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CEOでもCFOでもなくCLOという仕事

こんにちは、JPR広報部の伊藤です。

前回は、ドラマの中のセリフから、手荷役がドライバーの仕事であると世の中では当たり前に捉えられている節があり、これは根深い社会問題だというお話をしました。
このように、本当は当たり前ではないことが社会の通説や常識のようになっててしまっていることってたくさんあると思います。

はたまたシリアスな出だしになってしまいましたが、私自身は自分の感じた「違和感」を結構大事にしています。転職してJPRに入社し、物流業界に携わるようになったのですが、私のキャリアのスタートは人材業界でした。

だからでしょうか、10年ほど前に転職してきた際に、そういえば「CLO(Chief Logistics Officerの略で、日本語でいうと最高ロジスティクス責任者でしょうか)」って聞かないなと疑問を抱きました。これは、メーカーなどの企業において物流の領域で経験を築いていった先に、経営層に昇進するキャリアコースがないとも捉えられます。

今までの日本においては、より優れた「もの」、新しい「もの」を作って売ることこそが大事で、できたものが運ばれるのは「当たり前」のことだったのでしょう。同時に企業の中においては、何かを生み出す部門ではなく、コスト部門でしかない(なかった)のでしょう。

そして納得しました。「物流」が軽視されているというか、社会的地位が低いというか、この感じていた違和感の正体は、当たり前のものには誰も感謝しないという背景があるからだと。

しかしその当たり前は、今、当たり前でなくってきています。コストカットなどもはや夢のような話であり、継続・安定した物流網を崩さないことが経営課題にまでなりつつある。

国土交通省、農林水産省、経済産業省の三省で、物流を持続可能なものとしていくための方策を検討するべく、有識者、関係団体及び関係省庁からなる「持続可能な物流の実現に向けた検討会」というものが開かれていました。

昨年から全11回の検討会が開かれ、その内容は公開されています。
参考:物流:持続可能な物流の実現に向けた検討会 - 国土交通省 (mlit.go.jp)

その「最終取りまとめ」には、

一定規模以上の貨物の引渡し又は受取を行う荷主企業が経営者層を中核として物流改善に取り組むため、役員クラスで物流を統括・管理する責任者を任命し、当該責任者を中心として、後述する中長期計画の策定等の取組を推進する措置について、その要件等の具体的な検討を進めること。また、そのようなサプライチェーンの全体最適化の視座から物流を捉えることができる高度物流人材を育成・確保することが必要であり、そのために産学官で連携した取組を支援すること。
持続可能な物流の実現に向けた検討会 最終取りまとめ (meti.go.jp)より抜粋)

と記載されています。
「おお、ついにCLOを置けと国が言っているではないか」と私はなんだか嬉しくなりました。

偉そうで恐縮ですが、「物流」の社会的地位向上のきっかけになり、物流を学びたい、物流に携わりキャリアを築きたいという人が増えることを祈っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。