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JPYCがもたらすビジネスの変革 ~ステーブルコインの事業活用~(前編)
こんにちは、岡部です。
ありがたいことに、最近はイベントやセミナーで登壇する機会が増え、多くの方と直接交流する機会に恵まれています。こうした場でいただいた質問や議論を通じて、自分自身も学びを深められることに感謝しています。
そこで今回は、これまでJPYCが行なってきた取り組みの一部をご紹介したいと思います。
1. はじめに
「JPYCって、実際にどうやってビジネスで使うの?」
こうした質問をこれまで何度も受けてきました。
確かに、ステーブルコインって言葉は聞くけど、「それが自分のビジネスとどう関係するのか」がピンとこないという方も多いと思います。
そこで第2回目のウェビナーでは、JPYCの実際の事業活用例にフォーカスしました。
すでにJPYCを活用している企業・自治体のリアルな事例を紹介しながら、「ステーブルコインを使うと、今までの決済手段と何が変わるのか?」を具体的に掘り下げていきます。
JPYCでは、ステーブルコインに関するウェビナーを定期的に行なっています。気になるテーマがあればぜひ参加してみてください。参加が難しくなってしまった場合でもアーカイブ動画を配信していますのでぜひPeatixのフォローをお願いいたします。
結論から言うと、JPYCを使うことで、決済や報酬の受け取りが即時かつ手数料ゼロで行えるようになります。
そして、「もらったJPYCをそのまま使える」という、新しい経済圏が生まれつつあります。
今回はその変化を感じられる事例を紹介していきます!
2. すでにJPYCを活用している事例
JPYCは、すでにさまざまな企業・自治体で導入が進んでいます。
その中でも特に、「JPYCだからこそできる!」という事例をいくつか紹介します。
2.1 鹿島建設:現場作業員へのインセンティブ
建設業界では、多重下請け構造のため、作業員に直接インセンティブを渡しづらいという課題があります。
現場でどれだけ頑張っても、「評価された報酬がすぐにもらえない」という状況が発生しがちでした。
そこでJPYCの登場です。
鹿島建設では、作業員の評価に応じてJPYCでインセンティブを配布し、即時に報酬を受け取れる仕組み「GOヘイ!」を導入しました。
JPYCを使えば企業から個人に簡単に報酬払いをすることができ、法律的な障壁や、コスト的な障壁を取り払うことができます。単に「早く支払われる」だけでなく、JPYCならほぼ手数料ゼロで受け取れるということも大きなメリットでしょう。
今まで「振込手数料がかかるから、まとめて支払う」といったことが必要だったのが、リアルタイムで細かくインセンティブを配れるようになったわけです。
「働いた分がすぐに手に入る」
これは、作業員のモチベーションにも大きな影響を与えます。
また、JPYCならどのプラットフォームでも同じ形で受け取れるので、インセンティブをJPYCでもらい、そのまま他の用途で使うという流れも作れます。
「GOヘイ!」の実証実験に関するプレスリリースはこちら
2.2 SPARKN:地方自治体のアイディア報酬
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自治体が住民からアイディアを募る際、「報酬の支払い」に手間がかかるケースがよくあります。
銀行振込だと事務処理が大変だし、現金を直接渡すのも管理が面倒。
そこで、JPYCを活用することで、協力者に対して簡単にデジタル報酬を支払える仕組みが整いました。
SPARKNでは、アイディアを提供したユーザーにJPYCで報酬を支払い、スムーズなインセンティブ設計を実現しています。1つ1つのアンケートがそれぞれ独立したスマコン(Smart Contract:ブロックチェーン上で動作する自動実行プログラム)としてブロックチェーン上で1つのアンケート&報酬分配システムとして動いており、主催者は優秀者を選ぶだけで、スマコンが自動的に対象者に報酬分配を行ってくれるという画期的なシステムです。
「自治体がステーブルコインを使うメリットは?」と思うかもしれませんが、ポイントはJPYCがデジタル円のように使えること。
JPYCなら、「デジタルで即時支払い」ができる上に、受け取った人が自由に使えるので、地域経済の活性化にもつながるわけです。
例えば、JPYCを受け取った住民が、それを地元の商店で使えるようになれば、JPYCが地域通貨的な役割を果たすことも可能になります。
2.3 TIPWAVE:X(旧Twitter)での投げ銭
JPYCは、ソーシャルメディアでの「投げ銭」とも相性抜群。TIPWAVEでは、X(旧Twitter)のアカウントにJPYCを送金できる仕組みを提供しています。 これは、JPYCが個人クリエイターの収益化に使えるということを意味します。
従来、投げ銭をする場合は、プラットフォームが手数料を取ったり、支払いが遅かったりと、不便な点が多かったんですが、JPYCなら直接送金&手数料ゼロで支援ができるわけです。
「フォロワーに直接JPYCを投げる」
「企業がキャンペーン報酬をJPYCで配る」
こういった使い方が可能になり、クリエイター経済の新しい流れを作ることができます。またシステムと組み合わせて、例えば演出とリンクさせるというようなことも自由にできるようになりますので、スポーツやエンタメの分野と非常に相性がいいと思います。
3. これらの事例をつなぐ「JPYCの使いやすさ」
さて、ここまで紹介した事例に共通する大きなポイントがあります。
それは、「もらったJPYCを、そのまま使える」ということ。
これまでの報酬制度では、
✅ 「銀行振込を待つ」
✅ 「現金を引き出す」
✅ 「独自ポイントだと、使える範囲が限られる」
といった問題がありました。
しかし、JPYCなら異なるプラットフォームでも同じステーブルコインとして受け取り、自由に使える。
例えば、
• 鹿島建設の作業員がJPYCでインセンティブを受け取る
• そのJPYCを使って、SPARKNでアイディア報酬として活用する
• さらに、X(旧Twitter)でTIPWAVEを通じて投げ銭をする
といったように、JPYCが共通のデジタルマネーとして機能し始めているのです。
これは、今までの「ポイント経済圏」の不便さを考えると、かなり大きな変化です。
例えば、企業ごとの独自ポイントだと、別のサービスに移すのが難しいし、使い道が限られる。
でも、JPYCなら「共通のステーブルコイン」として、いろんなプラットフォームで活用できるわけです。
4. さらに広がる可能性:コンビニ決済との連携
そして、これらの事例をさらに加速させるのが、電算システムとJPYCのコンビニ決済連携です。
JPYCを使ってコンビニのバーコード決済が可能になれば、JPYCをもらった人がすぐに使える環境が整う。
つまり、JPYCでインセンティブを受け取る。
そのままコンビニで使う。
という流れが自然にできるのです。
これは、JPYCが「投げ銭や報酬として受け取るもの」から、「日常的に使えるデジタルマネー」へ進化する大きな一歩です。
電算システムとの取り組みについてはこちら
5. まとめ(前編)
JPYCの活用が進むことで、
✅ 企業は低コストに送金・決済ができる、しかも高度な自動化が可能
✅ 働いた人・貢献した人がリアルタイムで報酬を受け取れる
✅ 受け取ったJPYCをすぐに使える環境が整う
という、新しい経済圏が広がっています。
次回の後編では、「JPYCがもたらす未来のビジネスモデル」について、さらに深掘りしていきます!