文体模写の模写日記:コナン・ドイル編
「この部屋の主は部屋の掃除に励んでいるようだね。」
「どうしてそれがわかるんだい?」
彼はゆっくり部屋を見回しながらゆっくりと喋りだした。
「まず、机の上が整理されている。よく見ると、イヤリングがあって、ポチ袋に入っている。これは部屋の主が物を整理できているってことさ。」
「でも、それじゃあ部屋の掃除が徹底されているってところまでわからないだろ?たまたま前日に掃除をしただけかもしれないよ。」
そういう私に、彼は落ち着き払った態度でつづけた。
「部屋の床を触ってみてくれ。こちらにも部屋の隅にもホコリが全くもってない。つまり、定期的に掃除されているということだ。ワト○ン君、掃除機をかけるときに窓は閉めるかい?」
「いいや、開けるね」
「そう。掃除するなら窓を開ける。窓を開けるということは掃除機をかけた可能性が高い。」
「掃除機を別の人がかけたという可能性もあるんじゃないか?」
「もちろん、それを検討した上で、だよ。ベッドの上を見て欲しい。」
彼に言われた通り、ベッドの上を見た。ベッドの上には布団と枕がグチャグチャになっていて殺風景で、枕横にはアラーム時計が倒れるように置かれていた。
「これがどうしたっていうんだ?」
ホー○ズはニヤリと笑った。
「歯ブラシを見て欲しい。まだブラシの先が濡れていて、歯磨き粉の跡があるだろう?それに歯ブラシの入っているコップの中も濡れている。ということは直前に使った可能性が高い。ワト○ン君、歯磨き粉をつけて他人の歯ブラシを使う人間に心当たりは?」
「……いや、他人の歯ブラシを使う人間なんて見たことないよ。」
「ということは、だ。部屋の住人自身が掃除をした可能性が高いってことだよ。」
「なあるほど!」
わずかな事実からここまで読み取るとは。私は彼の観察力の鋭敏さに舌を巻いた。
あまりに想像力が必要なので、コナン・ドイル編を終わりにして、次に星野源編にに移ります。
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