人物が多く在籍しており、また日進月歩で技術が進歩していくため、当該分野の最前線で戦い続けるのは厳しい点を理解した。知識のブラッシュアップが常に必要と言うのはそれなりに負担が大きい。
金融や医療、会計の方が恐らくやっていることのレベルは低いが、参入障壁があり、また学問としての成熟度も上であるため、競争は幾分緩やかなのではないかと感じた。
近年は、確かにAIブームで東大でも情報系が人気だが、かなりのレッドオーシャンなのではないかと思う。
金融、会計はAIによる代替が一定程度可能だと思うが、医療に関しては身体的な動作を伴うので抜本的な代替は恐らく不可能。人体の構造自体は今後何年経っても変化しないので、やはり医学部は今後も引き続き高いニーズを誇っていくのではないかと感じた。逆にAI・IT関連の学部は現在がピークの可能性もある

・自分自身は生成AIを活用しながら学習を進めてきたが、コーディングの観点では自分レベルだと完全に生成AIの方が上。
生成AIを開発する側の人間にはかなりのレベルが要求されるのではないか

・AI・機械学習の勉強はある程度は自分でも行える。大学・大学院で専門的な教育を受けたわけでは無いのでそれがどの程度のレベルなのかは分からないが、基本的な部分は自学自習が可能なのではないか。その意味では、工学部の中でも電子系、物理系、化学系と言った分野の方が充実したインフラが無いと学習が進まないので、導入にすら入れないという点では参入障壁が大きい

・また改めて英語の重要性も実感。AI・機械学習よりも話せる英語の方がよっぽど日本での参入障壁が大きい

・学習に当たっては、自分一人の力で進めるのは難しいので最低限でもChatGPTは契約した方が良い。学習仲間や師匠のような存在を見つけることが出来れば尚ベスト

以上が筆者が学習を通じて感じたことである。
今後の記事では、各分野に関しておススメ本や勉強方法の詳細な部分に関して記載していきたいと思う。