亜留間次郎の「大野博士事件」に関する謎の嘘
亜留間次郎が著作、TOCANAにおいて解説している大野博士事件ですが、彼はなぜか「肉棒治療事件」などという別名を付けて、謎の嘘を混ぜ込んで紹介しています。
これまでの件は名誉欲に駆られてと考えれば理解は可能でしたが、本件はあまりにも理解が追いつかないものです。
大野博士事件のあらまし
肺病の治療の名を借りて、医師が女学生をレイプしたというのが、事件のあらましです。
この事件は文春オンラインにて詳しく取り上げられています。
新聞を情報源としていて、裁判の時系列や当時の反応、大野博士や被害者家族の状況がわかる素晴らしい記事です。
羽太鋭治を持ち上げるための嘘
さて、その一方で亜留間次郎が書いた、大野博士事件の解説の前編となる記事を見てみましょう。
まずは1つ目の記事の中に
という一節が存在しますが、この文章には2箇所の誤りが存在しています。まず1つ目ですが、強姦の罪の重さについて、長くても30日程度と述べていますが、これは明確な誤りとなっており
刑法第三百四十八条「十二歳以上ノ婦女ヲ強姦シタル者ハ軽懲役ニ処ス」
刑法第ニ十ニ条「輕懲役ハ六年以上八年以下ト爲ス」
この強姦の刑罰を規定した刑法第三百四十八条と、刑罰の重さを規定した刑法第ニ十ニ条を読み取れば、当時から十二歳以上の婦女を強姦したら、六年以上八年以下の懲役が課されることが読み取れます。
もう一つ、昭和8年以前の統計についてですが、上記の刑法において強姦は、「猥褻姦淫重婚ノ罪」という区分がされているのがわかります。
そして明治43年の犯罪をまとめた
「大日本帝国内務省統計報告 第26回」
を見てみると「猥褻姦淫ノ罪」という見出しで、犯罪件数が掲載されています。
この件数が刑法11節から重婚の第354条の件数を除いた、いわゆる強姦を含む、姦淫の犯罪件数になっているのではないでしょうか。
これらは「変態性欲の研究」というセンセーショナルな題名の本を出版した 羽太鋭治を、読者に対して先進的である、素晴らしい方であると誤認させる意図があるのではないかと考えられます。
嘘を嘘で塗り固める
それでは次に亜留間次郎が「肉棒治療事件」などと呼称している、大野博士事件についての記事についてです。
この中で、懲役6年の判決は強姦罪ではなく、余罪を合わせての6年という記述がありますが、文春オンラインの記事に画像付きで載せられている、当時の判決文には「強姦罪として懲役6年に処す」と書いてあります。
強姦罪が30日の懲役だとしたせいで、辻褄合わせの嘘をついています。
文春の記事によると、当時の法令では強姦罪を適用できるのか否か、その部分が問題だったようで、その判断の違いで第二審では懲役1年という判決になっているようです。
さて、ここまでは羽太鋭治という人物を持ち上げ、その影響で嘘をついているという、その思考は理解は出来るものです。
謎の嘘
亜留間次郎は2つ目の記事で、被害者は強姦によって妊娠させられた子供を産んだとしていますが、被害者は裁判中に堕胎しています。
文春の記事にも、その他の記録でも、亜留間次郎の記事以外で記述があるものではすべて堕胎したことになっています。
なぜ亜留間次郎は「被害者が強姦で妊娠した子供を出産した」と書いたのでしょうか?他のすべてが間違っていて彼が正しいのでしょうか?そうでないとしたらなぜこのような嘘をついたのでしょうか?
本当に理解ができません。
なぜこのようなことを?
ここで嘘をついても何もメリットが存在しません。(私の想像の範囲内で)
理解できる方は教えてください。
彼の記述が正しいという場合も情報源を教えて下さい。