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サービス企画の進め方①

サービス企画というと、どんなもの思い浮かべるでしょうか?

「いいこと思いついた!まだ誰も目をつけていない、全く新しいサービスだ!一番に商品化してみよう!」というサービス企画もありますが、

市場が成熟し様々なモノやサービスが溢れる昨今は、
「経費精算サービス市場で、A社は豊富な機能で過去の競争に勝ち、高いシェアを誇っている。実際、PCではとても使いやすく痒い所に手が届く。一方でスマホでは動作が重く使い勝手が悪い。最近、経費精算にスマホを使う企業が増えてきた。領収書の電子データ化も進んでいるので、スマホを使う企業はますます増えるだろう。当社で、スマホで圧倒的に使いやすい経費精算サービスを実現できたらシェアを奪える!商品化しよう!」

というように、
一旦成熟した市場でも、市場をとりまく周辺環境が変化しユーザーの価値基準にも変化がみられることをきっかけに、新サービス企画が立ち上がることが多くなっています。

実際、このパターンで立ち上がった企画をPM/コンサルとして支援する機会がありました。

これから、私がサービス企画の支援を行うにあたり実践してきたこと、工夫してきたことを何回かに分けてご紹介します。

企画業務の支援をする方はもちろん、
「突然サービス企画を任されることになったが、何をやったらいいかわからない」
「偉い人の思い付きがきっかけで、新サービスを企画することになって困っている」
など、実際に企画業務に悩んでいる方のお役にも立てれば幸いです。


企画業務の支援とは?

企画案自体はクライアントが持っているケースが多いので、企画案を網羅的かつ具体的に整理していき実現可能なプランに落とし込んでいくこと、が主な仕事になります。

具体的には、企画案を以下の順に整理していきます。

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事例があったほうがイメージしやすいので、ここからは仮想プロジェクト「リモート会議サービス企画」を例に説明していきます。

まずは状況整理

まず、クライアントの企画案を確認しましょう。
(あくまで例です。)

リモート会議サービス企画案
・当社は、動画と音声を効率よく圧縮・伝送するNO.1技術を持っている
・当社のNO.1技術を生かした、圧倒的に高画質・高音質のリモート会議サービス
・リモート会議を利用するのは企業なので企業向け

一旦、整理していくことにします。
誰に向けて、何を、いつ、どのように提供するのか?なぜ提供するのか?
いわゆる5W1Hで整理してみます。

一旦整理してみた
Who:企業
What:他社よりも高画質・高音質のリモート会議サービス
When:リモート会議したいとき
Where:会議室
How:ノートPC用ソフトウェア
Why:画質・音質がよければ売れる

全然具体的でないことがわかります。

サービス定義

サービス定義とはその名の通り、企画内容を具体的に定義することです。
さっそく5W1Hを具体化していきます。

・5W1Hの具体化はWhyから
6つの要素がありますが、何から具体化するのがよいかというと、一番大事なものからです。

Why(なぜ提供するのか?)をユーザー視点で言い換えると、「私はなぜ使うのか?」
さらに、ユーザー自身の言葉に書き換えてみると

私は、新しい価値が得られて嬉しいから使う
私は、問題を解決できて嬉しいから使う

ということで、Whyはユーザーニーズそのものです。これを外してしまったら絶対に使ってもらえないので、私はこれが一番大事と考えています。

リモート会議サービスは、離れていても会議ができるという新しい価値を提供するサービスとして、ある程度普及しています。
したがって、何の問題を解決できたら嬉しいかが、新サービスのポイントになりそうです。

早速ユーザーの声を拾っていきましょう。
ユーザーの声を調べる方法で一番良いのは実際に聞くことですが、お金も時間もかかりますので、よほど特別な事情がない限りはWeb調査(ググる)から始めます。

・Whyをググる
ググり方にもちょっとしたコツがあります。今欲しいのは、ユーザーにとっての問題点、即ち既存製品に対する不満です。

代表的なサービスをピックアップ → 代表的なサービスに対する不満

これを実際にググってみましょう。

・代表的なサービスをピックアップ
「リモート会議」で検索。広告からまとめ記事まで様々ヒットしますが、冒頭で述べたように市場環境は変化しています。古い情報に価値はないので、新しい情報に絞りましょう。ツールから期間指定で設定します(ここでは1年以内に設定)。

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とりあえず、2,3本まとめ記事にざっと目を通します。そうすると勢いのあるサービスが複数ピックアップされます。
※広告記事は基本的には避けます。一見するとまとめ記事っぽい広告記事もあるので要注意。

他には「リモート会議 シェア」、「リモート会議 調査」といったワードで検索し、調査会社の資料がないかをチェックします。運が良ければサービス名単位のシェアを確認できます。

見つけた記事は後で使うかもしれないのでブラウザにブックマークするか、メモ帳に整理しておきます。

・サービス毎の不満を調べる
次に、「サービス名 不満」、「サービス名 ダメ」でググってみるといろいろヒットします。
試しに、「Skype ダメ」で検索してみると

・インストールしないと使えないから面倒
・モバイルで回線品質が悪いと通話が不安定になったり切断されやすい

といった不満が見えてきます。不満はニーズの裏返しということで

・インストールしなくても簡単に使える
・回線が太くないモバイル回線でも通話が安定し切断されづらい

というニーズがありそうです。
実際には、ピックアップしたサービス全てに対して調査し、ニーズを洗い出していきます。

とりあえず、先ほどの情報から

Why:簡単に使えて、モバイル回線でも安定して利用できるサービスはニーズがある

ということが見えてきます。

・Whyを起点に再度整理する
あらためて、Whyを起点に整理していくと5W1Hはこんな感じになります。

再度整理してみた
Who:スマホでリモートMTGに参加する社員
What:簡単に使える、モバイル回線でも安定して利用できるブラウザベースのリモートMTGサービス
When:モバイル回線を使うとき(外出先)
Where:外出先近くのカフェなど
How:インストール不要のブラウザアプリ
Why:簡単に使えて、モバイル回線でも安定して利用できるサービスはニーズがある

よりイメージが沸くものになったのではないでしょうか。
カフェで使うなら、ヘッドセットの利用ができてマイク音量を簡単に変えられるといいな、など機能のイメージも膨らみます。

最初の企画案と全く別物では?と思うかもしれませんが、
・動画と音声を効率よく圧縮・伝送するNO.1技術
この技術によって実現できる高画質・高音質を、いつ何と比べた高画質・高音質に仕立てるかという話で、別でもないのかなと。

サービス定義の工程はまだ続きます。
次は、実現可能で勝てるのか、本当に今やるべきことなのかという視点で磨き上げていく工程です。次回ご紹介します。


今回のまとめ

・企画業務は「サービス定義→機能分析→事業計画」
・サービス定義は5W1Hの具体化からはじめる
・5W1HはWhy(ユーザーニーズ)から具体化する
・Whyが決まれば、他も具体的になっていく
・サービス定義の工程はまだ続く

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