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第56回菊花賞【1995年】
馬券作家の言葉を鵜呑みにするな
これから競馬番組理論を研究される方や初心者の方向けの話をしたい。
私が約30年近く研究してきて思うことは、『馬券作家の言葉や研究者の言葉を鵜呑みにするな』ということ。
馬券作家達の本をレースの規定などの知識を得るために読むことは悪くはないが、考え方の大半は使い物にならないので注意。
私自身も、そうした使い物にならない考え方がインプットされてしまったために、それを削ぎ落すことに非常に苦労した経験がある。
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エセ論者に注意せよ
エセ論者は戦歴について深く掘り下げた話をしない。
競馬番組の日程等がこうだった、ああだったと能書きを垂れ、その内容が正しいかどうかを検証することすらできない情報を小出しする。
もし、それが理論であるなら論理的整合性を証明してくるはずで、主観だらけなので内容をベールに包むのである。
1995年 菊花賞~バンブービギンの再現性
では、具体的に競馬番組理論の考え方の一つをお話したい。
1995年の菊花賞は1989年のバンブービギンを再現すると読んだ。
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この2頭の戦歴はクリソツだと解るだろう。
バンブービギン やまゆりS1着→神戸新聞杯2着→京都新聞杯1着
マヤノトップガン やまゆりS1着→神戸新聞杯2着→京都新聞杯2着
重要な点は2つある。
一つは、『神戸新聞杯と京都新聞杯の連続連対歴所持』という点。
この時代は、神戸新聞杯も京都新聞杯も定量戦で施行されていた。
神戸新聞杯 定量56kg
京都新聞杯 定量57kg
『なぜ、2つのステップ戦の斤量に1kg差を設けていたのか?』
当時、皐月賞、日本ダービー、菊花賞は定量57kg戦。(現在、菊花賞は馬齢戦)
それと同じ定量57kg戦が京都新聞杯だった。
そうした設計になっていたのは、日本ダービーに間に合わなかった馬が日本ダービーと同じ定量57kg戦を菊花賞前に経験できるようにするためだったのである。
日本ダービー【定量57kg】→菊花賞【定量57kg】
京都新聞杯【定量57kg】→菊花賞【定量57kg】
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林正氏の著書では・・・
ここで、以前紹介した林正氏の著書で第57回菊花賞の事前予想の見出しを紹介したい。
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ちなみに、この年の菊花賞は、1着ダンスインザダーク、2着ロイヤルタッチなのでこの仮説はハズレ。(執筆している時点での予想は難しい)
この見出しの注目点は、『マヤノトップガン二世なら秋季番組の56kg、57kgのクリア馬』と書かれている点。
戦歴を研究されている方なら、ここまでは気づくだろう。
もう一つの重要な観点
林正氏は恐らくこの時は気づいていなかったと思う観点がある。
それは、バンブービギンもマヤノトップガンも【3歳限定のハンデ戦】やまゆりSを勝利している点だ。
現在の番組設計には、世代限定のハンデ条件戦は存在していない。
この時代は、東のさくらんぼS、西のやまゆりSの2レースだけ3歳限定のハンデ条件戦として設計されていたのである。
公式経路とは・・・
つまり、菊花賞馬になるための公式経路の一つが、
『世代限定ハンデ条件戦勝利→神戸新聞杯+京都新聞杯の連続連対』
ということである。
そして、この公式経路は『古馬歴を持たない』ということが重要。
林正氏の著書を引き合いに出したが、神戸新聞杯と京都新聞杯の連続連対馬で菊花賞を連対できていない馬はいるので、これだけが連対許可条件にはなっていないということ。
これにプラスして世代限定ハンデ条件戦勝利という戦歴が加わることで、『傾向から理論』になるのである。
1997年 菊花賞~マチカネフクキタルを狙い撃つ
1997年の菊花賞では、まさに狙い撃つ瞬間がきた。
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マチカネフクキタル さくらんぼS1着→神戸新聞杯1着→京都新聞杯1着
先ほど述べた、東西に1レースずつ設計されている世代限定のハンデ条件戦。
今回はやまゆりSではなくさくらんぼSを勝利してきた馬。
『バンブービギン、マヤノトップガンをやる!』と単勝をシコタマ購入した。
結果は1着マチカネフクキタルで単勝500円。
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『完璧に読み切った』
震えるほどの感動。
当時、この感覚が味わいたくて研究に没頭していったのである。
世に出たら終わる
実はこの理論を後に『競馬ゴールド』に書いた人がいた。
それがMARO氏。
雑誌は捨ててしまったので記憶でしかないが、巻頭カラーページで新生現る的な感じで紹介され、このロジックを世に出す暴挙に出たのだ。
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『ああ、終わったわ・・・』
こうした具体的理論を世に出してしまえば変えられる。
サイン読みでも雑誌や本で発表されればオシマイだ。
どうでもよい小ネタを出すのはいいが、公式経路馬を出してはダメだろうと怒り心頭だったのを覚えている。
『余計なことをしてくれた』
この暴挙によって、マチカネフクキタルの後、この公式経路馬は出さなかったし京都新聞杯は春季番組に移動し、この公式経路は消滅した。
明らかにバラされたから変えてきたということである。
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